今ライブハウスで見ておくべき女性アーティストをレコメンド LustQueen、大塚紗英、ЯeaLが三様の個性で満員のフロアを沸かす
『Drawn to You!! vol.2 powerd by SPICE』2024.0626(wed)渋谷eggman
イープラスのエンタメ特化型メディアSPICEが贈る新企画、今ライブハウスで見るておくべき女性アーティストをレコメンドするイベント『Drawn to You!! vol. 2 powerd by SPICE』が6月26日、渋谷eggmanで行われた。4月に初開催された第1回目に続く今回は、『BanG Dream!』『D4DJ』など人気作品への出演でもお馴染みのシンガーソングライター/声優の大塚紗英、vol.1から連続での出演となる声優・結那のアーティストプロジェクトLustQueen、『銀魂.』『ポケットモンスター』『BORUTO-ボルト-』といった数々の人気作品の主題歌を担当してきたЯeaLが出演。ソールドアウトとなった満員のフロアに向けて、それぞれ個性の異なるスタイルで観る者を圧倒していった。
ЯeaL
ЯeaL
イベントのオープニングを飾ったЯeaLは、ステージを覆う幕が開いたと同時に「ゆらりゆらりゆら」から勢いよくライブをスタート。Ryoko(Vo, Gt)が伸びやかな歌声を響かせながら「eggman、行けますか?」と煽ると、満員のフロアからは怒声のような声援が響き渡る。Fumiha(Ba, Cho)&Aika(Dr, Cho)が繰り出すアンサンブルにサポートメンバー柏木みゆう(Gt)のキレのよいリフやソロが絡み合い、ドライブ感の強いバンドサンドでオーディエンスを牽引。そこから「私たちがЯeaLです! 渋谷、行けますかーっ!」を合図に「リスキーゲーム」へとなだれ込むと、グルーヴィーなリズムで会場をダンスフロアへと一変させる。
ЯeaL
ЯeaL
2曲終えたところでRyokoが「一発目からみんな、ほんまに楽しそう(笑)」と語りかけると、客席から喜びの拍手が鳴り響く。続けて「初めて観る人もいるだろうから、私たちの楽曲の中では知られているであろう2曲をやります」と口にすると、馴染みのあるイントロに対してフロアから歓喜の声が湧き上がり、テレビアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』のオープニングテーマでお馴染みの「未来コネクション」からライブは再開。観客のシンガロングも大きさを増していき、『銀魂.』のオープニングテーマ「カゲロウ」が立て続けに繰り出されるとフロアの熱気もさらに加速していく。キラーチューン2連発で会場が一気に温まると、Ryokoは「まだこんなにワクワクすることが残っているなんて、ライブハウスや音楽って捨てたもんじゃないなと思うし、こういう瞬間がこれからもずっと続いていけばいいなと心から思っています」と感謝の言葉を口にしてから、エモーショナルさが際立つ「拝啓、あの日の僕へ」ですべての感情を放出させてこの日のステージを終えた。
ЯeaL
ЯeaL
大塚紗英
大塚紗英
2番手で登場した大塚紗英は、サポートメンバー2名を携え「全人類ヒューマノイド」からライブをスタートさせる。ドラマチックさを伴うこの曲を、大塚はファルセットを交えた情熱的な歌唱法とともに、全身を使って表現。そんな彼女の一挙手一投足に対し、フロアからは惜しみない声援と拍手が送られる。間髪入れずに「ドン・キホーテ・デート」へとつなげると、軽やかなディスコビートにあわせて大塚はステージ所狭しと動き回り、観客とコミュニケーションを図っていく。さらにトロピカルな要素を盛り込んだ「アクアパッツァ」、突き抜けるようなポップネスが心地よく響く「ロマンスのはじまり」と矢継ぎ早に繰り出し、オーディエンスに休む暇をまったく与えない。どの曲もひとつのジャンルで括ることができないその独創性は、さながら“ポップスのおもちゃ箱”のようで、観る者を一瞬たりとも飽きさせることのない大塚のエンターテイナーぶりは圧巻の一言だった。
大塚紗英
大塚紗英
4曲畳み掛けるように披露した大塚は、ここで長めのMCに突入。最初こそ「今日、(会場入りしたときに)衣装を(家に)忘れてきちゃってさ(笑)」と冗談めいた話題で場を和ませるが、2022年7月に所属事務所から独立して最初に立ったステージがこのeggmanだったことに触れつつ、「この2年間、悔しいこともたくさんあったけど、音楽をやっていると楽しくて、ここまで乗り越えられた」と口にする。さらに「私は人見知りだけど、音楽を通じてなら人と関わり続けることができる」など率直な思いを吐露してから、ピアノバラード「蛍陽」に突入。感情を爆発させるような彼女のパフォーマンスに対し、フロアからは惜しみない拍手が送られたところで、彼女のステージは終了した。
大塚紗英
大塚紗英
LustQueen
LustQueen
3組目のLustQueenは、初ライブとなった4月の同イベントぶりのステージ。ただ、前回と異なるのは6月21日に1st EP『LustQueen』をリリースしたことで、ファンにその楽曲が浸透し始めたタイミングのライブだったこと。それもあってか、オープニングを飾る「Changing future」からオーディエンスの一体感や熱気は前回以上のものがあり、フロントに立つ結那もそのユニット名の如く女王の風格を漂わせながら、堂々とした歌とパフォーマンスを提示してみせた。
LustQueen
1曲歌い終えたところで、結那は「(LustQueenの)“Lust”は情熱、“Queen”は女王という意味。まだ一番という存在には程遠いかもしれないですけど、これからそんな存在になりたいという熱い思いを背負って、上へ上へと決意を込めた1枚となっています」と1st EPについて解説。そのまま「このライブを見終えたあとに『LustQueenのこと、ちょっと気になるな。(CDを買いに)物販に行ってみよう!』とみんなに思ってもらえるような楽曲を、ここで歌っていきます!」と続け、「Moonlight」でライブを再開させる。ここでバンド側のみならずオーディエンス側もギアが一段高く入り、間髪入れずに披露された「My Answer」では会場の熱気がさらに高まっていった。
LustQueen
LustQueen
「実は今日、すごく緊張していて。というのも、eggmanでライブをするのが6年ぶりなんです」と口にした結那は、この日の来場者1人ひとりに向けてストレートな思いを届けるようにバラードナンバー「カゲロウメモリー」を熱唱。さらに、9月11日と11月13日に下北沢シャングリラにて主催ライブ『LustQueen presents Stairway to Queen』を開催することをサプライズ発表すると、フロアは喜びの声と拍手で包まれる。そんなピースフルな空気の中、ライブのクライマックスには欠かせないキラーチューン「Ready, Steady, Go!」でこの日一番の一体感を作り上げて2度目の『Drawn to You!!』を大成功のうちに締め括った。
LustQueen
取材・文=西廣智一 撮影=飛鳥井里奈