「ノロノロ運転」は違反ですか? 10年続けた「10キロおじさん」が過去に話題! 実は“逆あおり運転”となる行為は?
ノロノロ運転が複数の交通違反に該当する可能性も?
運転中にスピードを出し過ぎると最高速度違反に当たる可能性があります。
では反対に、とてもゆっくり走る行為は交通違反になるのでしょうか。
【画像】「えっ…!」 これがカメラが捉えた『取締りの決定的瞬間』です(12枚)
クルマやバイクを運転する際には、事故はもちろん交通違反にも注意しなければいけません。
警察庁の統計によると2023年中、交通違反の検挙件数は多い順に一時不停止違反、最高速度違反、放置違反金納付命令件数(駐車違反関係)という結果でした。
特に最高速度違反に関しては最近、神出鬼没な「移動式オービス」を活用した取り締まりも強化されています。
このようにスピードの出し過ぎは違反に当たりますが、一方でわざと速度を落として走行する「ノロノロ運転」のドライバーも散見されます。
過去には神奈川県内の一般道路において、わざとゆっくり走行する「時速10kmおじさん」が話題になったことも。
この男性は何度も急ブレーキを踏んで速度を落とした上、追い越そうとした車両にクラクションを鳴らすといった行為をしていました。
このようなノロノロ運転は「逆あおり運転」とも呼ばれ、後続車のドライバーにとっては非常に迷惑ですが、取り締まることは可能なのでしょうか。
結論から言うと、故意のノロノロ運転は複数の交通違反に抵触する可能性があります。
まず考えられる違反として、道路交通法第75条の4に規定する「最低速度違反」が挙げられます。
同条では緊急自動車を先に通行させる場合や危険防止上やむを得ない場合を除き、高速道路の本線車道においては道路標識などで指定された最低速度より遅い速度で走行することを禁止しています。
また標識などの指定がない場合には、政令で定める速度(時速50km)を下回って走行してはいけません。
つまり高速道路でノロノロ運転をすると、この違反に抵触するおそれがあります。
さらに、後続車の邪魔をするために急ブレーキをかける行為は「急ブレーキ禁止違反」に該当するとみられます。
この違反は道路交通法第24条に規定されており、危険防止上やむを得ない場合を除き、他の車両を急に停止させたり速度を急激に落とさせたりするような「急ブレーキ」を禁止しています。
そして、後続車が追い越そうとしてきた際にわざとスピードを上げて追い越せないようにする行為も道路交通法第27条第1項および第2項の「追いつかれた車両の義務違反」となる可能性があります。
同条を簡単にまとめると追いつかれた車両、つまり前方を走る車両には次のような義務があります。(どちらも普通車と仮定)
ーーー
1.後続車両が追いついて追い越しをしようとするときに、前方の車両が引き続き遅い速度で進行しようとする場合は、後続車両が追い越しを終えるまで加速してはならない。
2.道幅の狭い道路(片側1車線以下)において後続車に追いつかれた状況で、前方の車両が引き続き遅い速度で進行しようとする場合は、できる限り道路の左側に寄って進路を譲らなければならない。
ーーー
後続車両が追い越しをする際に加速すると、後続車両が対向車と正面衝突したり自分の車両と接触したりする危険があることから、1.のようなルールが定められています。
また2.のように道を譲れば後続車両からあおられる心配がなくなるほか、後続車両が渋滞せずに済みます。
前を走る車両にもこのようなルールがあるため、覚えておきましょう。
そのほかノロノロ運転のドライバーが後続車両に追い越された腹いせにクラクションを執拗に鳴らす行為も、道路交通法第54条第2項の「警音器使用制限違反」に当たる可能性があります。
同条では危険防止上やむを得ない場合を除き、標識などで指定された場所や区間以外でクラクションを鳴らすことを禁止しています。
加えて、上記の中でも最低速度違反と急ブレーキ禁止違反、警音器使用制限違反については状況に応じて「あおり運転」とみなされ厳しい罰則を受けるおそれがあります。
具体的には、それらの違反によって交通事故やクルマを停止させるなど著しい交通の危険を生じさせた場合、罰則として「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」のほか、違反点数35点で免許取消し(欠格期間3年)となります。
またそれには至らなくても、交通の危険を生じさせるおそれのある運転をした場合は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」に加え、違反点数25点で免許取消し(欠格期間2年)の処分を受けることがあります。
※ ※ ※
もしあおり運転を受けたら出来るだけ安全な場所へ避難し、相手が追いかけてきた場合に備えてドアロックをしておきましょう。
また可能であれば同乗者に警察へ通報してもらうほか、ドライブレコーダーやスマートフォンといった撮影機器で証拠を残しておくことも大切です。