「発達障害」の兆候となる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!

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最近ではよく耳にするようになった発達障害ですが、発達途中のお子さんを持つ親御さんなら気になるところではないでしょうか?

また大人の発達障害ということもよく聞くようになりました。
生きづらいと感じていたら発達障害だったと大人になってから診断される方も増えてきています。

また、仕事などで一緒に働く部下とのコミュニケーションに困っている上司の方や同僚の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、そのような発達障害について特徴から症状、治療と対策まで詳しくご紹介します。
お子さんの発達・ご自身の感じる生きづらさ・身の回りの方についてなど心当たりのある方はぜひ参考にしてみてください。

※この記事はMedical DOCにて『「発達障害」の兆候となる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

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監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)

徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

発達障害の兆候と症状

どのような兆候がみられますか?

それぞれの障害で以下のような兆候がみられることが多いです。主に幼少期で見られる兆候ですので参考にしてみてください。まずは自閉症スペクトラム障害(ASD)です。

目を合わせない

指差しをしない

後追いをしない

微笑み返さない

他の子どもに関心を示さない

言葉の発達が遅い

こだわりが強い

一人遊びが多く、集団活動が苦手

かんしゃくを起こす

次に注意欠陥多動性障害(ADHD)をみていきましょう。

落ち着きがない

座っていても手足をもじもじする

席を離れる

おとなしく遊ぶことが難しい

他人の会話やゲームに割り込む

学習障害(LD)については、全般的な知的発達には問題が無いが、読む・書く・計算するなどの特定のことが困難に感じる場合が多いです。

症状を教えてください。

注意欠陥多動性障害(ADHD)です。

空気が読めないので周囲の人のひんしゅくを買ってしまうことがある

仕事では融通が利かず臨機応変な対応ができない

孤立してしまう・受け待過ぎる・一方的過ぎるなどの対人関係が苦手

方法や順序、並べ方など強いこだわりがあり、いつも通りでないと気が済まない

興味のあることには優秀な結果を残す、興味のないことはほぼ手を付けない

自分の興味のあることばかり話し、相互的な会話が難しい

自分の興味があることは何時間でも熱中してやり続ける

仕事が臨機応変にこなせない

周りの人と違う言動で「空気が読めない」と言われることがある

注意欠陥多動性障害(ADHD)です。

スケジュール管理ができない

他人の会話やゲームに割り込む

学校の勉強でミスが多い

課題や遊びに集中し続けられない

話しかけられても聞いていないように見える

やるべきことを最後までやり遂げない

課題や作業の段取りが苦手

整理整頓が苦手

忘れ物や紛失が多い

気が散りやすい

計画的に物事を進められない

そわそわして落ち着かない

他のことを考えてしまう

感情のコントロールが難しい

最後に学習障害(LD)も確認していきましょう。

読む・書く・計算するといった特定のことができない。

学習成績や社会生活で非常に困難が生じる。

いずれも症状は個人差があります。また社会生活、対人関係においてもうまくいかないと悩み、うつ病などの精神疾患を患う可能性もあります。

発達障害の原因を教えてください。

原因として分かっていること、まだ分かっていないことが発達障害にはあります。
以下にまとめました。脳機能の障害、遺伝・DNA異常においては、遺伝的要因が大きいとされてきたようです。
ですが、両親が正常で子どもが自閉症スペクトラム障害と診断されるケースもかなり多く遺伝的要因を説明できない症例もあり、まだまだ発達障害の脳機能障害は分かっていないことが多いようです。
妊娠中の環境要因についてご紹介します。妊娠期間に母親が感じるストレスが胎児に影響を与えるといわれています。具体的には、

暑さや寒さ

騒音

細菌やウィルス感染

薬や化学物質

心理的ストレス

などがあげられます。後は遺伝要因と環境要因の組み合わせも影響するといわれています。

どのような検査で診断されますか?

いざどこに相談に行けばいいか迷うかと思います。
子どもの場合は小児科・子どもの心療内科地域の療育センターなどに相談できます。
大人になってからの診察は精神科・心療内科に足を運ぶと良いでしょう。
精神科や診療内科でも発達障害について診断してくれる医療機関は限られているので、事前に問い合わせておくと安心です。
主に問診を行い、診断基準を基に診断されます。障害によって、少し診断方法も変わります。自閉症スペクトラム障害(ASD)
診断基準を基に主に問診によって診断。心理検査やRAADSといったスクリーニング検査を併用することもある。注意欠陥多動性(ADHD)
診断基準を基に心理検査と併用した問診により診断学習障害(LD)
診断基準を基に認知能力検査と併用した問診により診断チック症
診断基準を基に問診によって診断吃音
診断基準を基にした問診
文章の読み上げによって吃音の現われ方をチェックする検査を用いて診断

編集部まとめ


発達障害の症状は、一見その人個人の性格にも感じてしまいます。それは本人にもそうですし、周りの人達から見ても「変わった人」と思われてしまいます。

それにより知らず知らずの内に自分自身を追い込んでしまう、発達障害を持つ子どもの親であれば「なぜ…この子はこうなんだろう?」と追い込んでしまいがちです。

そのような時に「発達障害」や「発達障害の傾向がある」ということが分かれば、自分や子どもが周りの人と違うのは、障害があるからなんだと生きづらさから解放されるのではないでしょうか?

今回の記事で、少しでも生きづらいと感じていることが和らぐお手伝いができていれば嬉しいです。

参考文献

発達障害(厚生労働省)