圏央道「成田空港東IC」実現なるか!? 空港”大規模拡張”に合わせ「新ターミナル直結」千葉県が国へ協力要望

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成田空港の「新ターミナル」へ直結

 千葉県は2024年6月13日、国に対して2025年度の予算確保に対する要望を発表しました。
 
 そのなかで、圏央道の未開通部(大栄JCT〜横芝松尾IC)に、成田空港直結の新たなインターチェンジを設置するべく「事業化に向け、必要な協力と助言を行うこと」を国へ求めています。
 
 実現すればどう便利になるのでしょうか。

圏央道の成田市内の開通イメージ(画像:国土交通省)。

 圏央道は首都圏の約50km圏の郊外部をぐるりと周り、木更津からつくば、久喜、桶川、八王子、海老名、茅ヶ崎を経て横浜市内までつながる計画です。全長300kmのうち残る未開通部は、成田空港周辺と横浜市内の計2か所を残すのみとなっています。

【画像】超便利!? これが圏央道「成田空港新ターミナルIC」の計画イメージです(30枚以上)

 その成田空港周辺の未開通区間ですが、工期延期もありつつ「大栄JCT〜国道296号IC(仮)」が2025年度、「国道296号IC〜横芝松尾IC」が2026年度開通予定となっています。

 さて、大栄JCT〜国道296号IC間にはもうひとつ「成田小見川鹿島港線IC(仮)」というICが計画されています。この交差道路は、成田空港B滑走路の南端を、地下トンネルで東西につらぬく道路です。国道295号を経て成田スマートICから東関東道へ直結となるほか、東には旧栗源町までつながっています。

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 ところで、千葉県が要望しているのは、これとは別の”もうひとつの新設IC”です。まだ計画が具体化していないため、NEXCO東日本はじめ各主体の図面には書かれていません。

 背景には、成田空港を南東側へ大拡張し、新たな「C滑走路」を整備する計画があります。このC滑走路はB滑走路から南へ3.3km離れたところから伸びていき、現在「ユ」の字状のレイアウトが「エ」のようになります。

 空港敷地が南東へ拡張されることで、圏央道のすぐそばまで迫るようになります。さらに、現在の第2ターミナルの南側あたりに、統合された「新ターミナル」が整備予定です。

 この拡張計画をふまえ、圏央道に新たなICを追加設置することで、将来の新ターミナル直結アクセスが実現するわけです。圏央道を通る高速リムジンバスも、圏央道を下りればすぐ空港ターミナルという便利な状況になります。

 新ICの位置としては「成田小見川鹿島港線IC」と「国道296号IC」の中間あたりが想定されています。

現在どこまで話が進んでいる?

 さて、この構想の今の進展状況ですが、成田空港と千葉県が連携し、計画具体化に向けて設置位置や構造などを検討中。今後は測量などの調査業務に着手するということです。

 しかし、実現のためには、国から「地域活性化インターチェンジ」に認定され、「連結許可」を受ける必要があります。そのために、今年も千葉県は国へ要望したというわけです。

 地域活性化ICというのは、開通後に追加でICを作る場合、運営するNEXCOではなく地方自治体が主体で設置するものです。鉄道の新駅設置でいえば、JRが自分から計画したのではなく地元請願によって設置するものが近いでしょう。

 しかし、地域活性化ICは「高速自動車国道」に限定されるという”制度上の制約”があります。圏央道はバイパスに近い「自動車専用道路」という位置づけで、今のままでは設置が認められません。

 そのため、今年5月には、「圏央道も地域活性化ICの制度に当てはまるように、国で何とかしてくれ」という要望も行われています。

 成田空港のC滑走路完成は2029年の予定。圏央道は一足先に開通し、あとからこの追加ICがつながってくる構想ですが、果たして正式な事業化はいつになるのか、今後の動向に注目です。