21日の裁判では“五分刈り”姿で出廷した長田凪巧被告(画:Minami)

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勤務していた保育園で複数の女児らにわいせつな行為をしたとして7回逮捕されている元保育士の長田凪巧(なぐみ)被告(27)の公判が今月6日と21日に東京地方裁判所(室橋秀紀裁判長)で行われた。起訴された事件のうち6日に行われた初公判では3件、21日に行われた第2回公判では1件について審理された。

長田被告は「すべて事実です」と、起訴された4件の犯行についていずれも認めた。追起訴されている分の審理は今後行われる。

場所は「押し入れ」か「トイレ」、バンダナで目隠し…悪質犯行

2年前の4月から、父親が運営する東京都墨田区の私立認可保育園で勤務するようになった被告。クラス担任ではないものの、午睡(昼寝)見守りなどを任されていた。被告はこの「昼寝見守り」の時間を使って複数の犯行に及んでいた。

昨年10月6日午後2時頃、昼寝見守りをしていた際、Bちゃんをトイレに呼び出し、バンダナで目隠しをした上でわいせつな行為をし、その様子を園から貸与されているスマートフォンで撮影。データ共有機能を使用し自身のスマートフォンに送信した。

同月10日同時刻には、今度はAちゃんを押し入れに呼び出し、バンダナで目隠しをしてわいせつな行為をし、個人所有のスマートフォンでその様子を撮影していた。

さらに12月28日の午後1時30分頃、昼寝の時間に起きていたCちゃんにプラレールの部品のありかを聞くフリをして声をかけ、押し入れに誘導しバンダナで目隠しをして、わいせつな行為をした。

Cちゃんが帰宅後、母親に被告と押し入れに入ったことや目隠しをされたことなどを報告。これをきっかけに一連の事件が発覚した。12月30日、園が緊急保護者会を開き事態の説明を行った。

検察が読み上げた保護者らの意見書によれば、被告は保護者会で押し入れに女児らを呼び出したことは認めつつも、わいせつ行為は認めず、始終頭を抱えていたという。その後、被告は1月17日に逮捕された。

一方、この緊急保護者会で事件を知ったDちゃんの両親は、Dちゃんに対し被告と押し入れに入ったことがあるか、バンダナで目隠しをされたことがあるか尋ねると、Dちゃんはいずれも肯定。このことからDちゃんに対する犯行も発覚した。ただし犯行時期ははっきりとしておらず、証拠やDちゃんの証言などから昨年6~10月の間に複数回被害に遭っているとみられる。

検察側はAちゃん、Bちゃんに対する犯行を「不同意性交等罪」「性的姿態等撮影罪」「児童買春・児童ポルノ禁止法」、Cちゃんへの犯行を「不同意性交等罪」、Dちゃんに対する犯行を「強制性交等罪」(※)「児童買春・児童ポルノ禁止法」として起訴。被告はそのすべてを認めた。

※現・不同意性交罪。昨年7月に刑法が改正された関係で、犯行時期によって適用が異なる。

保護者「犯人はこの世にはいらない」
審理された4件について、公訴事実をすべて認めた被告(画:Minami)

裁判ではいずれの日程にも被害に遭った子どもたちの関係者が出席していたようで、傍聴席と検察側の間にはついたてが立てられていた。被告は検察官の奥から厳しい視線を感じるのか、眉間にシワを寄せ苦い表情を浮かべうつむいていた。

関係者らが直接被告に対して発言したり、意見陳述することはなかったが、検察官が保護者から提出された意見書を代読した。

「子どもは、子どもを預かり教育する立場である被告に性のはけ口にされた。許されることではなく、与えられる限り最高の厳罰を与えてほしい」(Aちゃん母親)

「子どもはいつも保育園で起きた楽しいことを報告してくれていた。楽しい場所だった保育所でこんなことになって、言葉にならないほどの怒りを感じている。犯人はこの世にはいらない。極刑にしてもらいたい」(Cちゃん母親)

「保護者会の後、無関係であってほしいと思いながら話を聞いたが、最悪の結果だった。私たち夫婦は谷底に突き落とされた。娘も被告にされたことが悪いことだったと理解してきているようで、私から離れなくなってしまった。時を戻してあげたいが、それはできない。被告には一番重い処罰を与えてほしい」(Dちゃん母親)

また意見書には、「本人からも、被告を雇用していた父親からもいまだに謝罪がない」という話もあった。

6日は耳にかかっていた黒髪を、21日の公判では五分刈りにしていた被告。罪と向き合っているという本人なりの“反省”の表現なのだろうか。

冒頭の通り、被告は7回逮捕されている。そのすべてが起訴されるかは不明だが、報道によれば少なくとも7人の女児が被害に遭っていたという。裁判はまだ始まったばかりだ――。