札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ【写真:徳原隆元】

写真拡大

札幌は東京Vに3-5で敗戦

 北海道コンサドーレ札幌は6月2日に行われたJ1リーグ第17節で東京ヴェルディに大量5失点を喫し、3-5のスコアで敗れた。

 5月29日にはミハイロ・ペトロヴィッチ監督をシーズン終了まで続投させるという異例の発表をしたなかで、5失点を許して最下位に転落。試合後の会見でペトロヴィッチ監督は「私とともにであろうが、私とともにではなくなろうが、私は(J1に)札幌は残らないといけないと思っている」と、最北のクラブがJ1に残るべきだと主張した。

 ペトロヴィッチ監督の続投を発表し、東京V戦を仕切り直しの一戦としたい札幌だったが、思うような戦いは見せられなかった。

 前半10分に最終ラインを突破されたFW木村勇大をGK菅野孝憲が倒してPKを与え、先制点を決められたのを皮切りに、札幌のマンマークを想定してきた東京Vに、簡単に背後を取られ続けた。MF駒井善成は「相手がしっかりビルドアップしてきて、食い付いたところの背後のスペースを使われ、3失点くらい同じような形から失点してしまった」と悔やんだが、チームは今の戦い方に自信を持てていない様子がピッチ内外で窺えた。

 今季終了までチームを任された指揮官には、この試合はどう見えていたのか。「3-5と敗れたスコアを見れば、非常に苦い敗戦である。もちろん1試合で8ゴールも入るような試合であれば、見ている方には面白いゲームではあったと思う。我々にとっては決して望むような5失点ではなかったですが。前半の立ち上がりに鈴木武蔵が抜け出し決定機があったが決まらずに、逆に自分たちがリードされる展開になった。オープンな展開だったと思いますし、どちらにもチャンスはあった」とペトロヴィッチ監督は試合後の会見で切り出し、それぞれの失点について言及した。

最下位の現状は「望んだ結果ではない」

「1失点目だが、今シーズン、たまに見る失点の形で、DFの選手がいないかのように相手選手に背後に抜けられて得点を許してしまった。もちろん(岡村)大八選手が背後を取られ、菅野選手がうしろのカバーに行けなかったかどうかというところの間にボールを落とされ、反対のセンターバックもカバーが遅れた。そのなかで生まれた失点だった」

2失点目も、この試合で何回か見られたイージーに危険なボールの奪われ方をしたなかでのカウンターからのシーンだった。カウンターを受けたなかで、最後に(中村)桐耶がシュートブロックに行ったが股をとおって失点した。ミスはサッカーだから必ずあるが、それでも防ぐことができた失点だったと思う。

3失点目、4失点目、5失点目にしても、我々の失点が非常に『安い』と思う。最後のほうで11番が打ったシュートは、きわどいところで外れたが、東京Vのシュートチャンスでの決定力は今日非常に高かったと思います。もちろんそういう場面で自分たちがシュートを許していることもあります。非常に危険な形で取られるミスが多く、カウンターも多い。そういった場面で自分たちが相手の攻撃を止め切れていないことも、5失点をした理由だと思います」

 3得点を挙げた攻撃面について「自分たちの形は出せていたし、チャンスも作れていて、得点もできた」と言うが、「1試合をとおしてみると、自分たちがやってはいけない場面でやってはいけないことをして、失点を重ねていることで試合が我々のものにならない。我々は今、最下位にいますが、最下位にいるには最下位にいる理由がある。選手が多く抜けたし、怪我人も多くいる。ただ、我々は結果で評価されるから、そういった言い訳が利かないことは分かっているし、結果の責任が監督である私にあるのも分かっている。この順位は決して、自分たちが望んだ結果ではない。そこに至るまでの理由は必ずある。自分たちは、ここからどう這い上がるかを見つめないといけない」と、チームの建て直しに取り組む意思を口にした。(河合 拓 / Taku Kawai)