(出所:『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』より)

「なぜかいつも周りの人とやることがズレてしまう」「簡単そうに思える意思の疎通ができない」など、さまざまな場面で困りごとを引き起こしてしまう発達障害ですが、その原因について、精神科医の岩瀬利郎氏は「定型発達の人と見えている世界が違うから」だと指摘します。

ではいったい、発達障害を抱えている人の見えている世界とはどういうものなのでしょうか。岩瀬氏の著書『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』から一部を抜粋・再編集して解説します。

みんなと「同じようにできない自分」に困っている

多動性・衝動性の傾向が強く、常にウロウロ・ソワソワと動いてしまったり、注意が次から次へと別のものに移ってしまったりしがちなADHD(注意欠如・多動症)の人。

DCD(発達性協調運動症)を持っているため、手に持った物をすぐに落として壊してしまったり、人に合わせた運動や行動が苦手だったりする人。

その他にも、感覚過敏、注意散漫、強いこだわり、新奇追求性など原因はさまざまですが、発達障害の人は、失敗やトラブルから周囲に心配をかけてしまったり、ときには怒らせてしまったりすることがあります。

こうした問題は、本人たちをますます窮地に追いやり、さらに大きなトラブルを招くという悪循環におちいる例も少なくありません。

まずは、発達障害の特性によって否応なく起こってしまっていることだと理解すること。そのうえで、適切なコミュニケーションをとることが大切です。

本人たちの特性をよく理解し、サポートしてあげられる第三者の存在が欠かせません。


(出所:『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』より)

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結論を急ぎすぎ、イライラが抑えられない


(出所:『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』より)

会社員のYさん(38歳・男性)は、仕事でも、相手が電話に出るのが遅いとイライラ、メールの返信が遅いとイライラ。すぐに答えを求め、結論が出ない会議にもイライラ……。メールにも思いつきでぱっと返信をしてしまい、早とちりしてしまったり、逆に、説明を端折りすぎて理解されなかったりすることもあります。

「なぜ周りの人が悠長に構えていられるのかわかりません」と言うYさんのような人は、定型発達の人とは、“時間の感覚が違う”と考えてもよいでしょう。

自分とは"時間の感覚が違う"人がいる


(出所:『マンガでよくわかる! 発達障害の人が見ている世界』より)

必ず結論から話すことで、会話もスピーディーになります。行動を予測し、次に望みそうなものを先回りして用意しておくことも大切です。仕事の報告をするときは、突っ込まれそうなポイントは、あらかじめ答えを用意しておきましょう。


このように、せっかちな人に合わせていると、自然と自分の考え方や行動から無駄が省かれていくメリットもあります。

生きづらさを抱えるあなたへのヒント!

せっかちは必ずしも欠点ではありませんが、もし改善したいと思っているのなら、「しないこと」を意識しましょう。

「人の話をさえぎらない」「せかすように相づちを打たない」「人のペースに口を出さない」などなど。

こうした「しないこと」を少し意識すれば、あなたはより付き合いやすい人になっていくはずです。

(岩瀬 利郎 : 精神科医、博士(医学))