入管収容のカメルーン人、「死にそう」と訴えたのに救急搬送されず死亡…二審も国に165万円賠償命じる
東日本入国管理センターで収容されていたカメルーン人男性(当時43)が2014年に亡くなったのは、男性の容態が急変した時点で救急搬送を要請すべき義務があったにもかかわらず怠ったためだとして、遺族が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が5月16日、東京高裁であった。
増田稔裁判長は、国に165万円の支払いを命じた1審・水戸地裁の判決を支持して、原告・被告双方の控訴を棄却した。原告代理人は、今後、カメルーン在住の遺族と上告について相談して検討するとしている。
●繰り返し「死にそうだ」と叫んでいた
男性は2014年3月、収容中の東日本入国管理センター(茨城県牛久市)で痛みを訴えていたが、そのまま放置されて亡くなった。繰り返し「死にそうだ」(I'm dying)と叫んでいる映像が残されている。
男性の母親は2017年9月、国と当時のセンター長を相手取り、損害賠償1000万円を求める国家賠償訴訟を起こした。
水戸地裁は2022年9月、救急搬送を要請しなかったことと、男性の死亡との間の因果関係を否定したが、注意義務違反を認めて、国に165万円の支払いを命じた。
原告代理人によると、入管施設に収容されている外国人の死亡について国の責任を認めた初めての判決だったが、原告・被告双方が不服として控訴していた。