脇屋シェフから薫陶を受けた愛弟子が渋谷に九州愛あふれる中国料理店をオープン!
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今年1月に渋谷・金王八幡宮の近くにオープンした「ON the TABLE CHINESE」。中国料理の重鎮、脇屋友詞シェフのもとで研鑽を積んだ平賀大輔シェフの赴任先で出会った九州食材を中心にした、一味違う“お馴染み料理”にリピーターが続出!
金王八幡宮のお膝元にオープン
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渋谷駅から徒歩8分、喧騒から逃れた落ち着きのある場所にオープンした「ON the TABLE CHINESE」。ふと横を見ると金王八幡宮の鳥居が見え、何だか縁起が良い気がします。
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店主の平賀大輔さんは1999年に現在の株式会社Wakiyaに入社。「トゥーランドット横浜」を皮切りに「トゥーランドット 赤坂店」「トゥーランドット 晴海店」、「食べログ 中国料理 TOKYO 百名店」にも選出されている「Wakiya 一笑美茶樓」、「上海ドールバイワキヤ」「蓮双庭」「dots」と、23年間、脇屋友詞シェフの薫陶を受けてきました。平賀さんが大きく成長したのは脇屋さんの目が届かない「上海ドールバイワキヤ」と「蓮双庭」に赴任した時でした。「それまでは料理のことだけ考えれば良かったけれど、そこからは料理人として脇屋の味を守りつつ、スタッフの教育や環境作り、仕入れ、売上を伸ばすための改革などトップとしての役割も担うことになりました。最初はきつかったけれど、だんだん良い方向に変化していくことが本当に楽しかったですね。あの時の経験があるから今があります」と語ります。
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店内には「どうしても作りたかった」と言うカウンターと個室、そして窓側に4人掛けのテーブル席が1つあります。カウンターを白い大理石にしたのは「肌が美しく見える」と女性客に喜ばれたからだとか。
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こちらは個室です。個室利用のない時は予約人数に合わせてテーブルの配置を変えて使用したりと、さまざまなシチュエーションに対応しています。
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提供するのは3種類のおまかせコース(6,600円、13,750円、22,000円)とアラカルト。お一人様には春巻きを1本にするなどメニューによってはポーションを小さくしたり、コースの〆は一人ずつ別に選べたりと、店の造り同様、料理も可能な限りリクエストに応じられるように準備しています。上海料理をベースに甘みとコクのある九州ならではの食材や調味料をミックスした独自の味わいは、味に精通した人をも驚かせます。
皿ごとの緩急が絶妙のおまかせコース
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それではおまかせコースから数品ご紹介しましょう。こちらの「前菜の盛り合わせ」には、蒸した海老芋とローストした松の実に熱したピーナッツ油をまとわせて調味料と和える「海老芋と松の実のロースト」や「筍と芥子菜の漬物 紹興酒炒め」、クラゲは黒酢とニンニクで、キクラゲは甘酢で漬けて味の変化を楽しませる「クラゲの頭とキクラゲの酢漬け」といった伝統料理や、発酵唐辛子や五香粉などで味付けした“中華版”「パテドカンパーニュ」「青山椒のスパニッシュオムレツ」「クミン風味のニンジンラペ」、クローブと西洋シナモンとブルーベリーで漬けた「ビーツのピクルス」のようなアイディア料理が並び、さながら宝箱のよう。
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こちらは看板メニューの「焼豚」です。使用するのは鹿児島県鹿屋市の「ふくどめ小牧場」でしか飼育していない「幸福豚」のバラ肉。客が着席してから焼き始め、コースの3品目で焼き立てを提供します。
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たまり醤油や大豆味噌などで甘く漬けた豚は濃いめの味付けながらくどさはなく、塩味の利いたピーナッツと一緒に頬張ると、その甘じょっぱさに箸が止まらなくなります。上海だとピーナッツは煮るそうですが、平賀さんはカリっと炒っています。
アラカルト(2,200円)でもオーダーでき、この味にハマって追加する人も。
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こちらは本日のメイン料理。ドフィノワをイメージしたジャガイモのグラタンの上に、黒酢で味付けした熊本県天草市「田中畜産」の黒毛和牛と福岡県能古島産の「ピーナッツもやし」と糸島「久保田農園」のハーブをのせ、最後にケイジャンスパイス粉を振りかけエスニックに仕上げた一皿。シャキシャキした食感と豆の味が強調されたピーナッツもやしがいいアクセントになっています。付け合わせには肉まんの生地で作ったフォカッチャ風のパンを。蒸しパンにしないところがニクイ!
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甘めに味付けした肉には刻んだザーサイを入れた爽やかなニラソースを合わせ野菜もふんだんに盛り付けたり、酸味の強さはスパイスで調和させるというように、平賀さんの料理はバランス力が本当に素晴らしい!
アイディアがあふれて増え続けるアラカルトメニューも必食!
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4月から始めたアラカルトも魅力的なラインアップです。こちらは上海料理にはないので味の方向性を考えたという「麻婆豆腐」。試行錯誤して見いだしたのは4種類の油を入れること。ネギ油でベースを作り、胡麻油でうまみを逃がさないように膜を張り、山椒油でスパイシーさを、十味唐辛子で作った辣油で辛みをつけています。長ネギと蟹肉でシャキシャキとした食感を作り、天草の黒毛和牛のひき肉で甘みとコクを引き出しました。
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こだわりはバスマティライス。主にインドやパキスタンで食されるバスマティライスは粘りがなくパラパラで軽い食感。独特の香りも平賀さんの麻婆豆腐に合うんです。
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粘りがなく長細い粒ゆえ、炊き方が難しく、洗う時もうっかりすると粒が折れてしまうそう。だからといって水分量を多くするとおいしくない。土鍋でゆっくり炊くのがコツなのだとか。
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「何度か失敗したおかげでお粥がおいしいというのがわかったんです。ミキサーで細かくしたバスマティライスを紹興酒で炊いて、鶏のセセリとセリの餡をかけたらめちゃくちゃおいしかった」と、常連さんメニューに加わったそう。日本米の白飯の用意もありますが麻婆豆腐にはぜひバスマティライスをお試しあれ。
自由で楽しい! だからまた来たくなる
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こちらの料理にはビールも紹興酒も合いますが、ソムリエの資格を持つ平賀さんが自ら選んだワインをぜひ。「ジャケ買いしたのもあります」と言うヴァン・ナチュールが多く、自分で飲んでみて「あ、軽いな。前菜にすすめられる」「ロースト香が中華には合う」「甘いから初々しいカップル向けかな」というように、シチュエーションを想像して買い付けています。価格はグラス900円〜、ボトル5,000円からとリーズナブル。すっきりとした味わいのスパークリング、オーストラリアの「COWPUNK」は牛乳瓶を再利用したボトルがかわいい!
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「トゥーランドットにいた時のあだ名は“仏の平賀”でした」と言うくらい、話し上手で初対面でもすぐに打ち解けてしまう平賀さん。カウンターでは「ウチの人気NO.1はザーサイで、ほとんどの方がお代わりされます。先日も1組で4皿頼まれたんです。目標はザーサイに勝つことです。ザーサイに勝てる料理を作らなければ!」なんて、クスリと笑ってしまう話を聞いていると楽しくて時間の経つのを忘れてしまいます。
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人気メニューの「黒酢の酢豚」「ニラ醤油スープ麺」や、リクエストが多くて裏メニューとなった「高菜炒飯」など、毎日来ても食べきれないほど豊富なレパートリーに新しい発見は尽きません。料理、空間、サービス、何もかもが自由で楽しいこの店を出た途端、次はいつ行こうかと思ってしまうのです。
※価格はすべて税込(コース利用の場合はサービス料別途10%)
<店舗情報>
◆ON the TABLE CHINESE
住所 : 東京都渋谷区渋谷3-2-6 帝都青山ビル 1F
TEL : 050-5593-3181
文:高橋綾子、食べログマガジン編集部 撮影:溝口智彦