浦島坂田船

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浦島坂田船 Spring TOUR 2024 -四春祭-
2024.4.28 有明アリーナ

人気と実力を兼ね備えた歌い手、うらたぬき、志麻、となりの坂田。、センラの4人で結成された最強ユニット・浦島坂田船。結成11年目を迎えた今もcrew(浦島坂田船のファンの呼称)は増え続けている。そんな浦島坂田船が春の恒例行事ともいうべき、全14公演の春ツアー『浦島坂田船 Spring TOUR 2024 -四春祭-』を敢行。そのツアーファイナルを4月27・28日の2日間、満員の有明アリーナで行った。ここでは最終日、4月28日の公演の模様をお伝えしよう。

ライブが始まる前から会場周辺は完全にお祭りモード。コラボフードの販売やメンバーへのお願いを書き込む絵馬のブースなどが設置され、華やいだ雰囲気だ。crewも推しの缶バッジなどで飾った“痛バッグ”や、メンバーカラーをフィーチャーしたファッションで推し愛をアピール。ライブへの期待感をうかがわせた。

会場はメインステージ中央からアリーナの客席中央に花道が延び、センターステージが設置されるという、広い会場ならではのセッティング。客席が埋まり、開演時間を迎えると、場内の照明がゆっくり落ちていく。ふと周囲を見ると、アリーナやスタンド席の通路にキツネのお面をつけ、フードをかぶり、全身をすっぽり覆った服の人が何人も練り歩いているではないか。提灯を持った人もいて、まるでキツネの嫁入りのような光景だ。ややホラー風味すら感じながらも、観客は非現実の世界に引き込まれていく。鐘の音を合図に、キツネ面の人々がステージに上がり、何名かは踊り始める。その後、いったんソデに引っ込んだかと思うと、再度ステージにキツネ面の人々が現れ(ここで多くの観客も、ひょっとしてこの中に……と気づく)、続いてひとりずつお面とマントを脱いでいくと、うらたぬき、志麻、となりの坂田。、センラが華麗に姿を見せるというオープニング! 観客の大歓声が一気にフルボリュームとなり、同時にメンバーカラーの緑(うらたぬき)、紫(志麻)、赤(となりの坂田。)、黄色(センラ)のペンライトが激しく揺れ始めた。

うらたぬき

志麻

1曲目の「SAKURA FUBUKI」で、すでにテンションは爆上がり! 花火などの特効も炸裂し、空気が一変。2曲目の「ミダリニハルイロ」では、4人が軽やかなダンスで魅了。その後も「貴方と云ふ花」「恋色花火」など、春らしい楽曲を披露していく。春ソング中心のセットリストが心地良い。「恋色花火」では、4人が客席に囲まれたセンターステージに移動し、「俺達の名前を呼んでくれ~!」と、観客を煽った。以降も「グッド・バイ」「花魁俺嵐コンフュージョン」などの人気曲を連発。前半から激アツのパフォーマンスとなった。7曲目の「アワ・ダンサー」ではメンバーがそれぞれトロッコ車に乗り込み、左右から2人ずつ発進。アリーナの通路を1周するというファンサを展開。全方位のファンに手を振りながら、アゲアゲチューンで盛り上げた。

浦島坂田船

曲が終わり、メインステージに戻った4人は、ここで射的ゲームを提案。その結果、次に歌うデュエット曲(メンバーいわくデート)の相手を決めるという対決が繰り広げられる。結果、麗しいキメ顔で臨んだ志麻がセンラとのデュエット権を獲得。次のブロックで、まず志麻とセンラが「SHININ'DAYS」を、うらたぬきととなりの坂田。が「Happy tap people」を歌唱。ミディアムテンポの「SHININ'DAYS」では、志麻がこみあげる感情で目を潤ませて、ファンをキュンキュンさせ、「Happy tap people」では、うらたぬきととなりの坂田。が、アグレッシブな歌でテンションを上げていった。その後、志麻とセンラがステージに戻り、4人が揃うと、志麻は「最高に楽しんでいこうぜ!」と叫び、「祭唄」で祭りモードへ。

浦島坂田船

センラ、志麻

このまま一気に畳みかけるか……と思いきや、クールダウンの時間となる。メンバーが楽屋に戻ると、ここで爆笑必至のムービーが上映される。その内容はメンバーがスペシャル屋台チャレンジで対決。金魚すくいと射的で実力を競い合うというもの。金魚すくいのプールには普通の金魚の他にも出目金やなぜかドジョウが入れられ、4人はガチで没頭。射的では、パワーアップアイテム(吹き矢、パチンコ、弓、マシンガン)が用意され、それぞれが一喜一憂。最強アイテムのマシンガンを手に入れた志麻は高得点を狙い、デカいサイズの木彫りの王将(蕎麦屋とか実家にあるような置物)を狙うも、王将コマはびくともせず、逆に志麻ははじかれた大量のBB弾を浴びるハメに(ただ、彼はここで最高ポイントを獲得(笑))。こういう遊びを本気で楽しむ無邪気さも浦島坂田船の面白いところだ。

となりの坂田。

センラ


 

動画上映が終わると、カジュアルな衣装に着替えた彼らが再登場。「鈍色Wheels」、「シャドウ」など、アッパーチューンであっという間に会場をライブモードへ引き戻した。さらに、後半ブロック前には各メンバーのソロコーナーが用意され、一番手にうらたぬきが登場し、「だれかの心臓になれたなら」を熱唱。客席はグリーンのペンライトで埋め尽くされた。心に響く切ない歌詞を情感豊かに歌ったうらたぬきの目には光るものが……。次はとなりの坂田。の「ロスタイムメモリー」。もちろん、場内は赤色に染まる。やんちゃなキャラの彼らしく、熱いパフォーマンスでcrewの声援に応えた。3番目はセンラ。イエローのペンライトが揺れる中、彼が歌ったのは「さよならメモリーズ」。春の別れを綴った曲だが、センラは艶っぽく歌い上げた。ソロコーナーのトリには志麻が登場。彼は多くの歌い手に愛されている人気曲の「バレリーコ」をチョイス。紫のペンライトを掲げた観客は“エッサホイサ!”のコールでブチ上がり、後半戦への起爆剤となった。

ソロコーナー後に再び4人が集結すると、バイラルヒットとなったCreepy Nutsの「Bing-Bang-Bang-Born」を投下。盛り上げどころを熟知した選曲はさすがのひと言だ。最終ブロック前にはツアーを振り返り、軽快なMCでエピソードを語ってくれた彼ら。そこで、となりの坂田。が飛行機に乗り遅れるという衝撃の事件(!)を暴露される。また、crewの願いごとが書かれた絵馬がズラリと並んだボードがステージに運ばれ、いくつかを読み上げて話題を広げ、トークでも楽しませてくれた。

後半ブロックは「ゼンシンゼンレイ好きさ」から「完全燃焼~春祭り~」まで、ノンストップのパフォーマンスで場内を圧倒。途中、「Pathfinders」ではまたもトロッコ車で通路を移動し、crew達の声援を受け止めた。こうして約2時間半の本編は、あっという間に終了したが、もちろん祭りはアンコールへと続く。

浦島坂田船

そのアンコールは「合戦」でスタートした。センターステージで歌う4人は、さすがにリラックスした表情を見せる。曲が終わると、観客ともしっかり記念撮影。続けて今回のツアーを振り返り、それぞれが感想を語った。

「このライブってダンサーとかバンドとか、(ステージの)裏にもとんでもなくたくさんの人がいるんですよね。本当にたくさんの人に支えられて……それが嬉しくて楽しくて。でも、何より会場に足を運んでくれたみんながいてくれたから、こうしてツアーができました。14公演のツアーを作ってくれてありがとうございました!」(センラ)

センラ


「ホールも含めてこんな大きい会場でやらせてもらってて、マヒしてたりすることもあるんですけど、それなりにリスクもあると思っていて。もしかしたらお客さんが来てくれないかもしれない……でも、そんな僕らをいつもみなさんは正解に導いてくれる。やっぱり浦島坂田船の魅力ってcrewを含めた熱い気持ち、集まってくれるみんなの気持ちなんじゃないかなと思います」(となりの坂田。)

となりの坂田。


 

「うらたです。ありがとうございます。声出しライブが出来るようになって、リハーサルから楽しいです! ライブでもみんなの声がホントに嬉しくて。何ひとつ俺らは間違ったことをしてないなと……ちゃんとした道を進めているなと思ってます。それもこれも皆さんのおかげです。ありがとうございます!」(うらたぬき)

うらたぬき


 

「どうでしたか、みなさん、楽しんでくれましたか! いろんなスタッフさんと打ち合わせして、いろいろ作らせてもらって(彼は演出にも関わっている)。本当にみんなから声援をもらえると、やってよかったなって思います。メンバーのみんなにもスタッフにも、来てくれたみんなにも感謝です。本当にどうもありがとう!」 (志麻)

志麻


どのメンバーの言葉にも、感謝の思いが滲んでいた。そして、ここからがラストスパートである。熱い感謝の言葉から「絶景」へ。桜が似合う曲に観客も熱狂! こうしてツアーファイナルはついに大詰めへ。大ラス曲は「花や、花」で、ライブの一体感は最高潮に達した。曲のエンディングではメンバーのジャンプと共にカラフルなテープが発射され、お祭りは終了。拍手と声援が渦巻く中、4人はバンドメンバー、ダンサーらと一列に並び、深々と一礼して春ツアーを締めくくった。普通ならここで全員がステージをはけるところだが、メンバーはまたしてもトロッコに分乗、最後まで観客に手を振り続けた。あらゆるところにcrewを楽しませようという浦島坂田船らしいエンタメ精神が散りばめられた公演だった。

浦島坂田船

これからしばらく彼らとは生で会えないのか……と思いきや、ファイナル翌日の4月29日に、7月20日からスタートする全国アリーナツアー『浦島坂田船 SUMMER TOUR 2024 Weddiing』の詳細が発表となった。夏休みを狙うとは、さすがとしか言いようがない。この夏は、浦島坂田船がまたしてもすごい景色を見せてくれそうだ。

浦島坂田船


文=海江敦士
撮影=堀卓朗(ELENORE)、今元 秀明