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マンションやアパートが「ペット不可」の賃貸物件なのに、こっそり飼っていて「バレてしまった」という人が少なくないようです。

弁護士ドットコムにも、猫を飼っていたのがバレて、怒った大家さんから「来月で出ていけ」と言われたという法律相談が寄せられています。

その後、相談者には解約通告書も送られてきたといいます。猫は施設に預けるそうですが、相談者はこのまま住み続けることができるのでしょうか。金岡紗矢香弁護士に聞きました。

ペットNGのマンションだけど猫を飼いたい!

--ペット不可の賃貸物件で猫を飼っていたのが明らかになった場合、大家(貸主側)からの退去の求めに応じないといけないのでしょうか

マンションやアパートでペットを飼いたいと思っても、ペットの飼育を不可にしている賃貸物件が大半です。ペット可の部屋を見つけたのに、相場より家賃が高いといった理由で入居を諦めたことがあるという人もいるでしょう。

それでは、ペット不可の部屋でこっそりと猫を飼っていることが大家や管理会社など貸主側にバレたらどうなるのか考えてみましょう。

まず、賃貸物件で猫を飼えるかどうかは、賃貸借契約の内容によって決まります。ペットの飼育が不可なのに猫などを飼っていたら、この契約に違反していることになります。

また、ペットを飼える賃貸物件でも、「小型犬・猫2匹まで」「小鳥・小動物のみ可」など、飼うことができる動物に条件がある場合、その条件に従わないと、やはり契約違反です。

●「ペット飼育禁止の契約違反」でもただちに退去には至らない

--猫を飼っているのが大家(貸主側)にバレて、「ペット不可」の契約に違反したのであれば、やはり退去しなければいけないのでしょうか

結論から申し上げると、ペットの飼育という契約違反をしたからといって、貸主から退去を求められたとしても、必ずしも部屋を退去する必要はありません。退去しなければならないのは、契約違反によって貸主と借主の「信頼関係が破綻」した場合です。

まず、「信頼関係が破綻」とはどのようなものか説明します。

たとえば、貸主が「家賃を1カ月分滞納したら契約を解除する」と賃貸借契約書に記載していたとします。

しかし、支払い忘れなどのうっかりミスでも、1カ月分の滞納だけで退去を拒否できないとなると、賃貸借契約は借主にとって非常に不利なものとなってしまいます。

そのため、1カ月分の滞納で契約を解除すると契約書に記載していても、実際は3カ月分以上の家賃滞納を目安に「信頼関係が破綻」したとして、退去となることが一般的です。

今回の相談では、怒った大家から出ていくように言われ、解約通知書も送られてきたようですが、発覚したあとに猫を施設に預けるのであれば、信頼関係が破綻したとまでは言えない可能性があります。

まずは、大家にきちんと謝罪するとともに、猫を施設に預けることや今の部屋では決してペットを飼わないことなどを約束して、このまま住み続けたいと伝えてみましょう。

もちろん、猫を預けないまま飼育を続けた場合や、猫を飼うことで他の住人に大きな迷惑をかけているような場合は、退去しなければならない可能性が高いと思われます。

また、猫が壁やフローリングを傷つけたり、臭いが残ったりすれば、退去時に敷金が返還されないだけでなく、追加の修繕費用を請求される可能性もあるため注意が必要です。

謝っても住み続けることを許してもらえない場合や、退去時に高額な修繕費用を請求されたような場合は、弁護士に相談してもよいでしょう。

【取材協力弁護士】
金岡 紗矢香(かなおか・さやか)弁護士
弁護士・行政書士。国内大手飲料メーカーの勤務を経て、弁護士資格を取得。浮気・不倫の慰謝料請求や離婚・男女問題、セクハラ・パワハラなどの労働トラブル、不動産トラブルなど、さまざまな分野の法律問題に精通し、幅広い内容の相談に応じている。第一東京弁護士会所属。
事務所名:弁護士法人プロテクトスタンス
事務所URL:https://protectstance.com/