帰宅難民にならないように…対策法と便利グッズでイザに備えよう【わが家の最新エマージェンシーギア選び】
【わが家の最新エマージェンシーギア選び】
東日本大震災では、首都圏で約515万人が帰宅難民になったとされている。職場で、または帰宅途中に災害があったら、どう行動すれば良いだろう。今一度考えるべく、危機管理アドバイザーの国崎さんに対策法を伺った。
■防災を日常に。"準備しない防災”を目指そう
「今すぐに避難する場合、いつも使っているバッグと防災リュックのどちらを持っていきますか?」と国崎さんは講演でよく問いかけている。そして、ほとんどの人が“いつものバッグ”を選ぶという。
「準備万端な防災リュックよりも、イザという時は財布やカギなどの貴重品、連絡手段となるスマホの方が大事ということです。それならば、いつものバッグに“最小限の防災グッズ”を入れておくのが合理的。最近はコンパクトなアイテムが多いので、小さなポーチに収まります。常に身につけて、使い慣れておくことで、必要な時に戸惑わずに活用できますよ。防災視点を持てば、レジ袋やリップクリームなど、どんなモノでも役立ちます。意気込んで備えるのではなく、“準備しない防災”で無理なく続けましょう」
防災グッズの他に、帰宅難民対策として準備しておきたいのが、防災アプリだ。
「“防災には地域のネットワークが不可欠”と言いますが、出先ではそうもいきません。今時は、アプリを活用して“必要に応じてつながる”のも一つの手段です。周りと助け合う場合は、ママ同士や同性といった同じ立場の人に声をかけて。必要なモノのシェアやプライバシー確保がしやすくなります」
危機管理アドバイザー/国崎信江さん
株式会社危機管理教育研究所代表。内閣府や文部科学省をはじめとする、防災関連の委員を多数歴任。女性・母・生活者の視点で防災対策を提唱し、様々なメディアで情報を発信する。災害時には支援活動も行っている
■バッグの中のモノも役立つ!
・レジ袋→給水袋、簡易トイレ、敷物、三角巾代わりに
・折り畳み傘→すき間風の風よけ、パーテーション代わりに
・リップクリーム→ワセリン成分なら止血&傷口保護に
・定規→骨折時の固定に
・鏡→反射させて光シグナルに
■今から入れておきたい防災アプリ
災害時は自宅近くにいるとも、周りに知り合いがいるとも限らない。だからこそ、避難所や帰宅ルートの確認手段、負傷時に周りに助けを求める手段として、今から防災アプリを入れておこう。
▼都民はまずコレ!住んでいる地域の防災アプリをチェックしよう
「東京都防災アプリ」
読み物やシミュレーションゲームなど、学べる&使えるコンテンツが豊富。事前にマップをダウンロードすれば、オフライン時も現在地を表示し、防災施設や帰宅ルートを確認できる。
▼次世代型119番通報
「Coaido (コエイド)119」
119番通報をすると、近くにいる救命知識保有者とAED設置先へ一斉にSOSと位置情報を発信。迅速に一次救命処置をサポートしてくれるので、慣れない場所でも頼りになる。
▼デイリーに使える
「MySOS」
緊急連絡先登録をした人や近隣のアプリユーザーに救援依頼ができる。タッチ操作だけでも可能なので、声を出せなくてもSOSできる。119番通報や医療情報の管理など、機能が充実!
■最小限の防災グッズ選びは“エレベーターに閉じ込められた想定”で
いつも持ち歩くバッグに入れておきたい、最小限の防災グッズ。モノ選びは“エレベーターに閉じ込められた時”を想像すれば良いと国崎さんは話す。
「補給する水分もトイレもない最も過酷な環境という想定です。8時間〜3日間くらい閉じ込められるとすれば、リアリティが出ます。まず水分ですが、水分補給ができて利尿作用が高くなく、腹持ちも良いゼリー飲料が良いでしょう。携帯用トイレには、黒いビニール袋もセットにすれば目隠しができて安心です。また、『防災グッズは値段が高い』という声を聞きますが、百均でも十分揃えられます。もしアウトドア用品をお持ちなら、ぜひ活用しましょう。性能・耐久性が優れているので、防災グッズに最適です」
▼普段から持ち歩く最小限のアイテムチェックリスト
・黒いビニール袋(45L)…給水袋や敷物、 着替え・トイレの目隠し、 防寒に
・モバイルバッテリー…軽量でスマホを2 回フル充電できるものがベスト
・お菓子…飴やチョコレートなど、食べ慣れた味だと安心
・応急手当て品…止血パッドは必須。 三角巾も持っておきたい
・携帯用トイレとポケットティッシュ…持っていると安心。自分に合う種類を見つけよう
・ゼリー飲料…水分補給と栄養補給が同時にできて、 腹持ちも◎
・コンパクトなヘッドライト…両手が空いて、自分の目線で照らせるので便利
・ホイッスル…声よりも大音量で助けを呼べて、防犯にも役立つ
▼余裕があれば+αで持っておきたい!
・レインポンチョ
・ソーラーパネル
・カイロ(冬)
・液体ハミガキ
・携帯用扇風機(夏)
■電気がなくても大丈夫! 備えない防災家電
「『いつか使うだろう』は出番を迎えません」と話す国崎さんが推奨するのは、“備えない防災グッズ”。自宅でも会社でも、 いつも使うモノは非常時に役立つモノを選ぼう
▼デイリー使いすれば電気代の節約にも◎
アピックスインターナショナル
「SOTOMO ソーラーパワーファン」(1万9800円)
太陽光で発電し、ポータブル扇風機とモバイルバッテリーの2役をこなす。USB PD対応で急速充電/給電可能。風量「Full」で約6時間連続し、パワフルに風を感じられる。
▼冬場の備えに電気不要で暖か&明るく
トヨトミ
「レインボーストーブ RB-25N(W)」(3万5200円)
灯油と電池で稼働する対流形石油ストーブ。実際の炎ならではの暖かさで、ムラなく空気を暖める。柔らかな7色の光は照明代わりにも。上に鍋を置けばお湯を沸かせて、調理も可能。
▼スマホに直接充電できて持ち運びはコンパクト
オーエス
「どこでも発電 ソーラーシートチャージャー」(GN-050実勢価格:8030円/GN-100 実勢価格:1万2320円)
曲げや衝撃に強いため、バックパックに付けての発電が可能。 最大出力は5.4W(GN-050)と10.8W(GN-100)。付属の収納袋に巻いて入れれば持ち運びやすく、アウトドアにも最適。
※2024年3月6日発売「GoodsPress」4月号78-79ページの記事をもとに構成しています<取材・文/竹林佑子 イラスト/ato>
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