むさしの森珈琲「1144円モーニング」にとろける朝

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ドリンクオーダーで無料でトーストが付くモーニングサービスが人気のむさしの森珈琲。写真は495円のものです。1144円モーニングは記事後半でご紹介しています(筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライター・ブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第67回となる今回、訪れたのは「むさしの森珈琲」です。

飲食店にて朝限定で提供されるメニュー、通称「モーニング」。発祥は喫茶店と言われていますが、現在はファストフードに牛丼チェーンにファミリーレストラン。カフェに焼肉に立ち食い蕎麦にドーナツショップなど、さまざまな飲食チェーンが参入しています。

集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。

今回は、「むさしの森珈琲」をご紹介します。「むさしの森珈琲」は、ファミリーレストラン業界売り上げランキング1位、外食業界3位のすかいらーく系列のニラックスが2015年に創業したフルサービス型の喫茶店です。

北は北海道から南は鹿児島まで、創業からわずか8年あまりで全国70店舗を展開する、急成長中のカフェチェーンのモーニングメニューは、大充実の内容でした。

むさしの森珈琲のモーニングは、ドリンクオーダーでトースト無料


(筆者撮影)

「むさしの森珈琲」のモーニングメニューの提供時間は開店から朝10時30分まで。一部店舗を除く、ほとんどのお店で食べることができます。

単品ドリンクを注文でトーストが無料でサービスになる、お得な「モーニングサービス」は5種類。

・トースト&ゆで玉子
・トースト&キャラメルホイップ
・トースト&いちごソース
・おぐらトースト
・チーズトースト

コーヒー、紅茶以外の全てのドリンクが対象で、ジュースでもOK。ドリンクメニューも30種類以上あり豊富です。価格は税込495円から。一部抜粋しておきます。


(筆者撮影)

・ブレンド珈琲 税込495円
・アイス珈琲 税込495円
・ピュアダージリン 税込495円
・アイスティー(アールグレイ) 税込495円
・コカ・コーラ 税込572円
・抹茶ラテ(ホット/アイス) 税込594円
・カフェモカ 税込616円
・バナナスムージー 税込616円
・フルーツソーダ 税込616円
・キャラメルポップコーンフローズンラテ 税込792円

ブレンド珈琲とトースト&キャラメルホイップで495円


むさしの森珈琲、ブレンド珈琲のモーニングサービス495円(筆者撮影)

税込495円の「ブレンド珈琲」をオーダーして、「モーニングサービス」のトースト&キャラメルホイップを組み合わせました。

家でも食べられるゆで玉子やいちごジャムと違い、生クリームや小倉あんでトーストをいただくのは、外食ならではの特別感があり、ついつい選んでしまいます。

トーストはハーフカットですが厚切りで、食べ応え抜群。パンを焼いてからバターを塗っているので、カリッと仕上がっており、かじるとサクッといい音がします。

別添えのキャラメルホイップはケチらずたっぷり入っているので、スプーンですくってトーストに載せてパクり。


厚切り食パンに、たっぷりの生クリームを載せていただきます(筆者撮影)

パンの香ばしさと、生クリームのふんわり食感、キャラメルソースのなめらかなほろ苦さのマリアージュで、口の中に幸福感が駆け巡ります。

大きなマグカップにたっぷり入った「ブレンド珈琲」

「ブレンド珈琲」は、甘いトーストとも相性ぴったり。深煎りで苦味とコクがあり、すっぱさは控えめで、ゴクゴク飲める飲みやすい味です。

大きなマグカップにたっぷり入っているのも嬉しいポイント。「どうぞどうぞ、ゆっくり過ごしてくださいね!」と言ってもらえている気分になります。


大きなマグカップにたっぷり入ったコーヒーは、本格的なおいしさ(筆者撮影)

ドリンクオーダーでトーストが付いてくるという、似たタイプのモーニングサービスを実施しているカフェチェーンだと、「コメダ珈琲店」と「星乃珈琲店」が有名です。

店舗により価格差はありますが、都心価格が適用される筆者の最寄りの店舗では、「コメダブレンド」は1杯税込600円、「星乃ブレンド」は税込650円。つまり500円以下の、ワンコインでコーヒーとトーストが食べられる、「むさしの森珈琲」はダントツのお得感です。

ほかにも盛りだくさんな朝限定メニュー

モーニングサービス以外の、朝限定のメニューも豊富です。お手頃価格で提供される定番のモーニングセットに、ふわふわのパンケーキ。おしゃれなエッグベネディクト、ホテルモーニングのような豪華なオムレツプレートに、サラダにお茶漬けまで。


メニュー表はこんな感じ。幅広く、書ききれないので一部を抜粋してご紹介します(筆者撮影)

・ゆで玉子モーニング 税込473円
・“むさしの森珈琲特製”ふわっとろパンケーキ 税込748円
・20品目のGOODバランスサラダ 税込968円
・炙りたらこと高菜油炒めの出汁茶漬け 税込968円
・エッグベネディクトプレート 税込1188円
・オムレツモーニング(ほうれん草&チーズ)〜選べるスープ&サラダ付〜 税込1518円

上記はいずれも単品販売価格ですが、ドリンクをセットにするとここから220円分値引きが適用されます。

ふわっとろパンケーキとフルーツソーダのモーニング


むさしの森珈琲名物のパンケーキに、セットドリンクのフルーツソーダで1144円(筆者撮影)/外部サイトでは写真を見ることができない場合があります。本サイト(東洋経済オンライン内)でご覧ください

「“むさしの森珈琲特製”ふわっとろパンケーキ」は、「むさしの森珈琲」の看板メニューです。

単品価格は税込748円。レギュラーメニューとしても同価格で登場しますが、朝のフードメニューはドリンクとセットにすると220円値引きされるため、お昼以降よりもお得に食べられます。

今回は税込616円の「フルーツソーダ」とのセットにしたので、パンケーキの価格は税込528円になり、合計価格は1144円。1000円オーバーのちょっとお高めの朝ごはんではありますが、見た目が100点満点すぎて、食べる前からお値段以上の満足感!


“むさしの森珈琲特製”ふわっとろパンケーキに、蜂蜜入りのメイプルシロップをたっぷりかけていただきます(筆者撮影)

絵本「ぐりとぐら」に登場するカステラのような、優しいたまご色の分厚いパンケーキと、宝石箱のようなカラフルなソーダ。大人もワクワクするような朝ごはんは、見ているだけで胸が躍ります。

ちなみにこちらのパンケーキ、注文時に「今からメレンゲを泡立てて焼きますので、20分ほどかかりますがよろしいですか?」と、確認が入るほど時間がかかります。

サッと食べてサッと出かけたい時には、超絶に不向きではありますが、逆に言えばこのパンケーキは優雅な朝食の証しなのです。

口の中で消えるふるしゅわパンケーキ

食べてみて驚いたのが、パンケーキの柔らかさです。石鹸の泡のようなきめ細かさで、想像よりもはるかに儚い。


フォークで刺してもつかめないぐらい柔らかい、繊細なパンケーキです(筆者撮影)

リコッタパンケーキの朝食は、以前当コラムでも登場した「bills」が有名ですが、あちらがねっちりもっちりとヘビーな食べ応えなのと比べると、軽やかでまるで別物です。

(関連記事:billsの「3600円モーニング」が正直予想と違った

「こんなにでっかいホットケーキ、お腹いっぱいになっちゃって食べきれないのでは?」という不安をいい意味で裏切る、ふるしゅわ感。

メニューにも「一口食べたら泡雪の様にすっと消えてしまう。むさしの森珈琲でしか味わえないふわっとろなパンケーキ」と記載がありますが、まさにその通りの仕上がりです。

フォークで刺してもうまくつかめないため、慎重にすくって少しずつ食べすすめました。歯で噛むというよりは、舌で押し潰して味わう感じ。ふわふわの中に、とろりとしたリコッタチーズが隠れていて、なんともまろやかな味わいです。


ふわっとろなパンケーキは、初めて食べる食感でした(筆者撮影)

口の中で炭酸はじけるフレッシュフルーツソーダ

「フルーツソーダ」は、一見すると甘そうに見えますが、さにあらず。甘さ控えめのソーダ水の中にたっぷりのフレッシュフルーツが詰まっていて、フルーティーで爽やかな大人の味わい。見た目も味もきらめくジュースでした。


カラフルな宝石箱のような、美しいフルーツソーダ(筆者撮影)

生のミント、レモン、いちご、キウイ、オレンジ、パイナップル、ブルーベリーにプラスして、冷凍の角切りいちごも入っています。こんなに複数の種類の果物を、細かくカットして、見た目よく盛り付けてソーダを注ぐ。自分では絶対に作れない、手間暇のかかるメニューです。

ソーダを飲み終えたあとに、フルーツをロングスプーンですくって食べたのですが、全てのフルーツがソーダ漬けになっており、食べるとフルーツの果汁と炭酸が口の中で弾けます。


ロングスプーンですくってちょっとずつ食べるのも楽しい(筆者撮影)

数カ月前にSNSで、マスカットの炭酸漬けがおいしいとバズッているのを横目に「ケッ、そんなに騒ぐほどのことかね」としらけていた私ですが、実際に食べてみると、いちごもキウイもパイナップルも炭酸漬けにすると、おいしくて楽しいことがわかりました。

すかいらーく系列「っぽくない」ところが魅力的

今回筆者が訪れたのは、「むさしの森珈琲」の、駅に隣接するショッピングモール内の食堂街にある「むさしの森Diner」という店舗です。

店内の内装は、いい意味で普通。「コメダ珈琲店」や「星乃珈琲店」のようなザ・純喫茶でもなく、「スターバックス」のような今風のおしゃれさを押し出すでもなく、純喫茶の良さもありつつ落ち着いた雰囲気の現代的な喫茶店といった雰囲気です。

でも、その気取っていない雰囲気が、またいいのよね。


木目とグレーの優しい雰囲気の店内は、気取りがなく居心地が良い(筆者撮影)

店内はソファ席が多く、テーブルも大きめで、ゆっくりできるつくりになっています。テーブルやカウンターなどは、落ち着いた赤みのつよい木目が基調で、明るいけれど落ち着く空間が演出されていました。

接客はフルサービス型です。最近よくあるカフェチェーンの、オーダーカウンターで注文して受け取るスタイルではなく、食券やタブレット注文でもなく、スタッフが席まで水を持ってきてくれて、オーダーも取ってくれます。


マグカップの中にむさしの森珈琲のロゴが隠れていました(筆者撮影)

丁寧な接客と、手間暇のかかる料理

最近のすかいらーくグループ系列のファミレスチェーンは、店内に入ったらタブレットで商品をオーダーして、猫ロボットに配膳してもらい、セルフレジで会計をして店を出ることが増えてきました。

「極力マンパワーを機械に置き換えて、人件費を減らすスタイルだなぁ。でもこのお値段なのだから、それで全然いいよなあ。猫ロボットもかわいいし」と思っていたのですが、「むさしの森珈琲」は、まるでその逆です。

丁寧な接客と、手間暇のかかる料理。パンケーキも含め、こんなに繊細な食べ物を、すかいらーく系列のチェーン店が提供しているという点が、なんとも興味深い朝でした。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)