「喉頭がんの検査方法」はご存知ですか?費用や発症しやすい人の特徴も解説!
喉頭がんの検査についてご存知ですか?喉頭がんの検査について、本記事では以下の点を中心にご紹介します。
・喉頭がんとは
・喉頭がんの検査方法
・喉頭がんの検査費用の相場
喉頭がんの検査について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
≫「がんを予防する可能性の高い食べ物」はご存知ですか?予防法も医師が徹底解説!監修医師:
渡邊 雄介(医師)
喉頭がんとは?
喉頭がんは、のどの奥に位置する喉頭という部分に発生するがんです。喉頭は呼吸や発声に関係する器官であり、空気や食べ物の通過を調節します。喉頭がんは、喉頭のどの部分にがんができたかによって、声門がん、声門上がん、声門下がんの3種類に分類されます。喉頭がんの危険因子は喫煙や飲酒であり、声がれやのどの違和感などが早期の兆候として現れます。喉頭がんの治療法は、がんの進行状況や患者さんの希望に応じて変わりますが、放射線治療、化学放射線療法、手術、薬物療法などが選択肢としてあります。
喉頭がんの検査方法
喉頭がんの検査方法について紹介していきます。
視診・触診
視診とは、喉頭を直接見ることで、腫瘍の有無や範囲を評価する方法です。喉頭鏡という小さな鏡を喉に入れて声帯の動きや色調を観察したり、細いファイバースコープを鼻から挿入して喉頭の内部を詳しく見たりします。視診により、喉頭がんの部位や進行度を判断します。
触診とは、手で首を触ることで、リンパ節の腫れや硬さを調べる方法です。喉頭がんは頸部のリンパ節に転移することが多いため、触診により転移の有無や程度を判断します。触診は視診と併用して行われることが一般的です。
内視鏡検査
喉頭がんの内視鏡検査では、鼻や口から細いチューブ状の内視鏡を挿入します。内視鏡の先端にはカメラとライトがついています。内視鏡で喉頭の形や動き、色や表面の状態などを観察します。喉頭がんでは、粘膜の隆起や潰瘍、発赤などが見られることがあります。喉頭がんが疑われる場合は、内視鏡で病変の一部を採取して、病理検査でがんの有無や種類を調べます。この採取を生検といいます。内視鏡検査は、喉頭がんの診断や進行度の判定に重要な検査です。また、喉頭がんと同時に食道がんなどができることがあるため、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)も行うことがあります。
CT検査
X線を体に照射し、その断面画像を取得する検査手法をCTと言います。この検査は、がんの進行度、拡大範囲、リンパ節や他の臓器への転移の有無を判定する際に利用されます。造影剤を使用することで、がんの範囲や隣接する臓器への影響をさらに詳細に把握することが可能となります。
MRI検査
磁石と電波を駆使して体の断面画像を取得する検査をMRIと呼びます。CTより、がんと正常な組織の違いが明確に見える特徴があります。MRIは、CTとは違った視点から、がんの進行状況やリンパ節への転移を詳しく調査するのに役立ちます。
超音波(エコー)検査
首の外側に超音波を照射し、反響をモニター上で確認する方法を用いた検査手法です。この検査は、特に頸部のリンパ節にがんが転移していないかを判断するために行われます。
PET-CT検査
PET-CTは、PET検査とCT検査の画像を組み合わせた検査方法です。PET検査では、放射性物質を含んだブドウ糖液を体内に注入し、がん細胞がこのブドウ糖をどのように利用しているかを視覚化します。これにより、体内のがん細胞の位置や活動を特定できます。PET-CTを使用すると、CTやMRIとは違った角度から、がんの範囲やリンパ節、他の臓器への転移状況を詳細に把握することが可能です。
腫瘍マーカー検査
腫瘍マーカー検査は、がんの補足的な診断や治療後の経過、治療の成果を評価するための手段です。腫瘍マーカーは、特定のがんに関連するタンパク質や他の成分を指します。これらはがん細胞や、がんに反応する他の細胞によって生成されるものです。ただし、腫瘍マーカーの数値だけでがんの存在や進行状況を断定することはできません。実際、がんが存在しても腫瘍マーカーが上昇しない場合も考えられます。
喉頭がんに関しては、現在、診断や治療の効果を確認するための特定の腫瘍マーカーは確立されていません。
喉頭がんの検査費用の相場
喉頭がんの検査にはどれくらいの費用が必要なのでしょうか?以下に喉頭がん検査の費用相場を紹介します。また、咽頭がんの検査は保険適用ができます。
喉頭内視鏡検査
喉頭内視鏡検査は保険適用ができ、喉頭の状態、腫瘍や炎症の確認に使用される検査方法です。この検査の一般的な価格は、保険適用の3割負担で1,800円程度となります。
CT検査(耳鼻科用)
耳鼻科専用のCT検査も保険適用されます。CT検査は、耳や鼻の状態を詳細に調査するための画像診断方法です。この検査の一般的な費用は、保険適用され約3,390円となっています。
喉頭がんの検査を行うべき症状
喉頭がんの症状は、がんの位置によって変わることがあります。以下のような症状が考えられます。
声のかすれやひどい咳:喉頭がんは声帯にできることが多く、声のかすれやひどい咳が初期症状として現れることがあります。声のかすれは風邪やアレルギーなどでも起こりますが、喉頭がんの場合は長期間改善しないことが特徴です。咳は喉頭がんが気管に近づくと起こりやすくなります。
のどの痛みや飲み込みにくさ:喉頭がんが進行すると、のどの痛みや飲み込みにくさが起こることがあります。のどの痛みは喉頭がんが咽頭や食道に浸潤すると感じやすくなります。飲み込みにくさは喉頭がんが喉頭の動きを妨げると起こりやすくなります。
耳の痛みや聞こえにくさ:喉頭がんが中咽頭にできると、耳の痛みや聞こえにくさが起こることがあります。中咽頭は耳とつながっているため、がんが耳管に影響を与えると、耳の痛みや聞こえにくさが起こります。
首のしこりや呼吸困難:喉頭がんがリンパ節に転移すると、首のしこりが触れることがあります。また、喉頭がんが気管を圧迫すると、呼吸困難が起こることがあります。呼吸困難は喉頭がんが進行した重篤な症状で、緊急に医療機関を受診する必要があります。
以上の症状は喉頭がんの可能性を示すものですが、必ずしも喉頭がんとは限りません。他の病気や状態でも起こり得る症状です。しかし、これらの症状が2週間以上続く場合は、耳鼻咽喉科などの医師に相談することをおすすめします。早期に検査を受けることで、喉頭がんの診断や治療が早く行えます。喫煙や頻繁な飲酒をする方は、喉頭がんのリスクが高まるため、定期的な耳鼻咽頭科の検査を受けることが良いでしょう。多くの人が「痛みがないので問題ない」と考えがちですが、初期段階では痛みが少ないことが多いため、注意が必要です。
喉頭がんの検査を受けたほうがいい人
喉頭がんの検査は症状がある人以外ではどんな人が検査を受けるべきなのでしょうか。
飲酒や喫煙
喉頭がんの主要な引き金として、喫煙と飲酒が挙げられます。多くの喉頭がん患者さんはタバコを吸っており、長い間タバコの影響を受けることが、このがんの原因となる可能性が高いとされています。また、タバコとアルコールの両方を摂取する人は、喉頭がんのリスクがさらに増加することが示されています。
60代男性
毎年、約5,100人の方が喉頭がんとの診断を受けています。この病気は特に男性に多く見られ、女性より男性の患者さんの数は約11倍も多いとされています。また、50代から60代を中心に喉頭がんの発症者が増えている傾向があります。
喉頭がんについてよくある質問
ここまで喉頭がんを紹介しました。ここでは喉頭がんについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
喉頭がんにかかりやすい人の特徴はありますか?
渡邊 雄介(医師)
喉頭がんのリスクが高いのは、特に男性で、50歳から60歳代にかけての発症が増える傾向にあります。喫煙や飲酒の習慣を持つ人も高リスクとされており、喉頭がんの患者さんの中で、9割以上が喫煙者であることが確認されています。
鼻からのファイバースコープは痛いですか?
渡邊 雄介(医師)
鼻からのファイバースコープ検査は、痛みを伴わない方法で行われます。スコープは細く、喉の奥に直接触れることなく行われるため、吐き気や不快感を感じることはほとんどありません。検査中には、医師と共にモニターでのどの状態を見られ、会話も可能ですので、検査を受けられます。
編集部まとめ
ここまで喉頭がんの検査についてお伝えしてきました。喉頭がんの検査についての要点をまとめると以下の通りです。
⚫︎まとめ
・喉頭がんは、のどの奥に位置する喉頭という部分に発生するがんのことで、危険因子は喫煙や飲酒であり、声がれやのどの違和感などが早期の兆候として現れることが多い
・喉頭がんの検査方法には、視診・触診、内視鏡検査、生検、CT検査などがある
・喉頭がんの検査費用相場は三割負担で1800円~3800円で行える場合が多い(検査方法による)
喉頭がんと関連する病気
喉頭がんと関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
消化器内科・呼吸器外科の病気
食道がん胃がん
肺がん喉頭がんと同じような症状をおこす病気もこれほどあります。なかなか自己判断は難しいので、症状が続く場合はぜひ一度医療機関を受診してください。
喉頭がんと関連する症状
喉頭がんと関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
喉に違和感や痛みを感じる
声がしゃがれてきた
口内に痛みがある
首や脇、太ももの付け根、耳の近くに小さな塊を感じる
食事の際、飲み込むのが難しい
呼吸がしにくい感じがする
食欲低下
舌に違和感や痛みがある
気分が沈んでいる
言葉がうまく出てこない
これらの症状が当てはまる場合には、喉頭がんなどの異常の有無を確認するべく、早めに医療機関を受診しましょう。
参考文献
国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービス
国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス
がん研有明病院