白砂糖・みりん・蜂蜜…体に良い「甘味料」はどれ? 管理栄養士解説

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白砂糖やみりん、蜂蜜は甘味料の代表格ですが、糖質・カロリーが気になるので避けているという方はたくさんいらっしゃいます。しかし、糖質は栄養学的には重要な栄養素なので完全にカットしてしまうのは良くありません。「では、甘味料に何を選べばいいの?」という方へ向けて、甘味料の種類や特徴、糖質の重要性、おすすめの使い方を管理栄養士の佐久間さんに解説してもらいました。

監修管理栄養士:
佐久間 愛子(管理栄養士)

管理栄養士として介護・医療業界を渡り歩く。病院経験を経て予防医療の大切さに気付き、現在はICTでの特定保健指導に従事。また、糖尿病への理解を深めるため2021年に日本糖尿病療養指導士を取得。今までの経験を活かし、栄養・健康分野のライターとしても活動中。

甘味料にはいろんな種類がある 代表的な甘味料は?

編集部

「甘味料」には、主にどんな種類がありますか?

佐久間さん

まず甘味料には、「糖質系甘味料」と「非糖質系甘味料」の2種類に分けられます。糖質系甘味料は白砂糖やみりん、蜂蜜などのぱっと思いつくものがその代表です。一方、非糖質系甘味料にはステビアやアスパルテームのような、ガム・ダイエット食品などに含まれるものが挙げられます。

編集部

「糖質系甘味料」と「非糖質系甘味料」の違いについて教えてください。

佐久間さん

「糖質系甘味料」はその名の通り、糖質が含まれる甘味料のことです。これらは血糖値をあげる作用を持ち、果糖・ブドウ糖・麦芽糖などさまざまな種類の糖類で構成されています。反対に、「非糖質系甘味料」はさらに天然由来と化学合成のものに分けられ、白砂糖の数十~数百倍の甘味をもちながらもエネルギーがかなり低く、血糖値を上げにくいという特徴を持ちます。その特徴によりカロリーオフや糖質オフの商品でよく使われています。

編集部

非糖質系甘味料を使ったほうが血糖値を上げないので健康に良いですか?

佐久間さん

確かに、カロリーや糖質がカットできる非糖質系甘味料を使ったほうが健康に良さそうですよね。しかし、非糖質系甘味料も使いすぎると体への弊害があることがわかっています。非糖質系甘味料は上手に活用すれば血糖値のコントロールに役立ちますが、甘みが白砂糖の200~600倍と非常に強いのが特徴です。そのため、非糖質系甘味料を使いすぎると濃い味付けに慣れてしまい、結果として間食の量が増えてしまうことも考えられます。また、非糖質系甘味料の過剰な使用で、糖代謝の異常をきたし糖尿病のリスクが高まることも示唆されています。基本は白砂糖やみりん、蜂蜜などの糖質系甘味料を使いながら、ときどき非糖質系甘味料を活用するほうが良いでしょう。

糖質の摂りすぎ・摂らなさすぎは体に悪影響?

編集部

ダイエットを意識して糖質制限をしようと思うのですが、糖質のカットは健康に良くないですか?

佐久間さん

基本的には糖質を完全に摂らない食事はおすすめできません。むしろ、糖質源である主食を全く摂らないなどの極端な糖質制限は、かえって体重増加につながる可能性があります。糖質を制限すれば確かに体重は減りますが、体を動かすためのエネルギー不足になります。その結果、体は不足するエネルギーを補うために筋肉を分解して糖を作り出します。筋肉の減少で基礎代謝が落ちてしまうと、痩せづらい体質になります。そのような状態で、食事を少しでも戻すと摂取カロリーが大幅に上回って体重増加につながります。痩せた後にリバウンドをしないためにも、極端な糖質制限はおすすめしません。

編集部

そもそも、糖質はなぜ必要なのでしょうか?

佐久間さん

糖質は体を動かすエネルギー源です。特に、脳を正常に動かすための燃料はブドウ糖しかありません。脳は筋肉や内臓、思考に至るまで体全体をスムーズに動かすために不可欠な器官です。この脳のエネルギー不足により集中力の低下やイライラ、疲労の蓄積につながります。仕事や家事のパフォーマンスを維持したいのであれば、糖質は適切に摂りましょう。

編集部

反対に、糖質を摂りすぎることも健康に良くありませんか?

佐久間さん

はい。糖質は大事な栄養素ですが、過剰に摂ると糖尿病や肥満のリスクが高まります。糖質、特にお菓子やジュースに含まれる糖の摂り過ぎで、血糖値が急激に上昇します。この習慣が続くことで糖の代謝異常がおき、糖尿病のリスクが高まってしまうんです。また、血糖値が上がりすぎると代謝しきれない糖が脂肪に変わってしまい、体重増加にもつながります。

編集部

では、どういう糖質の摂り方をすればいいのか教えてください。

佐久間さん

糖質を摂るときは、主食をしっかり食べましょう。おすすめは、比較的血糖値の上昇が緩やかになる未精製のごはん(玄米)や雑穀米、蕎麦などの麺類、全粒粉などのパンが挙げられます。また、主食と一緒に食物繊維の豊富な野菜やきのこ、海藻類も一緒に摂れると血糖値の急上昇がより防げます。さらに、糖質をエネルギーに変換するビタミンも大切です。特にビタミンB1は糖質の代謝に関わる栄養素で、豚肉や鶏肉、ほうれん草に多く含まれます。玄米やもち麦などの全粒穀類を主食に混ぜることでも、ビタミンB1が摂りやすくなります。重要なのは、糖質源がお菓子やジュースばかりにならないようにすることです。

甘味料のおすすめの使い分け方を管理栄養士が解説

編集部

適度に糖質を摂るといっても白砂糖やみりん、蜂蜜などの甘味料は使って良いのでしょうか?

佐久間さん

糖質系甘味料は、量さえ気を付ければ使っても問題ありません。むしろ「料理を美味しく食べる」ためにもぜひ活用しましょう。白砂糖には保水効果があるのでお菓子作りには欠かせないですし、煮物には白砂糖やみりんを使うと浸透圧効果で味がしみ込みやすくなります。先ほど話したように、血糖値やカロリーが気になるからと言って人工甘味料ばかりを頻繁に使用するのは避けましょう。

編集部

白砂糖やみりん、蜂蜜のなかで一番健康に良いのはどれですか?

佐久間さん

どれも使う量や頻度に気を付ければ問題はないですが、栄養素の視点からでいえば蜂蜜が一番健康に良いでしょう。蜂蜜は糖質だけでなく、ミネラルやアミノ酸など体に嬉しい栄養素も豊富です。また、血糖値の上昇も果糖やブドウ糖よりも緩やかであるという研究結果もあります。血糖値が気になるひとや、少しでも栄養を摂りたいひとは蜂蜜を活用してみてください。

編集部

煮物のような料理にも蜂蜜が使えますか?

佐久間さん

甘味料は料理に応じて使い分けるのがベストです。確かに蜂蜜は3種類のなかで値段が高いですよね。また、蜂蜜は白砂糖やみりんに比べて味にクセがあること・温かい料理では甘みが弱くなるという特徴があります。そのため、煮物などの料理に使うと味のクセが出たり、入れすぎてカロリーや糖質が過剰になったりすることもあります。使い分けとして、ケーキなどのしっとりとしたお菓子作りには白砂糖、煮物など甘さをしっかり出したい料理は白砂糖やみりん、ヨーグルトや飲み物の甘さ足しには蜂蜜を使いましょう。用途に応じて使い分ける方が、結果としてカロリーや糖質が抑えやすいですよ。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

佐久間さん

白砂糖やみりん、蜂蜜などの甘味料は血糖値を上げる・カロリーが高いなど体に良くないイメージが強いですが、それぞれの甘味料は料理を美味しくするためにも大切です。なかでも蜂蜜は、血糖値の上昇が比較的緩やかなので、飲み物などの甘み足しに使ってみて下さいね。一方で人工甘味料は血糖値を上げないものの、使いすぎると強い甘さに慣れてしまい、間食の増加や糖尿病のリスクが高まることも考えられます。食事全体のバランスとして、糖質は多くても少なくても体に悪影響を及ぼします。糖質系と非糖質系それぞれの甘味料のメリット・デメリットがあるので、料理や状況に応じて上手に活用していきましょう。

編集部まとめ

甘味料はさまざまな種類がありますが、なかでも代表的かつ家庭にも置いてあることの多い「白砂糖」「みりん」「蜂蜜」や甘味料の種類別特徴、糖質の重要性について管理栄養士の佐久間さんに解説してもらいました。糖質は自分の体にちょうど良い量を食事から摂ることが重要で、完全に摂らないことで体に悪影響があるようです。甘味料を上手に使い分けて、ヘルシーな食生活に活かしてみてください。

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