「当社」と「弊社」ってどう違うの? 正しく使って印象アップ! マナーコンサルタントが教える、意外とシンプルな“使い分け方”
ビジネスシーンにおいて、メールや電話口などで自分の会社のことを伝えるとき、「当社」や「弊社」という言葉を当たり前のように使っている会社員は多いと思います。時に混在することもある言葉ですが、あなたはこの両者の違いを正しく知っていますか。違いを知った上で使い分けることで、ビジネスシーンでの印象もアップするかもしれません。
マナーの観点からみたとき、「当社」と「弊社」はどのように使い分けるとよいのでしょうか。一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」(東京都港区)代表理事で、皇室のマナー解説やNHK大河ドラマのマナー指導などでも活躍する、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんに聞きました。
使用するツールで使い分けるのではなく…
Q.「当社」と「弊社」という2つの言葉はどう違うのですか。
西出さん「『当社』も『弊社』も、自身の会社のことを指す言葉です。この2つの言葉の違いは、相手に対してへりくだる必要の有無、すなわち『対等』か『へりくだっている』かです。
『当社』の『当』は、『当人』『当事者』『当地』など、物事の中心となる人や会社などに使われ、尊敬も謙譲もない丁寧語です。一方、『弊社』の『弊』は、『弊宅』『弊家』など自分のものに冠して謙遜の意味を表します」
Q.ビジネスマナーの観点からみて、「当社」と「弊社」はどちらが正しいのでしょうか。
西出さん「言葉としてどちらも正しいです。ビジネスマナーの観点からは、先述したそれぞれの意味を理解し、そのシーンにおいてどちらを使うか選択することになろうかと思います。
例えば『当社』は、へりくだることなく対等な関係を示すため、自社内で会話の相手が上長や先輩であっても『当社』を使用することになります。また、他社との比較においても対等な関係を示す場合は、『A社と当社では』という使い方をします。
一方、『弊社』には先述の通り、謙遜の意味があります。もともと『弊』には『よくないこと・習慣的な悪さ』という意味合いがあり、そこから『よくない』へと派生し、控えめな態度を示すことになったと考えられています」
Q.ビジネスシーンで、「当社」と「弊社」を使い分ける際のポイントはありますか。
西出さん「この2つの言葉を、例えばですが『会話や電話口では◯◯を推奨』『メールでは□□が望ましい』などと断定することはできないでしょう。肝心なポイントは、その『相手』がどのような対象であるかということです。
マナーは『相手の立場に立つこと』が大前提の本質です。この原理原則からいえば、使用するツールで使い分けるのではなく、その対象者(社)で使い分けるのが本筋でしょう。自社の人へのメールであれば『当社』としますし、取引先の人へのメールであれば『弊社』を使用する、となりますね。
なお、社外の人とのコミュニケーションでどちらを使用すればいいのか迷ったときには、ビジネスマナー的には『弊社』を使用する方が無難といえるでしょう」