【糖尿病治療】自分に合った続けやすい医院選びのポイントを医師が解説!
現在、日本では2型糖尿病患者が増加しています。研究によると糖尿病患者数はおよそ1000万人、糖尿病予備軍も含めるとおよそ6人に1人が該当することになるとされています。症状をさらに進行させないため、早期に適切な治療を開始することが必要になりますが、そこで重要なのが医院選び。どのような点に注意して糖尿病治療をおこなう医院を選べばいいのかについて、「徳井内科クリニック」の徳井先生に教えていただきました。
監修医師:
徳井 幹也(徳井内科クリニック)
慶應義塾大学医学部卒業。その後、慶應義塾大学腎臓・内分泌・代謝内科助手、東京大学医学部疾患遺伝子講座研究生、横浜市立市民病院内科副医長を経て現職。
糖尿病治療はどのようにおこなわれる?編集部
糖尿病の治療は、どのようにしておこなわれるのですか?
徳井先生
糖尿病には「1型糖尿病」と「2型糖尿病」の2タイプがあり、どちらのタイプかによって治療法も異なります。1型糖尿病は、主に自己免疫の異常により、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンが出なくなってしまいます。一方、2型糖尿病は、過食、運動不足、肥満、ストレスといった生活習慣が関係して発症し、血糖値を下げる働きをするインスリンの分泌が不足したり、インスリンの効きが悪くなったりすることによって、血糖コントロールが悪化します。
編集部
1型糖尿病と2型糖尿病の患者数は、どちらが多いのですか?
徳井先生
日本では、圧倒的に2型糖尿病の患者さんが多いですね。2型に限定して話を進めると、糖尿病の治療は「食事療法」「運動療法」「薬物療法」が中心となります。
編集部
具体的に、食事療法ではどのようなことに気をつけるのですか?
徳井先生
1日の適正な摂取エネルギー量を理解し、「炭水化物」「脂質」「タンパク質」の三大栄養素をバランスよく摂ることが重要です。また、「ビタミン」と「ミネラル」も欠かさず摂取し、栄養バランスの良い食事を摂ることを目指します。「糖尿病食事療法のための食品交換表」という表を活用することもあります。
編集部
運動療法では、どのような効果が期待できるのですか?
徳井先生
運動をするとインスリンの効きが良くなり、インスリン抵抗性を改善できることがわかっています。運動をすることによって筋肉への血流が増え、ブドウ糖が細胞に取り込まれやすくなります。また、糖尿病は肥満を原因として起きることが多いですが、運動により体内に余分に溜まったエネルギーを消費することによって、肥満を改善することも期待できます。
編集部
運動と食事だけで、糖尿病を治すこともできるのですか?
徳井先生
軽症であれば薬物を使わなくても、運動療法と食事療法で血糖をコントロールできる場合もあります。
編集部
具体的にどんな運動がおすすめですか?
徳井先生
一例として、ウォーキングや自転車、スイミング、ジョギングなどの有酸素運動を1回20~40分、週に3回おこないましょう。
糖尿病の薬物療法 日々登場する新薬編集部
糖尿病の薬物療法では、どのような薬剤を用いるのですか?
徳井先生
近年、糖尿病治療薬は大きく進歩しており、「DPP‐4阻害薬」「SGLT2阻害薬」「GLP‐1受容体作動薬」などの新薬が次々と登場しています。DPP‐4阻害薬とGLP‐1受容体作動薬には似たような働きがあり、インスリンの分泌を助けるだけでなく多彩な効果を有し注目されています。一方、SGLT2阻害薬には、尿に糖を出すことで血糖を下げる働きがあり、体重を減量する効果も期待されます。
編集部
薬物療法を開始する目安はありますか?
徳井先生
2~3カ月ほど食事療法と運動療法を続けても、血糖のコントロールが上手くできない場合には薬物療法の開始を検討します。
編集部
薬物療法は飲み薬のほかにも種類があるのですか?
徳井先生
内服療法のほか、インスリンやGLP-1を自己注射により投与する治療もあります。
糖尿病治療を受ける際の医院選びの注意点編集部
糖尿病の治療を受けるにあたり、医院選びの注意点があれば教えてください。
徳井先生
まずは、糖尿病専門医が在籍している医療機関を選びましょう。糖尿病専門医は高い専門知識だけでなく、豊富な臨床経験を持っています。糖尿病の治療は病態や症状が一人ひとり異なるため、各々に適した治療をおこなうためには、糖尿病の知識や適切なアドバイスなどが必要です。
編集部
まずは「専門医がいること」ですね。
徳井先生
はい。先述したとおり、糖尿病治療では次々と新薬が登場し、治療の選択肢が増えています。適切な薬の選択が重要であり、そのためには豊富な知識と経験が大切なのです。
編集部
そのほかには、どのような点に気をつければいいでしょうか?
徳井先生
糖尿病治療で核となるのは、食事療法です。しかし、年代やライフスタイルなどによって、一人ひとりに適した理想的な食事は異なるので、自分の生活スタイルに合った食事療法を続けていくためには、管理栄養士による「栄養指導」を活用することも有効です。こうした指導をおこなっている医療機関を選びましょう。
編集部
そのほかには?
徳井先生
糖尿病の治療は長期間に及ぶことが多いため、「自宅から近い」「土日も診察している」など、利便性を考えることも重要です。また、担当医との相性や相談のしやすさなども考慮しながら選ぶといいでしょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
徳井先生
今や「国民病」となりつつある糖尿病ですが、何よりも早期からの適切な治療が肝要です。ただ、病態や生活環境は個々で異なるため、「オーダーメイドの治療をおこなってくれる」「糖尿病専門医がいる」「通いやすい」などに当てはまる医療機関を受診しましょう。
編集部まとめ
糖尿病を発症する人は近年増加しています。糖尿病予備軍も加えればその数は非常に大きくなるので、糖尿病治療は決して人ごとではありません。糖尿病にならないよう、普段の生活習慣から見直すとともに、万が一糖尿病を発症したら自分に適した医療機関を選択できるよう知識を養っておきましょう。
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