文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中の「佳子・純子のお天気気象転結」。気象予報士の伊藤佳子記者・鈴木純子アナウンサーが、毎日にちょっと役立つお天気情報をお届けしている。この記事では全文をご紹介。

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▼1月19日配信号 担当
伊藤佳子

明日20日は、二十四節気の「大寒」。
1年で最も寒さが厳しい時期ですが、能登半島地震の被災者の方々は、過酷な状況の中でどうされているのか……石川県内で亡くなった方は230人以上、重軽傷者は1000人以上、家の損壊もわかっているだけで2万棟を超えています。

私は1月7日~9日にかけて石川県に入り、七尾市や内灘町を取材させていただきました。
断水が続く被災地で話を聞くと、一番困っていることは「水。トイレが使えないこと」。
内灘町西荒屋地区に行くと、液状化現象で道路のアスファルトは割れて大きくめくり上がり、車道も斜めに、家やビルは1mほど沈み込んで、電柱も斜めに……。
 


家の中にも入らせていただいたのですが、床が斜めになったり玄関がつぶれたり、壁と天井の間に大きな隙間ができていたり……。

被災した地元に残るか、ライフラインが整った他の場所に身を寄せるか……?
私が話を聞いた方たちの中でも意見は割れていました。
西荒屋地区で高齢の女性2人に話をきくと
Aさん「水がない、戸は締まらんし、風は入るしもう住まれん。アパートは契約してきた。ここの下水道を直すのは長期化する。年単位。水がなかったら生活できん」
一方のBさん
「私はかたがった(傾いた)家でなんとか。電気はきてるから。年とっとるし動きたくない」
これに対しAさん
「みんな動きたくはないの。住めなかったら仕方ないもんね。よそのうち、転々としてもね。珠洲の方いったらもっと大変や。甘えとったらダメやで。自分で一歩ずつ前向いて行かんと仕方ないもん」と気丈に話してくれました。
避難所で、80代の男性は「いつまでここにいられるか、仮設住宅に入れるのか情報がない。仮設も2年しかいられない。死ぬまでは住めない。歳とってローンも組めないから、家も建てられない」と。

「住む」ということは基本です。皆さんが安心して普通に生活できるようになればいいのですが……現場を見ると復旧に長い時間がかかることを実感します。

気象予報士 防災士 気象庁担当記者 伊藤佳子