MAGAZINEよりも小さい雑誌“ZINE”の魅力
「おとなりさん」(文化放送)のゲストコーナー「10時のおとなりさん」の1月17日のゲストに、文筆・翻訳業の きくちゆみこ さんが登場! 自分の考えをSNSではなく“ZINE”に書く理由とは?
鈴木おさむ「きくちさんが制作しているZINEとはどういうものですか?」
きくちゆみこ「元々はアメリカの文化で、Magazine(マガジン)より規模が小さい雑誌で、ファンの人たちが好きなモノについて語るFanzineや、フェミニズムが起こったとき“自分の言いたいこと書きたいことがある!”と自分たちで出版する文化があります」
鈴木「こういうものを作って、どこかに置いておくんですか?」
きくち「自分が何をしたいか分からない自信のない時期に、ずっとブログに書いていた文章を紙で印刷して束ねて。2000年代の終わりくらいに、そういうものを置いてくれる店が増えたので、自分で作ったZINEをお店の棚に置いてもらいました」
鈴木「ZINEってのは、すごくニッチな自分にまつわることだけど、自分の伝えたいものをどっかに置いておく文化があるってことですよね」
きくち「コミュニケーションのツールでもあり、コミュニティをはぐくむものでもあり続けてます」
鈴木「おもしろい! 海外だとけっこうあるんですか?」
きくち「逆に日本は、雑誌のなかでも特集を組まれて、ここ10年でずいぶん周知されてきて、色んな人が作っています。私が好きなのはパーソナルZINEという“私が私のことを語る! 語らずにはいられない、だって誰も語ってくれないから!”みたいな精神で、自分のことを友達に語るように書くスタイルのZINEが好きです」
坂口愛美アナ「きくちさんのZINEは自己紹介から始まるものも多いですよね。“いま何歳で、こういうものが好きです”って」
鈴木「今の世の中はブログとかSNSの文章がメインじゃないですか。そこをあえて出版物、手に取れる読み物にして配っていくんですね。おもしろい!」
きくち「高校生のとき授業中に友達に手紙書いたりしませんでした?」
坂口「あー、ありました!」
きくち「ルーズリーフに、自分が読んだ本について“これ面白いよ!”って書いたりして、ハート型に折りたたんで大好きな友達に渡して返事が返ってくる、個人的なやりとりがすごく大切な時間で、今もそういう形でつながりたい気持ちがあるんです」
鈴木「僕は子供と映画を観に行くんですけど、映画館に並んでるチラシを子供と見て“なに見たい?”って話すのが楽しみなんです。やっぱネットだとスマホでそれやらないので、手に取って読める文化ってやっぱいいですよね」
坂口「初めて会う人にZINEを渡したら、どういうものが好きなのか分かる、履歴書よりもフランクに自分を分かってもらえるツールになりますよね」
きくち「本当にそうだと思います。『こんにちは。あなた わたしはきくちゆみこです』というシリーズを作っているんですけど、いつも“あなたは?”と問いかけている気持ちがあります」