生協の女性パートが「パワハラ」で自殺、遺族が損害賠償求めて提訴
職場の上司や同僚からのパワハラが原因で自殺したとして、労災認定された女性(当時53歳)の遺族が1月17日、勤務先だった生活協同組合ユーコープ(本部:横浜市)を相手取り、約4786万円の損害賠償を求める裁判を横浜地裁に起こした。
●ユーコープはパワハラを否定している
ユーコープは神奈川・静岡・山梨の3県で食品スーパーなどの事業を展開している。訴状などによると、亡くなった女性は2009年、横浜市内にあるユーコープ運営のスーパーにパート社員として入った。2020年1月から青果部門に配置転換されて、翌2021年1月に自宅で自殺した。
訴状によると、青果部門の上司は、女性に対して、毎日のように感情的、高圧的な叱責を執拗に繰り返しており、周囲にも聞こえるような大声で「ふざけるな」と叫んだり、「うそつき」と人格否定したり、質問を無視するなどしていたという。
原告代理人によると、ユーコープは社内調査のうえでパワハラを否定しているが、労働組合が聞き取り調査をおこなったところ、複数の同僚から上記のような目撃証言が出てきた。こうしたケースは「稀有」だという。
横浜南労働基準監督署は2022年8月、女性が2020年10月ごろには「うつ病エピソード」を発症したことや、「社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃」がある場合に該当するなどと認めて、女性の死亡に「業務起因性がある」として労災認定していた。
この労災認定後、原告側は謝罪や損害賠償、再発防止策の考えを示すよう求めていたが、ユーコープから誠意のある回答がなかったという。再び被害者を生み出しかねないと考えて、今回の提訴に踏み切った。パワハラに対する「安全配慮義務」として適切な対応を尽くさなかったと主張している。
●ユーコープ「訴状内容が不明なのでお答えすることができない」
弁護士ドットコムニュースの取材に対して、ユーコープは「現時点では本件について訴状が届いておらず、訴状内容が不明なのでお答えすることができない」とコメントした。
ユーコープのウェブサイトには、「ユーコープで働く人に対する行動基準」の一つとして、「セクハラやパワハラのない、皆がいきいきと働ける職場づくりに努めます」と記されている。