スーパーや百貨店が元日に休業するメリット、デメリットは?

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 近年、スーパーや百貨店が元日に休業するケースが増えています。中には、1月1日から3日までの正月三が日に休業する店もあるため、食料品や日用品など、必要な物は年内のうちに購入しておくのが望ましいかもしれません。

 ところで、スーパーや百貨店が元日に休業することでどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。正月三が日は、売り上げが伸びる時期なのでしょうか。経営コンサルタントの大庭真一郎さんに聞きました。

販売機会を損失する可能性も

Q.近年、スーパーや百貨店が元日に休業するケースが増えていますが、なぜなのでしょうか。

大庭さん「スーパーや百貨店が元日に休業する最大の理由は、人手不足と働き方改革への対応です。総人口の減少と少子高齢化の進展による労働力不足が社会的な課題となっており、スーパーや百貨店などの小売業界も人手不足に悩まされています。

スーパーや百貨店などの小売事業者の定休日は、他の事業者よりも少ないため、従業員の労働時間が長くなり、休みを取りづらい傾向にあります。一方、『正月は休みたい』という働き手からの要望も大きいのが現状です。

そこで、従業員の満足度を向上させ、人材を定着させることで、人手不足への対応のほか、休日の増加による働き方改革への対応を図る目的で、元日に休業するスーパーや百貨店の数が近年増加しています」

Q.では、スーパーや百貨店が元日に休業することでどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。事業者と顧客双方の視点で教えてください。

大庭さん「事業者側のメリットは、先述のように、従業員の満足度を向上させられることです。元日を休業することで、従業員も元日をゆっくりと過ごすことができ、加えて年間の休日日数も増加します。それにより、従業員の満足度が向上し、人材の定着化を実現することができれば、スーパーや百貨店の経営が安定します。

一方、休業により販売機会を損失してしまうことがデメリットです。また、休業日前の在庫管理が煩雑になることも想定されます。

消費者側のメリットとして考えられるのは、スーパーや百貨店で働く家族や親戚、友人などがいた場合、元日に一緒に過ごすことができるようになることです。一方、元日に食料品や日用品を購入できなくなるのがデメリットで、急に必要になった物が生じた場合に困ることがあるでしょう」

Q.スーパーや百貨店にとって、正月三が日は売り上げが伸びる時期なのでしょうか。それとも、営業してもあまり売り上げが伸びないのでしょうか。

大庭さん「オフィス街に立地する店舗の場合は、正月三が日に営業をしたとしても通常の営業日と比較して売り上げが著しく少ないことが想定されます。一方、住宅地やターミナル駅などに立地する店舗の場合は、正月を自宅や帰省先で過ごす人たちによる購買が見込まれるため、販売機会の損失による売り上げへの影響は少なくありません。

さらに正月は、家族や親戚が集まり、また一年の始まりということもあって、消費者の購買意欲が高まるため、元日もしくは正月三が日に休業した場合、売り上げを伸ばす機会を逸したことになり、売り上げへの影響が大きいと言えます」

Q.スーパーや百貨店正月に休業する傾向は、今後も続くのでしょうか。それとも、景気の変動や消費者の意識の変化などによって、元日営業を再開する店が出てくる可能性はありますか。

大庭さん「昭和の時代は、スーパーや百貨店の初売りは、正月三が日を過ぎてから始められるのが一般的でしたが、1996年にダイエーが一部店舗を除き、元日から営業を始めて以降、スーパーや百貨店が元日から営業を行うスタイルが普及しました。

消費者からの『正月も店を開けてほしい』という要望も強く、スーパーや百貨店正月も営業しているという状態が続いてきましたが、人材不足が顕著になり働き方改革が問われるようになった今の時代では、スーパーや百貨店正月に休業することに対して消費者からの理解も得られるようになっています。

今後日本の人口が増加に転じること、あるいは働き方改革に対する機運が消失することを想定できない以上、景気の変動などによって元日営業を再開するスーパーや百貨店が増える可能性は低いと私は考えます」