国際ロボット展で「NVIDIA Jetson」搭載ロボットがたくさん見られる!JetsonやIsaacのユースケース紹介、Nova Carter初披露
11月29日からはじまった国際ロボット展(iREX)も、混雑が予想される金曜日の12月1日を終えた。イベントは12月2日(土)まで開催している。会場は東京ビッグサイト。
●菱洋エレ/NVIDIAブースはJetson、Isaac(AMR)、Omniverse
GPUとAI開発で知られるNVIDIAは、国際ロボット展で同社が提供しているGPU、ロボットなどエッジデバイス組込に便利な小型のAIコンピュータボード「Jetson」、ロボットのシミュレーション環境を基本的には無料で構築できる「NVIDIA Isaac」、デジタルツイン「Omniverse」などを、菱洋エレクトロと共同で展示している。
テックマン製のロボットを使用したバラ積みピッキングの実演。トレイから別のトレイにバラ積みされた部品をロボットアームが移し替えているところ。デモの要点は、ロボットの上のディスプレイで解説されている「デジタルツインとシミュレーションによる知能ロボット開発の短期間化/省力化」にある
なお、調査会社のGartnerによると、現在、人とスマートロボットとの日常的な関わりは10%未満と少ないものの、インテリジェンス、社会的相互作用、人間拡張機能の進歩によって、2030年までに80%の人が、スマートロボットとの日常的な関わるようになると予測している。ロボットと人の接点は今後も世界中の産業で広がると見られている。
●Isaac Nova Orinアーキテクチャと「Isaac AMR」
展示ブースでは、AMR(自動移動ロボット)開発用のシミュレータ「Isaac AMR」を紹介している。ルート設定と障害物回避、シミュレーション、複数台のAMRが混在する環境でも衝突を回避して効率的に運用設定することができる。
また、NVIDIA Isaac Nova OrinアーキテクチャをベースとしたリファレンスモデルのAGV「Nova Carter」を日本で初めて展示した。
NVIDIA Isaac Nova OrinアーキテクチャをベースとしたリファレンスモデルのAGV(ロボット)「Nova Carter」。販売開始している。
AGV本体最上部にLiDARを、四方にステレオカメラと魚眼カメラを搭載している。内部にJetson AGX Orin 64GBが活用されている。
「Nova Carter」の展示はAMR開発用のシミュレータ「Isaac AMR」を紹介する一環として展示
リアルフォトスティックな「Isaac AMR」のデジタルツインの俯瞰画面。手前にルートのトレーニング走行をしている「Nova Carter」が見える
■Narrowing the Sim2Real Gap with NVIDIA Isaac Sim:
●Isaac Sim用「Omniverse Replicator」でAI学習データの作成を効率化
NVIDIA/菱洋エレクトロブースでは、「Isaac SIM」を活用して、フォトリアルで精密な仮想世界を構築、その中でシミュレーションし、ロボットの開発やトレーニングをおこなうことを提案している。
従来は、AIの学習用にアノテーションした膨大なトレーニングデータが必須で、その作成に手間とコストがかかっていたが、Isaac Sim用の「Omniverse Replicator」を使用することでAI学習に使用する合成データを生成することが可能となった。効率的な学習方法への意向が可能となる。
その成果のデモ、ブース内ではテックマンロボット製のロボットと、AI認識機能を持ったカメラを活用して、バラ積みピッキングのデモをおこなっている。
「Isaac Sim」はデジタルツイン基盤「Omniverse」のロボットシミュレーションを行うアプリケーションツール。ロボットのモデルや環境データなどのアセットをインポートし、操作シミュレーションやナビゲーションシミュレーションが可能となる。
ロボットアームの下に配置したコンピュータ内にGPUやJetsonを搭載されている。写真は超小型AIコンピュータボード「Jetson Nano 開発者キット」の例
なお、菱洋エレクトロ/NVIDIAブースでは、展示会特別価格での限定販売もおこなわれている。。
気になるのは「Isaac」や「Omniverse」の価格だが、「Isaac」は開発用として使用したり個人アクセスでは無料で利用できる。「Omniverse」も一部無料のものがあるが、業務に活用するために複数のマルチアクセスとワークグループ共有が可能になる「Omniverse Enterprize」を本格的に導入する場合は$9,000で当初は発表されている。金額は都度見積となっているので、開発時は無料のサービス利用から初めて、具体的にOmniverseで展開して活用するためには、問合わせて見積をとることをお勧めする。
●展示会場のJetson搭載/Isaac SIM活用のロボットたち
●テックマンロボットのパレタイズ/デパレタイズロボット
Techman Robotは、「Omniverse」を活用したデジタル ツインで、パレタイズ/デパレタイズロボットの展示を行っている。
Omniverseのデジタルツイン仮想空間でトレーニングをおこなっている画面
■テックマンロボット「NVIDIA Isaac SIM」でバレタイズのトレーニング:
●デンソー/デンソーウェーブ
ロボットのピッキングやパレタイズなどの作業では、ピッキングする対象物によって、3時限的な認識が必要となるケースも多い。その場合、ひとつの方法として3Dカメラを使用する方法があるが、機材の価格が高額になってしまうことがネックとなる。
デンソーウェーブは「NVIDIA Jetson Orin Nano」を搭載した「3D画像認識ピッキングシステム」を展示。この最新アプリケーションは、1つの「2Dカメラ」のみで3D認識を可能にするシステムとなっている(3Dカメラよりコストを大幅に抑えられる)。
左のパレットから部品をピッキングして、右のパレットに移動するロボット。白いパーツはシンプルだが、オレンジのパーツはやや複雑な形状のため、AIによる判断のレベルが高くなる。
ロボットの横にあるコンピュータシステムの右上の黒いボックスの中に「Jetson Orin Nano」が内蔵され、カメラ画像の判別を支援している
このデモでポイントとなるのは、オレンジ色の4つのパーツをピッキングする際、手前の2つはJetsonを使用せずにカメラ画像を認識して判別しているが(約2秒程度かかる)、奥の2つのピッキングにはJetson Orin Nanoを使用して解析・判別(約0.2秒で判別)をおこなっている点。Jetsonを使うと10倍以上高速にロボットが判断できることが確認できる。
■デンソーの2Dカメラ認識ロボットでNVIDIA Jetson有り/無し比較:
●その他のJetson搭載ロボットたち
ugo:
遠隔操作アバター/自律移動ロボット「ugo」にJetsonを搭載。
CuboRex:
CuboRexは、AIモデルを展開するために「NVIDIA Jetson Orin NX」で構築した屋外輸送ロボットを開発。
Mech-Mind:
高精度産業用カメラとAIで、初めて見る品物でも適切に把持する場所を高速に判断してピッキングするロボット+カメラシステムを展示。
LIPS:
カメラ画像からJetsonで判断し、的確に把持するロボットアーム(ハンド)のシステムを開発。
安川電機:
安川電機はNVIDIAと協力し、NVIDIAテクノロジーを活用したAI対応ロボットを開発、展示。
オムロン:
NVIDIA Omniverse プラットフォームと連携して動作し、フォトリアルなデジタル ツインを実現する産業用オートメーション ロボット向け統合開発環境「Sysmac Studio」を展示。
オカムラ:
ORVは物流倉庫等で、カゴ車の自動搬送を行うことができる自律走行搬送ロボット(AMR)「OKAMURA ROBOT VEHICLE (ORV)」に「Jetson AGX Orin」を搭載・物流倉庫内でカゴ車搬送。ORV は自らルートを生成し、ガイドなしで走行するため、大幅な床工事をすることなく導入でき、生産性の向上と省力化を実現。
アールティ:
中食産業や食品製造工場や流通倉庫で活用されているアールティの人型協働ロボット「Foodly」は「NVIDIA Jetson」プラットフォームを搭載。食品を認識、ピックアップして容器に盛り付け、箱に詰める等の軽作業を自動化。
京セラ:
2023年11月にサービス開始した新しい協働ロボットの知能化サービスを展示。クラウドに常時接続することで技術者不要でロボットの運用が可能。このサービスに「NVIDIA GPU」を採用。また、今後1〜2年でサービスインする最新技術の展示も行う。
Legmin:
「NVIDIA Jetson AGX Orin」によってビジョンAIを開発し、長ネギの農薬散布収穫に使用される農業に特化したロボットを紹介。
ACSL:
「Jetson Xavier NX」を使用した誘導ナビゲーションシステムを内蔵、自律飛行が可能な産業用ドローン「蒼天 (SOTEN) 」を展示。
●菱洋エレ/NVIDIAブースはJetson、Isaac(AMR)、Omniverse
GPUとAI開発で知られるNVIDIAは、国際ロボット展で同社が提供しているGPU、ロボットなどエッジデバイス組込に便利な小型のAIコンピュータボード「Jetson」、ロボットのシミュレーション環境を基本的には無料で構築できる「NVIDIA Isaac」、デジタルツイン「Omniverse」などを、菱洋エレクトロと共同で展示している。
テックマン製のロボットを使用したバラ積みピッキングの実演。トレイから別のトレイにバラ積みされた部品をロボットアームが移し替えているところ。デモの要点は、ロボットの上のディスプレイで解説されている「デジタルツインとシミュレーションによる知能ロボット開発の短期間化/省力化」にある
なお、調査会社のGartnerによると、現在、人とスマートロボットとの日常的な関わりは10%未満と少ないものの、インテリジェンス、社会的相互作用、人間拡張機能の進歩によって、2030年までに80%の人が、スマートロボットとの日常的な関わるようになると予測している。ロボットと人の接点は今後も世界中の産業で広がると見られている。
●Isaac Nova Orinアーキテクチャと「Isaac AMR」
展示ブースでは、AMR(自動移動ロボット)開発用のシミュレータ「Isaac AMR」を紹介している。ルート設定と障害物回避、シミュレーション、複数台のAMRが混在する環境でも衝突を回避して効率的に運用設定することができる。
また、NVIDIA Isaac Nova OrinアーキテクチャをベースとしたリファレンスモデルのAGV「Nova Carter」を日本で初めて展示した。
NVIDIA Isaac Nova OrinアーキテクチャをベースとしたリファレンスモデルのAGV(ロボット)「Nova Carter」。販売開始している。
AGV本体最上部にLiDARを、四方にステレオカメラと魚眼カメラを搭載している。内部にJetson AGX Orin 64GBが活用されている。
「Nova Carter」の展示はAMR開発用のシミュレータ「Isaac AMR」を紹介する一環として展示
リアルフォトスティックな「Isaac AMR」のデジタルツインの俯瞰画面。手前にルートのトレーニング走行をしている「Nova Carter」が見える
■Narrowing the Sim2Real Gap with NVIDIA Isaac Sim:
●Isaac Sim用「Omniverse Replicator」でAI学習データの作成を効率化
NVIDIA/菱洋エレクトロブースでは、「Isaac SIM」を活用して、フォトリアルで精密な仮想世界を構築、その中でシミュレーションし、ロボットの開発やトレーニングをおこなうことを提案している。
従来は、AIの学習用にアノテーションした膨大なトレーニングデータが必須で、その作成に手間とコストがかかっていたが、Isaac Sim用の「Omniverse Replicator」を使用することでAI学習に使用する合成データを生成することが可能となった。効率的な学習方法への意向が可能となる。
その成果のデモ、ブース内ではテックマンロボット製のロボットと、AI認識機能を持ったカメラを活用して、バラ積みピッキングのデモをおこなっている。
「Isaac Sim」はデジタルツイン基盤「Omniverse」のロボットシミュレーションを行うアプリケーションツール。ロボットのモデルや環境データなどのアセットをインポートし、操作シミュレーションやナビゲーションシミュレーションが可能となる。
ロボットアームの下に配置したコンピュータ内にGPUやJetsonを搭載されている。写真は超小型AIコンピュータボード「Jetson Nano 開発者キット」の例
なお、菱洋エレクトロ/NVIDIAブースでは、展示会特別価格での限定販売もおこなわれている。。
気になるのは「Isaac」や「Omniverse」の価格だが、「Isaac」は開発用として使用したり個人アクセスでは無料で利用できる。「Omniverse」も一部無料のものがあるが、業務に活用するために複数のマルチアクセスとワークグループ共有が可能になる「Omniverse Enterprize」を本格的に導入する場合は$9,000で当初は発表されている。金額は都度見積となっているので、開発時は無料のサービス利用から初めて、具体的にOmniverseで展開して活用するためには、問合わせて見積をとることをお勧めする。
●展示会場のJetson搭載/Isaac SIM活用のロボットたち
●テックマンロボットのパレタイズ/デパレタイズロボット
Techman Robotは、「Omniverse」を活用したデジタル ツインで、パレタイズ/デパレタイズロボットの展示を行っている。
Omniverseのデジタルツイン仮想空間でトレーニングをおこなっている画面
■テックマンロボット「NVIDIA Isaac SIM」でバレタイズのトレーニング:
●デンソー/デンソーウェーブ
ロボットのピッキングやパレタイズなどの作業では、ピッキングする対象物によって、3時限的な認識が必要となるケースも多い。その場合、ひとつの方法として3Dカメラを使用する方法があるが、機材の価格が高額になってしまうことがネックとなる。
デンソーウェーブは「NVIDIA Jetson Orin Nano」を搭載した「3D画像認識ピッキングシステム」を展示。この最新アプリケーションは、1つの「2Dカメラ」のみで3D認識を可能にするシステムとなっている(3Dカメラよりコストを大幅に抑えられる)。
左のパレットから部品をピッキングして、右のパレットに移動するロボット。白いパーツはシンプルだが、オレンジのパーツはやや複雑な形状のため、AIによる判断のレベルが高くなる。
ロボットの横にあるコンピュータシステムの右上の黒いボックスの中に「Jetson Orin Nano」が内蔵され、カメラ画像の判別を支援している
このデモでポイントとなるのは、オレンジ色の4つのパーツをピッキングする際、手前の2つはJetsonを使用せずにカメラ画像を認識して判別しているが(約2秒程度かかる)、奥の2つのピッキングにはJetson Orin Nanoを使用して解析・判別(約0.2秒で判別)をおこなっている点。Jetsonを使うと10倍以上高速にロボットが判断できることが確認できる。
■デンソーの2Dカメラ認識ロボットでNVIDIA Jetson有り/無し比較:
●その他のJetson搭載ロボットたち
ugo:
遠隔操作アバター/自律移動ロボット「ugo」にJetsonを搭載。
CuboRex:
CuboRexは、AIモデルを展開するために「NVIDIA Jetson Orin NX」で構築した屋外輸送ロボットを開発。
Mech-Mind:
高精度産業用カメラとAIで、初めて見る品物でも適切に把持する場所を高速に判断してピッキングするロボット+カメラシステムを展示。
LIPS:
カメラ画像からJetsonで判断し、的確に把持するロボットアーム(ハンド)のシステムを開発。
安川電機:
安川電機はNVIDIAと協力し、NVIDIAテクノロジーを活用したAI対応ロボットを開発、展示。
オムロン:
NVIDIA Omniverse プラットフォームと連携して動作し、フォトリアルなデジタル ツインを実現する産業用オートメーション ロボット向け統合開発環境「Sysmac Studio」を展示。
オカムラ:
ORVは物流倉庫等で、カゴ車の自動搬送を行うことができる自律走行搬送ロボット(AMR)「OKAMURA ROBOT VEHICLE (ORV)」に「Jetson AGX Orin」を搭載・物流倉庫内でカゴ車搬送。ORV は自らルートを生成し、ガイドなしで走行するため、大幅な床工事をすることなく導入でき、生産性の向上と省力化を実現。
アールティ:
中食産業や食品製造工場や流通倉庫で活用されているアールティの人型協働ロボット「Foodly」は「NVIDIA Jetson」プラットフォームを搭載。食品を認識、ピックアップして容器に盛り付け、箱に詰める等の軽作業を自動化。
京セラ:
2023年11月にサービス開始した新しい協働ロボットの知能化サービスを展示。クラウドに常時接続することで技術者不要でロボットの運用が可能。このサービスに「NVIDIA GPU」を採用。また、今後1〜2年でサービスインする最新技術の展示も行う。
Legmin:
「NVIDIA Jetson AGX Orin」によってビジョンAIを開発し、長ネギの農薬散布収穫に使用される農業に特化したロボットを紹介。
ACSL:
「Jetson Xavier NX」を使用した誘導ナビゲーションシステムを内蔵、自律飛行が可能な産業用ドローン「蒼天 (SOTEN) 」を展示。