「コミュニケーションを頻繁にとればいい」というわけはありません(漫画:筆者作成)

ビジネスの現場では報告、連絡、相談、いわゆる「報連相(ほうれんそう)」が重要だと言われますが、上司に対して頻繁に報連相をすると、逆効果になる可能性があります。著書に『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』などがある漫画家・イラストレーター・グラフィックデザイナーのJamさんが、自身の経験を基に解説します。

せっかくの努力が空回り


(漫画:筆者作成)

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仕事ではコミュニケーションや報連相が大切ですが、上司に頻繁に話しかけているのに、まったく重宝されていないと感じることはありませんか? もしかしたらそれは、せっかくの努力が空回りして、マイナスの評価になってしまったのかもしれません。

まず、大前提の話ですが、仕事中に誰かに話しかけるということは、自分の都合で相手の仕事を中断させるということです。仕事の途中で話しかけられたら、今やっている作業の手を止めて、対応しなければなりません。それによって集中力がとぎれたり、作業スピードが落ちたりすることもあります。

急に話しかけられて、浮かんでいたアイデアが消えてしまったとか、作業の勢いが止まってしまったとか、そういう経験はありませんか? 相手に対応している間は、本来、自分の仕事に使えていたはずの時間を奪われます。だから、重要な要件でないかぎりは、仕事中に話しかけられた側には、マイナス要素のほうが多いのです。

そして、上司はたくさんの部下を抱えています。相談される頻度も高いし、部下に相談をされたら、何かしらの対処をしなくてはなりません。そのうえで、上司にも自分のやるべき仕事がほかにあるのです。

だから、まずは上司に「今、話をしてもいいか」の確認を取りましょう。急ぎでなければ直接ではなく、メールなどでアポイントを取って、上司の都合に合わせるのがいいと思います。

また、話しかける内容ですが、「とりあえず上司と親密になるためにコミュニケーションを取ろう」と、仕事に関係のないことや、今、聞かなくてもいいことを話題にしていませんか?

上司はお友だちではありません。仕事でどうしても必要な相談をすることは大切ですが、できることなら、職場では少し線を引くくらいの気持ちで接したほうがいいんです。

そうでないと、上司もあなたの評価がしづらくなります。なぜなら、上司と親密な人の評価が上がれば、「公平な評価ではないのではないか?」と、疑念を抱く原因にもなり、周りで仕事をしている人たちのモチベーションが下がり、上司への信頼にも影響が出るからです。

度が過ぎると「仕事ができない人」に

そして報連相ですが、たくさんすればいいというものではありません。やりすぎれば評価が下がることもあります。こまめに報告や連絡や相談をするのはいいことのように感じますが、いちいち確認しなくてもいいようなことや、調べればわかるようなことを、何度も聞かれたらどう感じるでしょう? ストレスになったり、負担を感じたりするのではないでしょうか。

報連相は大事なのですが、度が過ぎると仕事に自信がないと思われたり、どこまで報告すればいいかを自分で判断できない、仕事ができない人だと受け取られたりすることもあります。

仕事の評価は、上司と仲良くなったらあがるわけではありません。成果がすべてです。はじめにも書きましたが、コミュニケーションも報連相も大事なのです。だから、自分は空回りしているなと感じたら、上司に話しかけたいという「自分の都合」の前に、「上司の都合」を考えてみてください。相手の都合を考えて、気遣いができる人は、重宝されると思います。


(漫画:筆者作成)

会議で積極的に発言したのに、それによって、煙たがられてしまったという経験はありませんか? せっかく頑張って発言したのに、疎まれてしまうのは悲しいですよね。でも、発言の際に少し気をつけることで、状況を改善できるかもしれません。

大事なのは自分の意見を押し通すことではない

会議で煙たがられる人には、いくつかの特徴があります。1つめは、自分の意見に固執して、それを押し通そうとする人です。何のために会議を開くかと言えば、みんなで話し合って決めるためです。自分の意見が正しい意見とは限らないし、会社の利益のために有用な意見が他にあれば、他人の意見が採用されることもあります。

積極的に発言するのはいいことですが、大事なのは自分の意見を押し通すことではありません。それがわからないと、他人の意見をさえぎったり、自分以外の意見に否定的になったりします。意見だけではなく、相手そのものを否定してしまう人もいます。

そんなことになれば、言われた相手も聞いている周りの人たちも不快になり、ますます会議の場で煙たがられてしまいます。自分の意見を重視してほしいとしても、会議の目的はあくまで、みんなで話し合って会社に利益を出すことです。他の人の意見もきちんと聞いて、必要であれば受け入れたり、賛同したりしていくことが大切です。

そしてもう1つは、自分の存在感をアピールするために「とりあえず何か発言」をする人です。ずっと無言でいるよりはいいように感じますが、会議と言うのは限られた時間の中で開かれます。

そこに集まったすべての人たちが、自分と同じように会議のために準備をして、時間を割いて参加しています。そういう場でまとまりのない、的外れなことを発言すれば、会議に参加したみんなの貴重な時間を奪うことになります。

「とりあえず会議だから何か言わないと……」と発言している人は、気をつけてみてください。

他人と同じ意見ばかり言うのもよくない

また、「他人と同じ意見ばかり言う」のもよくありません。偶然、考えていた内容が他の人の意見と重なってしまうこともありますが、毎回、他人と同じ意見ばかりを言えば、自分の意見を持っていないやる気のない人だと思われてしまいます。同じ意見を持っていたとしても、理由までまったく同じということはないはずです。自分の言葉でも説明できるように、工夫をしてみてください。それだけでも、だいぶ印象は変わるはずです。

「自分の意見に固執して、押し通そうとない」、「的外れな発言をしない」、「他人と同じ意見ばかり言わない」。このあたりに気をつけていれば、あまり煙たがられることはないと思います。

せっかく、積極的に発言したいと思うくらいのやる気があるのですから、疎まれてしまうのは悲しいしもったいないです。発言の際に少しの気遣いをするだけで、今よりもきっとうまくいくと思います。

(Jam : 漫画家・イラストレーター・ゲームグラフィックデザイナー)