J2リーグ第41節 東京V 1(0-0)0 栃木
14:03キックオフ 味の素スタジアム 入場者数13,383人
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前半に退場者を出したことで数的不利な戦いを強いられた東京Vだったが、82分に得たFKを中原輝が沈めてしぶとく勝った。これでJ2の自動昇格争いは、勝点73得失点差+44の清水、勝点72得失点差+29の磐田、そして勝点72得失点差+24の東京Vの三つ巴のまま最終節に突入することになった。

数字を考えると東京Vがもっとも不利な戦いになる。だが、この日の試合で東京Vは2つの勝利をすでに手にした。一つは最終節まで主役となる権利を手にしたこと。この日負けていれば、もう自動昇格はなかった。

もう一つは、観客動員数。2009年J2に降格した年は平均観客動員数5,521人、コロナ禍直前でJリーグが最多入場者数を誇った2019年は5,371だった。それが今年は7,982人で、最終節は今季最多の13,383人を集めている。

黄金時代は華やかな得点力が魅力だったが、現在はJ2首位の守備力を誇るチーム。しかし小技の効いたプレーは伝統として根付いている。順位を上げているのもあるだろうが、多くの観客が足を運び、スタジアムに熱気を蘇らせた。

試合前日、ライバルの清水と磐田が大勝していたことに対して城福浩監督は焦りはなかったという。

「もちろん複数得点を狙いたい思いはありましたけど、簡単に勝点3を取れる相手じゃない。奇跡を起こすには勝点3で十分です。あと1つか、 あと3つか、我々が全部勝てばいいだけの話で、奇跡を起こす土壌を作れたという意味では今日の勝点3の価値はすごく高いと思います」

もっとも、前半アディショナルタイムに深澤大輝が警告2枚で退場になった場面では、激高して審判に詰め寄りそうになり、スタッフに止められる姿も見せた。あのままレフェリーに突進していれば退席になってもおかしくない。そうすると今後の大事な試合で指揮を採れない可能性まであった。その点を指摘された城福監督は「反省しています。そこは書いておいてください」と神妙な顔で語ってコメントを締めくくった。

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート