ドン・キホーテの弁当・総菜新ブランド「偏愛めし」が登場! 個性がだだ漏れの商品をひと足先に実食
コンセプトは「みんなの75点より、誰かの120点。」
「ドン・キホーテが弁当や総菜を扱っていることすら知られていない」
上席執行役員の森谷健史さんの悲しいひと言から始まった、弁当・総菜の新ブランド発表会。
ドンキのこれまでのお弁当は、「安いけど普通」「どこかで見た商品」と、お客さんからの声は結構辛辣なものだったのだとか。
わたくしライター・市村、お酒やPB商品など、ドン・キホーテのなかなかのヘビーユーザーという自覚はあるが、ドンキのお弁当類は手を出したことがないし、お総菜は売っていることを知らなかった。店舗によって、扱いの有無もあるのだろうけれども。
コロナ禍を経て、今後もますます伸びると推測される中食市場。2012年と2021年を比較すると市場は116%の伸長ぶりなのだそう。
そのニーズに応えるべくドン・キホーテが新たにリリースするのが「偏愛めし」。
「着目したのは、顧客の実態とこれまでの商品開発とのギャップ。食へのこだわりが多様化していく中で万人受けを狙った無難な商品開発で失敗してきた。みんなが持っている何かしらの『好き』、お客様の心の奥底にある『超好き』、本能に突き刺さる商品を提供すべきである」と森谷さんは話す。
「みんなの75点より、誰かの120点。」というコンセプトを掲げ、期待に応える弁当や総菜を作りたいと、開発工場から見直し。中食業界大手のカネ美食品との業務提携を結び、商品開発に本腰を入れられる体制を構築した。
「好きな人は絶対に好き!」と開発者自身が確信を持てる偏愛メニューだけを届けることにこだわり、「白飯許さない!」、「脇役を主役に」、「酒しか勝たん」の3テーマで商品を展開する。
発表会ではあるものの、「プレ偏愛めし会」として試食会を行い、集まったマスコミやインフルエンサーなどからアンケートを取るという、ちゃっかりしているところも素敵だ。
「白飯許さない」ってどういうこと!?
逆説的でおもしろいネーミングだと笑っちゃったのが「白飯許さない」。
開発者の梶間 慧さんは、食べることが大好きで白飯と具材のバランスを取ることを忘れ、欲望のままに具材を食べていたら白飯が余りがちという実体験から生まれたのがこの部門。飯より具材を愛しすぎてたどり着いた「超絶具ッドな偏愛めし」だ。
「ワクワクドキドキする商品づくりでみんなの心を満たしたい。具の量を多くすることで、最後に白飯だけが余ることがないように、最後のひと口まで満足できるように」という思いに溢れている。
「欲望のままに作った厚切りロースのピラミッ丼」(646円)について、「焼肉弁当を食べていると、肉が先になくなってしまう」と不思議そうに、かつ悲しそうに話す梶間さん。そんな思いを抱えている同志諸君への使命感に燃えて開発されたのがこちらだ。お肉とご飯はなんと同量の180gずつ。
豚ロースは4〜5mmほどもの厚みがあるのに柔らかで歯触りがよく、サッパリとしているのでぐいぐい食べられる。甘辛いタレに糸唐辛子のアクセントもいい。
「あんだく溺れ天津飯」(430円)も天津飯を食べた時にあんが先になくなって、白飯のみを切ない思いで食べたという経験から生まれたもの。
熊本県天草の「牛深(うしぶか)漁港」で出合った、新鮮な小魚から抽出したダシを使ったあんは醤油ベース。オイスターソースがほんのり効いたやさしい味わいのあんが容器の限界ぎりぎりまで超だくだくに入っている。これは持ち帰りの時に気をつけないと大変そうだ。具材はカニカマとキクラゲととてもシンプル。
「はみだしすぎィな鶏つくねおにぎり」(322円)について、梶間さんは“ちょっとはみ出している”と言うが、いやいや、ひと口目はご飯に届かず、つくねしか食べられない(笑)。つくねとご飯はそれぞれ80gずつで、私(女性)の握りこぶし以上の大きさだ。
どこから食べても具があるし、最後のひと口まで堪能できる満足感と幸福感を願って作られた。つくねは既存品の226%だそうで、はみだしすぎィというか、やりすぎィだろう、ドンキ!
最初にパクリとかじられる部分は照り焼きソースで、途中からはまろやかな卵黄ソースで味変されるようになっている。具材は、ショウガの風味が爽やかなつくねに、ニンジンなどの根菜類も入り、満足度がやたらと高い。
「脇役を主役に」の振り切りっぷり
続いては、「脇役を主役に」。開発者の犬塚康太さんは、誰よりも調味料を愛し、味付けにこだわり、社内で求道者と呼ばれているんだとか。
「具材や白飯は、すべてのタレ、ダシを生かすためにある。これは脇役である調味料を世の中にアピールするチャンスだ」と豪語する。
「焼肉のタレをドバドバ染み込ませた焼肉タレおにぎり(肉入り)」(160円)は、ドンキのPB商品でもある、やや甘口の焼肉のタレを使用したおにぎり。イメージは焼肉屋さんで焼いてタレをたっぷりつけたお肉を白飯にバウンドさせた、あのご飯。
焼肉の脂の旨みとタレをドバドバ投入しすぎたことにより、タレを主役にしたことで肉が脇役に追いやられている。米にタレを混ぜ込んでいるが、さらにおにぎりの中にもタレが仕込まれているというこだわりぶりに震えた。
食べた瞬間、あまりのおいしさに頬が緩んでしまったのが、「西京味噌で米を食い続けるための金目鯛焼きおにぎり」(214円)だ。
数ある調味料の中で最も西京味噌が好きだという犬塚さん。西京味噌のやさしい味を最大限に引き出す設計で、愛をものすごく感じた。
実は「西京味噌」と名乗れるものは、承認されているごく一部なのだそう。
今回、西京味噌のおいしさを伝えたいと1830年創業の京都の味噌蔵「株式会社 西京味噌」の味噌を使用している。ここでも金目鯛はあくまで脇役。
本音を言うと、金目鯛は入れず、西京味噌だけにしたかったと話す犬塚さんだが、食感を出すためにいちばん味噌の風味を邪魔しない量を模索したんだとか。2023年10月現在、西京焼きの金目鯛が具材のおにぎりがあるそうだが、11月以降は思い切り振り切ったこちらの商品にチェンジされる。
「ダシを活かすための親子丼」(495円)は、上記天津飯のあん同様「牛深漁港」で出合った、新鮮な小魚から抽出したダシを使っている。
「このダシに出合った時、これを世の中に広めるのは私の使命だ」と感じたのだそう。ダシのやさしい美味しさを活かすために考えられた、素朴な味付けのダシファーストの親子丼だ。
「酒しか勝たん」は飲兵衛ホイホイか!?
正直なところ、お酒が好きということもあり、いちばん気に入ったのが「酒しか勝たん」。開発者の松田健一さんは毎晩晩酌をし、三度の飯よりお酒が好きと話す。
コロナ禍以降、ますます高まる宅飲みの需要に応え、お酒に合うことだけを徹底的に追求し、酒飲みのプライドをかけて飲兵衛に捧げる偏愛おつまみだ。商品ラインナップは以下の通り。
「吸ってよし食ってよし だし漬け枝豆」(322円)は、茹でた枝豆をかつおダシに2時間漬け込み、それに加えてまぶしてあるイワシとキビナゴのダシ粉末の主張もすごい。
豆のおいしさはもちろんだが、ダシが染みた皮もおいしいのでねぶってほしいというビール党におすすめの一品だ。これは食べ終わったら、ついつい指までしゃぶっちゃうなぁ。
焼酎にワサビを入れて飲むのが好きだと話す松田さん。その発想からやってみたというのが、ポテサラにワサビを入れること。
「【R指定?】葉わさびポテトサラダ」(268円)はまさにその発展系のお総菜。練りワサビを妥協なく入れ込み、中にも上にも葉ワサビをトッピングに使って香り高く仕上げている。
なめらかなポテサラと葉ワサビの食感のコントラストがよく、焼酎がグビグビと進みそう。個人的には炭酸割で合わせてみたいと思う。現状でもワサビは攻めた辛みだが、もっと刺激が欲しければ、お好みで追いワサビをするのもアリだろう。
「酒放題ゆず味噌なんこつ」(268円)は、松田さんが日本酒の味を覚えたきっかけになったというゆず味噌を使い、個人的にいちばん思い入れのある商品なんだとか。ゆずの香りと味噌の甘じょっぱさとコクがたまらないゆず味噌にコリコリのなんこつを合わせている。
個人的にうれしかったのは、このヤゲンナンコツにお肉がしっかりと付いていたこと。とてもお得感がある。敷いてある生のキャベツもいい仕事をしている!
「噛むほど旨い炙り鶏ハラミ」(322円)は、松田さんが仕事帰りに立ち寄る焼鳥屋さんで毎回頼むメニューを再現したもの。ジューシーで柔らかな鶏ハラミは炭火の風味がよくて驚いた。温めたほうがおいしいのはもちろんだけど、冷めていても十分おいしい。
おすすめのペアリングはレモンサワーだそう。
これらのおつまみとアルコールのセットでだいたいワンコインくらいで購入できるというのもうれしい。
ドンキ大好きライターがヘビロテ決定の商品とは
ドンキ愛用者でもあるライター・市村が個人的に絶対に買う! と思ったのは、食事にもつまみにもなる「欲望のままに作った厚切りロースのピラミッ丼」と「西京味噌で米を食い続けるための金目鯛焼きおにぎり」、おいしさに感動した「【R指定?】葉わさびポテトサラダ」と「噛むほど旨い炙り鶏ハラミ」、「酒放題ゆず味噌なんこつ」だ。
2023年11月1日からの1ヶ月間は、会員アプリサービス「majica」にて、割引クーポンを配布するキャンペーンを開催。お得にいただける。
これらの商品もいずれは見慣れてしまって、75点になってしまうかもしれない。そんな時でも原点に立ち返られるよう「偏愛めし会」を定期開催し、商品の尖りが失われていないかを確認していきたいとのこと。
この「偏愛めし会」への参加は、アプリから自己申告制になる計画なので、ぜひダウンロードして声を届けてほしい。
今後も2024年1月にお弁当、2月以降にはパスタやサラダ、サンドイッチなど、さまざまな偏愛を追求した商品が発売される予定だ。
ユニークなラインナップが揃う、ドン・キホーテの「偏愛めし」から目が離せない。
写真・取材/市村幸妙