HHKB Studioの開発は4年前に始まっていた! 裏話続々の「ユーザーミートアップ」
10月25日、毎年恒例のファンイベント「HHKB ユーザーミートアップ Vol.7」が開かれました。27年の歴史で初めてといえる大きな変化を伴う新製品「HHKB Studio」がサプライズで同日深夜に発表されたこともあり、実機が初めて体験できる貴重な場に。PFUの担当者からはさまざまな開発秘話が語られるなど、ファンにとっては内容の濃いイベントとなりました。
毎年恒例のファンイベント「HHKB ユーザーミートアップ Vol.7」がイベントスペースでリアル開催。当然ながら、開催当日の深夜に発表された新製品「HHKB Studio」が中心の内容となりました
例年と時期が違うのはHHKB Studioがあったから
イベントの冒頭にあいさつをしたPFU 販売推進統括部長の山口篤氏は、「例年のユーザーミートアップは12月なのに…と思っていた人もいるかもしれません。しかし、今回のユーザーミートアップはHHKB Studioの発表に合わせたため、このタイミングになりました」と説明がありました。
開会を告げるPFU 販売推進統括部長の山口篤氏
HHKBといえば、生みの親として知られるのが東京大学名誉教授の和田英一先生。今回はビデオレターでの参加となりましたが、モノは生まれたあとに機能を追加して発展していくものだ、と自動車と携帯電話を例に解説し、今回のHHKB Studioも同じだと説明していました。
続いて、HHKB Studioの開発を担当したPFU SW/FW先進技術開発部 マネージャーの笠原雄毅氏が開発の経緯を紹介しました。
PFU SW/FW先進技術開発部 マネージャーの笠原雄毅氏
HHKB Studioの開発は、実に4年前からスタートしたといいます。HHKBの基本思想である「最小の動きで無限大の創造を」は変えず、一方で初代から27年が経過してコンピューティング環境が変化したことを受け、新たな機能を追加したといいます。
デザインは、アクションカメラ「GoPro」のデザインを手がけたことでも知られる米国のHuge Design LLC.が協力。「ノイズがない」をコンセプトに、ポインティングスティックのゴムも含めて真っ黒な仕上がりとなっています。
上がHHKB Professional Classicで下がHHKB Studio。マウスキーやジェスチャーパッドがある分若干大型です
なんと初代も展示。しかも、HHKBの生みの親である和田先生のサイン入り! PS/2ケーブルってこういう具合に収納されていたんですね。当時の富士通色が強いラベルも懐かしいです
メカニカルキースイッチの採用に関しても、最近のメカニカルキースイッチのトレンドを調べてリニアスイッチの静音タイプを採用。ホットスワップ対応の基板を使用することで、好みに合わせてのスイッチ変更を容易にしています。
メカニカルキー採用でかつホットスワップができます。いわゆるCherry MX軸が使えるようになっており、CTRL/Aの位置にように好きなスイッチに変えることができます
さらに、インジケーターもさりげなく強化。4つのLED表示によってBluetoothの接続先やキーマップのプロファイルが判別できるようになっています。キーマップ変更ツールもパワーアップしており、単なるキーの入れ替えだけでなく「Win+Shift+S」のようなキーコンビネーションも設定できるようになりました。
ホームポジションから手を動かすことなく操作できるポインティングスティックと、本体の前部と側面にジェスチャーパッドを新たに搭載し、「すべてのツールが一か所に集まる仕事場」として利用できると紹介しました。
なお、従来のHHKBシリーズはそのまま併売となり、新たな製品ラインとしてHHKB Studioを投入します。確かに、従来の大きなターゲットであったプログラマーや文筆系の人にジェスチャーパッドが必要かと言われると微妙なところで、クリエイターなど新たな層にアピールしている感じがあります。
その新たな層になりそうなゲストとして、合同会社クリーン・クラン代表の大倉照結氏による講演がありました。大倉氏はアドビの公式インストラクターをはじめ、デザイナー、女優、日本舞踊家、専門学校講師など、ジャンルの異なるさまざまな分野で才能を発揮するマルチクリエイター。使用しているPCもMacだけでなく、Windowsも使用しています。
合同会社クリーン・クラン代表 大倉照結氏
HHKB Studioにはキーマッププロファイルが4つ内蔵可能なので、環境に合わせたキーマップの設定を紹介。プロファイル1はWindows用として設定し、左FnキーをWindowsキーとして利用したり、スクリーンショット専用のキーアサインを用意しているそう。プロファイル2は汎用のMac作業用で、英数・カナの切り替え位置を変えたり、左FnキーをCommandキーに設定することで、Windows/Mac共に同じ位置にキーをアサイン。プロファイル3はAdobeアプリ用として設定し、ジェスチャーパッドにブラシサイズの変更とAndo/Redoを設定することで作業効率をアップ。プロファイル4は何に使おうか迷っているそうです。
HHKB Studioを試用して感じたメリットとして「ポインティングスティック&キータッチの軽快さ」「自由で柔軟なプロファイル設定」「MacとWindowsを併用しての作業中、ショートカットキーの位置が変わらない」「かゆいところに手が届くジェスチャ―パッド」の4点を挙げました。
Profileの設定例。ジェスチャーパッドにAndo/Redoを入れているほか、FnキーにWinキーを割り当てており、Mac利用時との違いを減らしているようです
自作キーボードに近い存在
続いて、HHKBエバンジェリストを交えてのトークセッションが2つありました。今回の内容はYouTubeで公開されていますが、特に面白そうなところを抜き出すと……。
スペシャルトークセッション1は、4人のエバンジェリストと笠原氏でHHKB Studioの印象を語る内容となった。それぞれのエバンジェリストのコメントを左から順に紹介したい
【動画】スペシャルトークセッションの様子
プログラマー/モバイルアプリ開発者の有山圭二氏
「最初は親が決めたいいなずけが来たような感じだったが、分かってきたらイイナと思った。ポインティングスティックはキーボードから手を動かさなくていいのはとてもいい体験で、マウスの利用率が8割減に。Studioはカスタマイズ性が高い仕事仲間になった」
プロフットバックプレイヤー キャリアコンサルタントの石田大志氏
「Studioはデザインがカッコいいだけでなく打鍵感がよかった。デザイン事務所が入ったせいか、電池ボックスの出っ張りがなくなってスッキリしたのがいい。とはいえ、やはり白モデルが欲しい」
自作キーボードエンスージアストのぺかそ氏
「初感は好みの配列にポインティングデバイスが合体してうまいものとうまいものが合体した、という印象。キーマップのデータ提供に驚いたが、オープンなものにしたいという開発者の考えがうれしい。メカニカルキーボードの品質はかなり高くなったので、『静電容量でないと』と考えている人もまず触ってほしい」
プログラマー/自作キーボード設計者のびあっこ氏
「プロトタイプ時代から見せてもらっていたが、『最初から狙いは正しかった』と思った。キーマップ設定は自作キーボードのマインドに近く、ユーザーに選択をゆだねている感じ。以前の電源スイッチは今OnなのかOffなのか分かりにくかったので、スライド式の電源スイッチにしてよかったと思う。バラしてみると、かなりこだわった作りになっていた。値段だけの作りがあってハードウェアはイイが、ソフトはもう少し作り込んでほしい」
ミートアップでは抽選会が開かれ、HHKB Studioも1台プレゼントされました。なんと和田先生のサイン入りで、普段使いにはできなさそうですね
ジェスチャーパッドとポインティングデバイスは今後の改良に期待
さて、会場で短時間ながらHHKB Studioを触った筆者の感想です。
HHKB Studioは今回、Kailh赤軸のカスタム品を採用。静電容量式でなければHHKBでない、と捉える人もいると思いますが、最初のHHKBはメンブレン式スイッチを採用しており(うちに転がっているHHKB Lite2もメンブレン式)、あとから東プレのスイッチになったという経緯があります。
本体重量は830〜840g(乾電池含まず)とかなりずっしりして安定感があり、打鍵感はかなり良質の部類に入ると思います。ホットスワップ対応なので、「リニアのスイッチはイヤだ」といった人はいわゆる「Cherry MX(互換)」のスイッチを購入して取り替えればよいでしょう。HHKB Studioは好みに合わせたカスタマイズの幅が広がった、と捉えた方がよいかもしれません。
一方で、All-in-Oneとして追加されたジェスチャーパッドとポインティングスティックの動きに関しては、まだ改良が必要だと感じました。ジェスチャーパッドはゆっくり動かすと小さく、素早く動かすと大きく動いてほしいですし、ポインティングスティックも傾きに応じた動きの差が欲しいところですが、触った限りではそのような差が感じられませんでした。これは、今後のファームウェアアップデートに期待したいところです。
あと、有線接続にすれば関係ありませんが、Bluetooth接続時の電池持ちが悪すぎるのも気になりました。「単4形乾電池2本で3年持つ」製品もあるなか、単3形乾電池4本で3か月、というのはちょっと短めです(どちらも公称値)。他社のキーボードは、Windows/Macの切り替えが自動的に行われる製品もあり、そのあたりも改善してほしいポイントです。
私自身は会場で限定販売されていたHHKB Studioを買わなかったのですが、大きな理由として「今回黒モデルしか出ていない」ところが挙げられます。キーボードは黒モデルが一定の人気を占めていますが、最近の自作パソコンでは白が結構流行っています。パーツの方も白いマザーボード、白いグラフィックスカード、白いメモリー、白いマウス、白いヘッドセットなど、まっ白なコーディネートが流行っています。なので、オーソドックスなカラーもそうですが、HHKB Studioにも「雪モデル」が出ることを強く期待します。
アクセサリー類も展示
サードパーティ製アクセサリーの展示もありました。こちらはバード電子のキーボードルーフのStudio対応版
Professionalはシリンダスカルプチャに合わせて外装も湾曲していましたが、Studioは平なので、これに合わせてあります
キートップを染料でカラフルに染めた人も
先日、教育向けの展示会に行ったところ、エレコムが文教向けのキーボード「KEY PALETTO」を展示していました。キーをどの指で押せばいいか色で明示していていいなと思ったものの、「見た目はコレで中身は本格キーボードが欲しい」と感じました。
その理想に近いキーボードを、今回のミートアップに持ち込んでいた人がいました。HHKBのキートップはPBT (Poly Butylene Terephthalate) という素材を使っていて、これはポリエステル樹脂の一種なので「ポリエステル用染料で染めた」という一品です。「表面しか染まっていないが、1年以上使っていて耐久性もあるし、刻印もそのまま残る」と、染める踏ん切りがつけばなかなか有用なハック方法だと思います。
染めるので、キートップが黒ではこの方法は使えず、通常モデルでも濃い目の色ならばあまり問題ないけど、蛍光イエローのようなカラーを出すには雪モデルのキートップでないとダメとのこと。実は、その意味でも白モデルが欲しいなぁと感じたのです。
とある来場者から見せられて度肝を抜かれたのがコレです。さらに「ポリエステル用の染料で染まる」と言われて納得
このようにさまざまな色に染まるうえ、刻印部分はそのまま使えるというのがすごくいい感じでした
ということで楽しかったHHKB ユーザーミートアップ Vol.7も終了。次回も行きたいですね
毎年恒例のファンイベント「HHKB ユーザーミートアップ Vol.7」がイベントスペースでリアル開催。当然ながら、開催当日の深夜に発表された新製品「HHKB Studio」が中心の内容となりました
イベントの冒頭にあいさつをしたPFU 販売推進統括部長の山口篤氏は、「例年のユーザーミートアップは12月なのに…と思っていた人もいるかもしれません。しかし、今回のユーザーミートアップはHHKB Studioの発表に合わせたため、このタイミングになりました」と説明がありました。
開会を告げるPFU 販売推進統括部長の山口篤氏
HHKBといえば、生みの親として知られるのが東京大学名誉教授の和田英一先生。今回はビデオレターでの参加となりましたが、モノは生まれたあとに機能を追加して発展していくものだ、と自動車と携帯電話を例に解説し、今回のHHKB Studioも同じだと説明していました。
続いて、HHKB Studioの開発を担当したPFU SW/FW先進技術開発部 マネージャーの笠原雄毅氏が開発の経緯を紹介しました。
PFU SW/FW先進技術開発部 マネージャーの笠原雄毅氏
HHKB Studioの開発は、実に4年前からスタートしたといいます。HHKBの基本思想である「最小の動きで無限大の創造を」は変えず、一方で初代から27年が経過してコンピューティング環境が変化したことを受け、新たな機能を追加したといいます。
デザインは、アクションカメラ「GoPro」のデザインを手がけたことでも知られる米国のHuge Design LLC.が協力。「ノイズがない」をコンセプトに、ポインティングスティックのゴムも含めて真っ黒な仕上がりとなっています。
上がHHKB Professional Classicで下がHHKB Studio。マウスキーやジェスチャーパッドがある分若干大型です
なんと初代も展示。しかも、HHKBの生みの親である和田先生のサイン入り! PS/2ケーブルってこういう具合に収納されていたんですね。当時の富士通色が強いラベルも懐かしいです
メカニカルキースイッチの採用に関しても、最近のメカニカルキースイッチのトレンドを調べてリニアスイッチの静音タイプを採用。ホットスワップ対応の基板を使用することで、好みに合わせてのスイッチ変更を容易にしています。
メカニカルキー採用でかつホットスワップができます。いわゆるCherry MX軸が使えるようになっており、CTRL/Aの位置にように好きなスイッチに変えることができます
さらに、インジケーターもさりげなく強化。4つのLED表示によってBluetoothの接続先やキーマップのプロファイルが判別できるようになっています。キーマップ変更ツールもパワーアップしており、単なるキーの入れ替えだけでなく「Win+Shift+S」のようなキーコンビネーションも設定できるようになりました。
ホームポジションから手を動かすことなく操作できるポインティングスティックと、本体の前部と側面にジェスチャーパッドを新たに搭載し、「すべてのツールが一か所に集まる仕事場」として利用できると紹介しました。
なお、従来のHHKBシリーズはそのまま併売となり、新たな製品ラインとしてHHKB Studioを投入します。確かに、従来の大きなターゲットであったプログラマーや文筆系の人にジェスチャーパッドが必要かと言われると微妙なところで、クリエイターなど新たな層にアピールしている感じがあります。
その新たな層になりそうなゲストとして、合同会社クリーン・クラン代表の大倉照結氏による講演がありました。大倉氏はアドビの公式インストラクターをはじめ、デザイナー、女優、日本舞踊家、専門学校講師など、ジャンルの異なるさまざまな分野で才能を発揮するマルチクリエイター。使用しているPCもMacだけでなく、Windowsも使用しています。
合同会社クリーン・クラン代表 大倉照結氏
HHKB Studioにはキーマッププロファイルが4つ内蔵可能なので、環境に合わせたキーマップの設定を紹介。プロファイル1はWindows用として設定し、左FnキーをWindowsキーとして利用したり、スクリーンショット専用のキーアサインを用意しているそう。プロファイル2は汎用のMac作業用で、英数・カナの切り替え位置を変えたり、左FnキーをCommandキーに設定することで、Windows/Mac共に同じ位置にキーをアサイン。プロファイル3はAdobeアプリ用として設定し、ジェスチャーパッドにブラシサイズの変更とAndo/Redoを設定することで作業効率をアップ。プロファイル4は何に使おうか迷っているそうです。
HHKB Studioを試用して感じたメリットとして「ポインティングスティック&キータッチの軽快さ」「自由で柔軟なプロファイル設定」「MacとWindowsを併用しての作業中、ショートカットキーの位置が変わらない」「かゆいところに手が届くジェスチャ―パッド」の4点を挙げました。
Profileの設定例。ジェスチャーパッドにAndo/Redoを入れているほか、FnキーにWinキーを割り当てており、Mac利用時との違いを減らしているようです
自作キーボードに近い存在
続いて、HHKBエバンジェリストを交えてのトークセッションが2つありました。今回の内容はYouTubeで公開されていますが、特に面白そうなところを抜き出すと……。
スペシャルトークセッション1は、4人のエバンジェリストと笠原氏でHHKB Studioの印象を語る内容となった。それぞれのエバンジェリストのコメントを左から順に紹介したい
【動画】スペシャルトークセッションの様子
プログラマー/モバイルアプリ開発者の有山圭二氏
「最初は親が決めたいいなずけが来たような感じだったが、分かってきたらイイナと思った。ポインティングスティックはキーボードから手を動かさなくていいのはとてもいい体験で、マウスの利用率が8割減に。Studioはカスタマイズ性が高い仕事仲間になった」
プロフットバックプレイヤー キャリアコンサルタントの石田大志氏
「Studioはデザインがカッコいいだけでなく打鍵感がよかった。デザイン事務所が入ったせいか、電池ボックスの出っ張りがなくなってスッキリしたのがいい。とはいえ、やはり白モデルが欲しい」
自作キーボードエンスージアストのぺかそ氏
「初感は好みの配列にポインティングデバイスが合体してうまいものとうまいものが合体した、という印象。キーマップのデータ提供に驚いたが、オープンなものにしたいという開発者の考えがうれしい。メカニカルキーボードの品質はかなり高くなったので、『静電容量でないと』と考えている人もまず触ってほしい」
プログラマー/自作キーボード設計者のびあっこ氏
「プロトタイプ時代から見せてもらっていたが、『最初から狙いは正しかった』と思った。キーマップ設定は自作キーボードのマインドに近く、ユーザーに選択をゆだねている感じ。以前の電源スイッチは今OnなのかOffなのか分かりにくかったので、スライド式の電源スイッチにしてよかったと思う。バラしてみると、かなりこだわった作りになっていた。値段だけの作りがあってハードウェアはイイが、ソフトはもう少し作り込んでほしい」
ミートアップでは抽選会が開かれ、HHKB Studioも1台プレゼントされました。なんと和田先生のサイン入りで、普段使いにはできなさそうですね
ジェスチャーパッドとポインティングデバイスは今後の改良に期待
さて、会場で短時間ながらHHKB Studioを触った筆者の感想です。
HHKB Studioは今回、Kailh赤軸のカスタム品を採用。静電容量式でなければHHKBでない、と捉える人もいると思いますが、最初のHHKBはメンブレン式スイッチを採用しており(うちに転がっているHHKB Lite2もメンブレン式)、あとから東プレのスイッチになったという経緯があります。
本体重量は830〜840g(乾電池含まず)とかなりずっしりして安定感があり、打鍵感はかなり良質の部類に入ると思います。ホットスワップ対応なので、「リニアのスイッチはイヤだ」といった人はいわゆる「Cherry MX(互換)」のスイッチを購入して取り替えればよいでしょう。HHKB Studioは好みに合わせたカスタマイズの幅が広がった、と捉えた方がよいかもしれません。
一方で、All-in-Oneとして追加されたジェスチャーパッドとポインティングスティックの動きに関しては、まだ改良が必要だと感じました。ジェスチャーパッドはゆっくり動かすと小さく、素早く動かすと大きく動いてほしいですし、ポインティングスティックも傾きに応じた動きの差が欲しいところですが、触った限りではそのような差が感じられませんでした。これは、今後のファームウェアアップデートに期待したいところです。
あと、有線接続にすれば関係ありませんが、Bluetooth接続時の電池持ちが悪すぎるのも気になりました。「単4形乾電池2本で3年持つ」製品もあるなか、単3形乾電池4本で3か月、というのはちょっと短めです(どちらも公称値)。他社のキーボードは、Windows/Macの切り替えが自動的に行われる製品もあり、そのあたりも改善してほしいポイントです。
私自身は会場で限定販売されていたHHKB Studioを買わなかったのですが、大きな理由として「今回黒モデルしか出ていない」ところが挙げられます。キーボードは黒モデルが一定の人気を占めていますが、最近の自作パソコンでは白が結構流行っています。パーツの方も白いマザーボード、白いグラフィックスカード、白いメモリー、白いマウス、白いヘッドセットなど、まっ白なコーディネートが流行っています。なので、オーソドックスなカラーもそうですが、HHKB Studioにも「雪モデル」が出ることを強く期待します。
アクセサリー類も展示
サードパーティ製アクセサリーの展示もありました。こちらはバード電子のキーボードルーフのStudio対応版
Professionalはシリンダスカルプチャに合わせて外装も湾曲していましたが、Studioは平なので、これに合わせてあります
キートップを染料でカラフルに染めた人も
先日、教育向けの展示会に行ったところ、エレコムが文教向けのキーボード「KEY PALETTO」を展示していました。キーをどの指で押せばいいか色で明示していていいなと思ったものの、「見た目はコレで中身は本格キーボードが欲しい」と感じました。
その理想に近いキーボードを、今回のミートアップに持ち込んでいた人がいました。HHKBのキートップはPBT (Poly Butylene Terephthalate) という素材を使っていて、これはポリエステル樹脂の一種なので「ポリエステル用染料で染めた」という一品です。「表面しか染まっていないが、1年以上使っていて耐久性もあるし、刻印もそのまま残る」と、染める踏ん切りがつけばなかなか有用なハック方法だと思います。
染めるので、キートップが黒ではこの方法は使えず、通常モデルでも濃い目の色ならばあまり問題ないけど、蛍光イエローのようなカラーを出すには雪モデルのキートップでないとダメとのこと。実は、その意味でも白モデルが欲しいなぁと感じたのです。
とある来場者から見せられて度肝を抜かれたのがコレです。さらに「ポリエステル用の染料で染まる」と言われて納得
このようにさまざまな色に染まるうえ、刻印部分はそのまま使えるというのがすごくいい感じでした
ということで楽しかったHHKB ユーザーミートアップ Vol.7も終了。次回も行きたいですね