モンスターやスクランブラーの親しみやすさと鋭さの両立はLツイン・クランクが源流【このバイクに注目】(このバイクに注目)
ドゥカティらしさの原点270°クランク!
ドゥカティは1960年代まで単気筒のスポーツバイク専門メーカーだった。
それが1970年代に大型スポーツへ参入するチャレンジで、2気筒化を一般的な単気筒を横へふたつ並べるのではなく、単気筒のクランクにもうひとつピストンとコンロッドを加えるVツインとしたことで、すべてのドラマがはじまったのだ。
このふたつの気筒が単気筒のクランクを共有するメリットは、ご覧のように単気筒エンジンと変わらないスリムなエンジン幅なため、リーンのように左右への動きに対し運動性がとてつもなく軽快なことにある。
エンジンの中でいちばん重いのがこのクランクシャフトで、グイグイと力強いトルクを生む一対のクランクウェブという錘(おもり)の部分の幅が狭いと、幅の広い4気筒のように横に広い錘を持たないので軽快で鋭い動きが可能というわけだ。
このLツインを搭載したモンスターは、跨がればエンジン幅の狭さで足がつきやすいのがすぐわかる。
走り出してステップへ載せる両足の位置も幅が狭い。
つまり400~500ccの単気筒バイクと同じフィーリングで走れるのだ。
それは街角の交差点を曲がるときから、いわゆるビッグバイクの重さもなく、身構えずに進路変更が可能になる。
さらに最新のモンスターは、この幅の狭いエンジンにアルミのステアリングヘッドという、フロントフォークを取り付けるフレーム部分を最小のサイズにして組むという、とてつもなく合理的で革新の車体構成となった。
これまでモンスターの強みだった軽快で鋭いハンドリングに、さらに扱いやすさを増したライダーに親しみやすい感性へと進化したのだ。
そして270°クランクの、不等間隔爆発からくるパルシブに路面を蹴るグリップの良いトラクションで、曲がりながらカーブを立ち上がる「快感」が楽しめるということになる。
スクランブラーの空冷Lツインはさらに源流の乗りやすさ!そしてさらにストリートリーガルな空冷Lツインを搭載したスクランブラーは、同じ単気筒と変わらないクランクによる軽快で扱いやすい乗り足が誰にでも味わえるベーシックなモデル。
よりアップライトで幅の広いハンドルと共に、まさに中型バイクの手応えで、瞬く間に馴染めてしまう身近な存在となる。
これは日本製バイクにはない感性なので、乗ってみるかでは想像がつかない大きな違いでもある。
そんなスクランブラーだけに、キャリアの浅いライダーだけでなく、ベテランで長いキャリアをビッグバイクで過ごしてきたライダーが、さすがにその大きさと重さが体力的に辛く感じるケースでも、エンジンの大型クラスらしい低回転域のレスポンスや力強さでスポイルされることなくサイズダウンを楽しめるだろう。
唯一無二の乗りやすさと醍醐味の大きなドゥカティLツイン。
知らないのはもったいない、そういえるほど大きな魅力だけに、ぜひ試乗されるよう強くお奨めしたい。