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●満を持して復活! 大阪人に愛される”飽きがくるほどアゲガデカイ”「けつねうどん」とは? 人気の秘密を探ってきた。

 たこ焼きやお好み焼と並び、大阪の粉もん文化を語るうえで外せない「うどん」。大阪はきつねうどんやかすうどん発祥の地とも言われていて、出汁を効かせた絶品うどんを楽しめるお店がたくさんあります。そんな中、大阪のうどん好きの間で注目を集めているのが、今年の夏にオープンした『天八うどん どんでん』。

 2023年4月にファンに惜しまれながら閉店した、「下品なほど出汁が濃い」「飽きがくるほどアゲガデカイ!」のキャッチコピーでお馴染みの『天六うどん』。実はそこで長年働いていた方が味を継承してオープンさせたのが『天八うどん どんでん』なのです。久しぶりに”あの味”が帰ってきたとあって、ファンの間では大いに盛り上がっています。

 お店があるのは大阪メトロ谷町線・都島駅から徒歩1分の場所。扉を開けると出汁の良い香りが漂い、食欲を掻き立てられます。こぢんまりした店内は、10名ほどが並べる立ち食いのカウンター席のみ。明るく清潔感があるので、一人でも入りやすい雰囲気です。

 うどんは「月見」や「天ぷら」「カレー」など、全部で11種類。一番安い「かけうどん」は250円という驚きの値段です。今回は、名物の「けつねうどん」を注文しました。

うどんを覆いつくす巨大な油揚げ! 名物「けつねうどん」

「けつねうどん」380円

「けつねうどん」がテーブルに置かれた瞬間、カツオの香りががつんと押し寄せてきて、香りだけで美味しいのがわかります。ちなみに「けつねうどん」とは、きつねうどんのこと。関西の一部の地域では昔、きつねを”けつね”と発音していたそうです。

 まずは下品なほど濃いといわれる出汁から一口。これはスゴイ……今まで味わったことのない濃さです。ここまで出汁を濃くしようと思うとえぐみが出そうなところですが、旨みだけが濃縮されています。

 ご主人にお話を伺うと、「削り節とこんぶをケチらず大量に使っています。削り節はカツオとサバ、イワシの3種類で、えぐみが出やすい血合いを取り除いたものを使っている」とのこと。素材にこだわっているからこそ、旨みが強い出汁が取れるんですね。

 続いては、15cmほどはありそうな巨大な油揚げをいただきましょう。

巨大な油揚げ!

 お出汁をたっぷり吸った油揚げは、お箸で持ち上げるのが大変なくらい重みがあります。1cmほどの厚みがあり、豪快にかぶりつくと甘い出汁がジュワッと染み出してきました。

 ご主人によると、油揚げは手作りのものを発注しているため厚さがバラバラで、厚揚げのようなものもあるのだとか。ここの「けつねうどん」を食べると、ほかでは物足りないと言っている常連さんも多いようです。

 麺は大阪のうどんの特徴であるやわらかい食感で、コシなんてものは一切ありません。うどんと濃厚な出汁、甘い油揚げが一体となって、ほっとする美味しさです。

とろとろ&ホロホロ! 「ミニ牛すじ丼」

「ミニ牛すじ丼」400円

 SNSやブログなどで口コミを見ていると「ミニ牛すじ丼」も人気とのことで注文してみました。「本当にこれはミニですか?」と聞きたくなるサイズ感の丼に、ご飯とテリテリの牛すじが盛られています。

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 ”牛すじもでかい”というキャッチコピーも作ってほしいぐらい、一つひとつが大きい! ゼラチン質の部分と赤身のホロホロとした部分のバランスが絶妙で、とろける旨さと赤身の濃厚な味わいが両方楽しめます。

 醤油と砂糖の甘辛いタレがご飯に染み込んでいて、思わずガツガツとかき込んでしまうほどのお味。甘辛いミニ牛すじ丼と出汁の効いたうどんは相性抜群で、お箸が止まりませんでした。

調査結果

『天八うどん どんでん』のけつねうどんは、濃厚な出汁と甘辛く煮込まれた巨大な油揚げを味わえる至高の一杯でした。大阪の出汁文化を感じられるうどんを、ぜひ一度味わってみてください。

(撮影・文◎安達春香)

●SHOP INFO

店名:天八うどん どんでん

住:大阪府大阪市都島区都島本通3丁目22-7
営:6:00~17:00
休:日曜