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10月末の「渋谷ハロウィン」は、新型コロナの5類移行後初めてとあって、混雑による死傷者の発生や、痴漢などの犯罪、路上飲酒による混乱などが懸念されている。

こうした中、渋谷区の長谷部健区長は10月5日、東京・丸の内の外国特派員協会の記者会見で、国内外に向けて「ハロウィン目的で渋谷に来ないで」と強く呼びかけた。

●「梨泰院のような死傷事故」もありえると危惧

昨年2022年は、3年ぶりの行動制限のないハロウィンとあって、多くの人が渋谷に集まった。

この年、韓国の梨泰院(イテウォン)には、多くの若者が集まって、群衆事故が発生し、154人の死者を出した。犠牲になった人の中には、10代と20代の日本人女性もいた。

長谷部区長によると、ハロウィンに渋谷を訪れる人の数は、コロナ前の2019年の約4万人がピーク、2022年はその3分の2だったという。

しかし、訪日外国人の増加の状況も踏まえると、「最悪のケース」では、今年6万人以上が訪れることが見込まれるとあって、何も対策を講じなければ「梨泰院のような死傷事故」もありえると危惧している。

そこで国内外に向けて、あえて「来ないで」とメッセージを発信することにした。

●「渋谷区の条例」を知らない人もいる

渋谷区は今年、次のような対策をとる。

・区の条例にもとづき、10月27日〜10月31日の夜から翌朝まで、渋谷区周辺エリアで路上禁酒を禁止する
・期間中、昨年より増員した300人程度の警備員と区職員150人程度が、路上飲酒の注意・パトロールを実施する
・駅のキオスクや周辺のコンビニなどに酒類販売の自粛を依頼する。例年、多くの協力を得ているという。

現在、渋谷に訪れる人の大半が外国人だという。

「渋谷はハロウィンイベントの会場ではありません。ハロウィン目的で来ることは考え直してください。海外の方は、渋谷区の条例を知らない方もいると思います。路上飲酒や禁止されていることを周知したいです」(区長)

暴行などの違法行為は逮捕されるが、区条例では路上飲酒に過料(罰金)などの罰則はない。この点、区長には「忸怩たる思い」もあるという。

「過料をとることは難しい。世界中で路上飲酒には罰金がとられ、それは警察の仕事になっている。条例では区の職員がそれを担うことになってしまう。お酒が入って危険な人を相手にするとなると、区の職員はスペシャリストではない。人材確保も難しく、通年でやろうとするとかなりのお金になる」

●いずれ「渋谷封鎖」? 駅の封鎖はありえるかも

さまざまな対策案が出される中、渋谷エリアの閉鎖を検討したこともあるという。

「街は区の権限で封鎖できない。営業の問題もあり、なかなか難しいと思っている。渋谷駅の封鎖も考えたが、住んでいる方や生活に使っている方もいる。しかし、どうしても駅封鎖を判断せざるをえないこともあるかもしれない。だが、そういうことにならないよう、ハロウィン目的で訪れないように呼びかけることが重要かと思っている」

「祝祭としての側面を否定しない。アイルランド大使にホームハロウィンの楽しみ方を教えてもらった。迷惑行為には注意を呼びかけたい」

インスタグラムやTikTokなどのSNSに渋谷のハロウィンの様子を投稿する目的で訪れる人もたくさんいるとみられる。渋谷スクランブルも撮影スポットの定番だ。

長谷部区長によると、実現にはハードルは高いものの、渋谷エリアのハロウィン期間中の通信を制限できないかという案も検討されたという。