財政難で「役所のエスカレーター」停止中なのに…米国訪問はビジネスクラスで旅費6倍、「時差ボケ対策」と明言した高岡市長に批判殺到
富山テレビの報道記者だった角田悠紀市長(写真・時事通信)
富山県の高岡市長が大きな批判を浴びている。米姉妹都市訪問費用が前回から6倍に跳ね上がったからだ。航空機の「ビジネスクラス」への格上げがおもな原因だ。
高岡市は、姉妹都市の米フォートウェーン市に定期的に訪問団を派遣。前回訪問した2012年は、当時の市長や市議のほか、市内各種団体の代表者ら15人が訪米。全員がエコノミークラスを利用し、1人あたりの旅費は31万円で総事業費は472万円だった。
今回は訪問者を角田悠紀市長ら6人に絞ったものの、2022年末、市職員と通訳を除く4人の航空機をビジネスクラスに格上げすることを決定。1人あたりの旅費は前回の6倍にあたる183万円、総事業費は1130万円に達した。6人は10月9〜15日の日程で現地を訪問する。
「高岡市は、2015年に延伸した北陸新幹線の新駅周辺整備の事業費などがかさみ、2017年に40億円の財源不足が判明。市は『財政健全化緊急プログラム』を掲げ、市民に親しまれてきた移動図書館やコミュニティーバスを廃止。市役所のエスカレーターは現在も止まったままです。
2021年の市長選で、角田氏は『市民目線の行財政改革』を公約に掲げて当選。初登庁では、市職員に『38歳の視点を伝え、圧倒的な市民目線で “それは本当に市民が納得しますか” ということを一つの軸として話したい』と述べ、厳しく審査する姿勢を示してきました」(政治担当記者)
高額旅費の問題は、9月21日の市議会でも取り上げられ、批判が高まっていた。10月3日、定例会見に臨んだ角田市長は、ビジネスクラス利用に関して、こう説明した。
「飛行時間や時差などを考慮してビジネスクラスにしたものであります。13時間のフライトで、体にどのような影響が出るか明確にわからないなかで、私としては最善の選択をさせていただいたと思っております」
公表されたスケジュールでは、角田市長らは10月9日に現地到着後、すぐに歓迎パーティーに出席。10〜12日の間にフォートウェーンの市役所や商工会議所の訪問、記念レセプションの出席、企業視察などをこなす予定だ。
ただ、到着初日は、歓迎パーティーがあるだけ。その点について、角田市長は、こう説明した。
「(初日に)交渉は予定していませんが、人に会ういちばん最初はいちばん大事。目をこすりながら会うわけにはいきません。気分が悪くてふらついているようでは絶対だめ。元気いっぱいの角田悠紀としてお会いするべき。難しい交渉などは最初は予定していません。
初日というよりは、時差ボケが1日で抜けない人もいる。時差ボケがかなり体にしんどいのは、私自身、経験があります。公務をまっとうするための判断」
航空機の座席を「ビジネスクラス」に格上げしたおもな理由を、角田市長が「時差ボケ」と述べたことに、SNSでは批判的な声が多くあがっている。
《ビジネスに上げたいなら自腹で行きなよ!そもそも、お年寄りも来る役所のエスカレーターを止めてるほどなのにあり得ない》
《自分の金じゃないから ビジネスクラスに乗りたいっていう至極単純な理由ですわな。差額を自費で出すなら構わんと思うが。時差ボケで仕事できないような軟弱者は海外など行くなって》
《ビジネスクラスでもエコノミークラスでも時差ボケの解消には差がないと思うが》
《高岡市長は公人で財政危機に瀕している市の市長。かつ、到着日には歓迎会しかない。ちょっとねえ》
7月下旬には、自民党女性局がフランス研修中に「エッフェル塔ボーズ」の写真をSNSに投稿し、「観光旅行のようだ」と批判を浴びた。その後も、香川県議団が予定するブラジル、パラグアイ、米国訪問が「あまりにも高額」と批判され、費用が減額されるなど、海外視察に対する視線は厳しくなっている。
角田市長は、米姉妹都市訪問について、「全力を尽くし結果を残して参りたい」と述べたが、市民を納得させるだけの結果を残すことができるだろうか。