米Microsoftは9月21日(現地時間)、米ニューヨークで特別イベントを開催し、「Windows 11バージョン23H2」に向けた「Windows 11」の次期アップデートを9月26日に開始することを発表した。対話AIによる新しいアシスタント機能「Windows Copilot」(プレビュー版)を含む150以上の新機能を追加する予定で、「Windows 11の最初のリリース以来、最も野心的なアップデートになる」とアピールした。



Windows Copilotはまだプレビュー版の段階だが、23H2アップデートの目玉機能といえる。新しいBingのチャット機能と同様の対話型のAIアシスタントがOS全体に統合され、Windows 11やアプリケーションを利用する様々シーンで柔軟なサポートを提供する。例えば、長文のメールを要約してもらったり、カレンダーのデータを使ってテキストメッセージの文章を作成してもらうなど、生産性を高めるパーソナルなアシスタントを得られる。これまでのようにEdgeを開くことなく、デスクトップから素早くAIチャットを利用でき、使わない時には邪魔にならない。イベントでユセフ・メディ(Yusuf Mehdi)氏はWindows Copilotを「あなたとテクノロジーの握手」と表現していた。





さらに、機械学習を活用した新機能の例として「Ink Anywhere」を紹介した。検索ボックス、Webフォーム、メールなど、全てのテキストフィールドで手書きによるテキスト入力が可能となる。よりインテリジェントに手書きを使えるようになり、23H2ではテキスト入力以外でもデジタルペンの活用範囲が広がるという。

手書きした数式が(左)、テキストで入力され、Copilotが解き方を説明(右)

Microsoftが提供する様々なWindows用アプリでも、生成AIや機械学習技術を利用した新たな機能や体験の提供を予定している。

新しい「Outlook for Windows」では、インテリジェントなスペルチェックや文法チェックが明確で簡潔なメールの作成をサポート。メールとカレンダーが連係し、OneDriveや他のMicrosoft 365アプリとシームレスに接続して、ユーザーの生活や仕事の効率化を助ける。「ペイント」では背景除去やレイヤーが利用できるようになり、さらにOpenAIの画像生成AI「DALL-E」とBingを利用した画像作成機能「Cocreator」のプレビュー版が提供される。「フォト」アプリは、被写体を自動検出して目立たせる「背景ぼかし」など編集機能が向上し、OneDrive内からより早く目的の写真を見つけられるようになる。自動合成機能を備えた「Clipchamp」が画像や映像に基づいたシーンの提案、編集、ナレーションを行い、それを利用することで家族や友人、またはソーシャルメディアで共有するビデオを素早く作成・編集できる。



イベントでは紹介されなかったが、Windows 11 Insiderプログラムでは次期アップデートに備えたBetaチャネルで、ファイルエクスプローラーの刷新、タスクバーの更新、圧縮フォーマットのネイティブ・サポートの拡大、新しいボリュームミキサー、ダイナミック・ライティング、新しいWindowsバックアップなどがテストされている。

新しいエクスプローラーは、ファイル/フォルダ管理の起点となる「ホーム」を備え、WinUIに基づいた体験でクイックアクセスやお気に入り、最近使ったファイルなどが改良され、これらの変更によってエクスプローラーがWindows 11全体のデザインと体験によりよく溶け込む。



タスクバーには、Windows 11登場時に導入されなかったタスクバーボタンの結合解除と、ラベルを表示するオプションが追加される。これらは従来のWindowsユーザーから復活を強く要望されていた機能だった。

圧縮フォーマットのネイティブ・サポートの拡大はlibarchiveオープンソースプロジェクトを用いて実現しており、プレビュー版ではtar、7-zip、rar、gzなどの解凍をサポートしている。

新しいボリュームミキサーは、タスクバーから素早くアクセスし、オーディオ出力を切り替えたり、個々のアプリの音量をコントロールできる。ダイナミック・ライティングはオープンなHID LampArray標準に基づいて、RGBライトなど照明デバイスの制御を実現する。

新しいWindowsバックアップは、重要なファイル、設定、アプリ、認証情報などをクラウドで安全に管理し、新しいデバイスに自分の環境を復元できるようにする。