Microsoftは9月18日(米国時間)、「Windows Subsystem for Linux September 2023 update - Windows Command Line」において、「Windows Subsystem for Linux version 2.0.0」のプレビュー版に追加された新機能について伝えた。Microsoftはこのバージョンに多くの新機能を追加しており、WSLの大幅な機能強化を進めている。WSLはすでに基本的な機能はできており、今回の機能追加はよりLinuxの機能とWindowsの機能を統合し利便性を引き上げるものとなっている。

Windows Subsystem for Linux September 2023 update - Windows Command Line

今回のプレビュー版において、注目すべき新機能や変更は次のとおり。

自動メモリリクレイム機能(autoMemoryReclaim) - これまでLinuxカーネルがI/Oキャッシュなどのために確保したメモリは仮想マシンが終了するまで開放されなかったが、この機能を有効にするとカーネルが開放したI/Oキャッシュなどのメモリを仮想マシンも開放するようになった。これによりWSLをしばらく使わない時間があると自動的にメモリが開放され、Windows側で利用できるメモリ量が増えることになり、メモリのより効率的な利用が可能になる

仮想ディスクにおけるスパース対応(sparseVhd) - WSL仮想ディスクをスパース処理して縮小できるように対応

ミラーモードネットワーク機能(networkingMode) - LinuxとWindowsのネットワークをこれまでよりも同等に扱えるようにする新しいネットワークモードを追加。WSLのLinuxからWindowsで動作するサーバにローカルで動作しているサーバのようにアクセスできるようになる。WSL LinuxとWindowsのよりシームレスな連携が可能になる

DNSトンネリング機能(dnsTunneling) - WSLがDNS要求を解決する方法を変更してよりネットワークの互換性向上を実現する

ファイアウォール機能(firewall) - WindowsのファイアウォールルールをWSLに適用し、WSL仮想マシンの高度なファイアウォール制御を許可する

自動プロキシ機能(autoProxy) - WSLがWindowsからのプロキシ情報を自動的に使ってネットワークの互換性を向上させる機能

今回導入された機能はまだ実験的な位置づけにあり、Windows 11 Insiderなどの開発版でのみ動作したり、最新のWindows 11でのみ動作したりといった制限がある。

これら機能を使うことでWSLで動作するLinuxのリソース利用がより効率的になるほか、LinuxとWindowsの連携がこれまで以上にシームレスになる。開発者はWSLでLinuxやそのコンテナ、またはサーバなどを動作させ、Windowsから開発を行うケースが増えている。リソースの利用効率の改善はこうした開発者にとって利益となる可能性があり、MicrosoftはWSLの改善に積極的に取り組んでいる。