Intelが第14世代Coreプロセッサ「Meteor Lake」の概要を発表、第5世代Xeonから288個のEコア搭載プロセッサ「Sierra Forest」も登場
Intelが次世代の電力効率の高い第14世代Coreプロセッサとなる「Meteor Lake」の概要や、第5世代Xeonプロセッサとなる「Granite Rapids」や「Sierra Forest」を発表しました。
Intel Innovation 2023: Technologies to Bring AI Everywhere
https://www.intel.com/content/www/us/en/newsroom/news/2023-intel-innovation-ai-everywhere.html
Intel Unveils Meteor Lake Architecture: Intel 4 Heralds the Disaggregated Future of Mobile CPUs
https://www.anandtech.com/show/20046/intel-unveils-meteor-lake-architecture-intel-4-heralds-the-disaggregated-future-of-mobile-cpus
Intel's Meteor Lake is the biggest CPU shift in 40 years | Windows Central
https://www.windowscentral.com/hardware/laptops/intel-next-gen-meteor-lake-cpus-announcement
Intel will launch Meteor Lake on December 14th - this is Intel’s Core Ultra - The Verge
https://www.theverge.com/2023/9/19/23872888/intel-meteor-lake-core-ultra-date-chip-specs-details
Intelは第12世代CoreプロセッサであるAlder Lakeおよび第13世代CoreプロセッサのRaptor Lakeに続き、パフォーマンス重視の「Performance-cores(Pコア)」と電力効率を重視した「Efficient-cores(Eコア)」という2種類のコアが搭載された第14世代Coreプロセッサの「Meteor Lake」を発表しました。Meteor Lakeは3D積層技術のFoverosと、Intelの新しいプロセスノードとして2022年6月に発表されたIntel 4を採用した最初のプロセッサになるとのこと。
Intelのデザインエンジニアリンググループヴァイスプレジデント兼SoCデザイン担当ゼネラルマネージャーであるティム・ウィルソン氏は、Meteor Lakeについて「過去40年間で最大のアーキテクチャの変化」「(Meteor Lakeは)PCのイノベーションを基盤を築く」と語りました。
Meteor LakeはIntelがディスアグリゲーションと呼ぶ、コアコンポーネントをSoC上の個別タイルに分割して構築するような設計を採用しています。Meteor Lakeには以下の4つのタイルがあります。
コンピューティングタイル:Intel 4に基づいて構築されたEコアとPコアを持つ新しいマイクロアーキテクチャ
SoCタイル:低電力アイランドEコア、NPU、Wi-Fi 6E/7、ネイティブHDMI 2.1、8K HDR AV1サポート
グラフィックタイル:統合されたIntel Arcアーキテクチャ
IOタイル:Thunderbolt 4およびPCIe Gen5(おそらくThunderbolt 5にも対応)
SoCタイルは使用されていない時には特定のパーツをオフにすることが可能です。例えば、動画再生のサポートを含むメディアIPは、これまで統合GPU上にありました。しかし、Intelプロセッサは動画を再生するだけではそれほど多くの電力を必要としないため、代わりにメディアIPはメインSoCタイルに移動されています。動画のストリーミング再生やローカル動画ファイルを再生を行う場合、必要なコンポーネントはすべてSoCタイル上に存在するため、グラフィックタイルを動作させる必要がなくなり電力消費を大幅に削減することが可能です。
Alder LakeとRaptor Lakeは、EコアとPコアにより構成されているのが特徴でした。これらのコアはMeteor Lakeでも改善されていますが、これらは新しいコンピューティングタイルに移動しています。一方で、SoCタイルに新しく追加される低電力アイランドEコアは、コンピューティングタイルのEコアよりもさらに消費電力が少なくなっており、Windowsのバッググラウンドで動作するシステムに対してコンピューティング能力を提供する3つ目のコアとなります。アップデートされたWindows 11のThread Directorの最適化と組み合わせることで、OSがどのコアをどのタスクに割り当てるかを処理可能となります。具体的には、PCがアイドル状態でコアタスクが実行されていない場合、低電力アイランドEコアがタスクを引き継ぎ、コンピューティングタイル上のPコアとEコアは動作しなくなるそうです。
さらに、Meteor Lakeには統合NPU(Neural Processing Unit:ニューラルプロセッシングユニット)を搭載しています。NPUはウェブカメラの背景ぼかし、マイクのオンザフライノイズ除去、ローカライズされた大規模言語モデル(LLM)といったAIタスクのオフロードなどを担当。これにより、PコアとEコアのパフォーマンスを低下させることなく、日常的なWindowsタスクを実行することが可能となります。また、NPUは消費電力を大幅に削減し、Meteor Lake全体の効率性を高めることに寄与することになるとのこと。Meteor LakeはすべてにNPUが搭載されることとなるため、「AI機能を搭載したアプリの普及促進に役立つ可能性がある」とテクノロジーメディアのWindows Centralは言及しています。
さらに、グラフィックタイルにはIntelの統合GPUであるIntel Arcを採用しています。Intel ArcはAlder LakeとRaptor Lakeの統合GPUであるIris Xeの最大2倍のパフォーマンスを実現可能です。Windows Centralによると、Intelが2023年8月にメディア向けに行ったデモンストレーションでは、Intel Arcを使ってフルHD(1080p)・60fpsでForzaのゲームプレイを安定して実行できることに成功していたそうで、「統合GPUでこれまで以上に高いパフォーマンスが期待できる」と述べています。
Meteor Lakeは新しいFoverosを採用しており、高密度かつ高帯域幅かつ低電力の相互接続を使用することで、複数のプロセスノードにまたがって製造される個々のタイルにより構成されます。グラフィック・SoC・コンピューティングという異なるタイルが別々に構築されているため、社外から調達したウエハーをIntelの工場に持ち込んでひとつのプロセッサにまとめることが可能です。
IntelはMeteor Lakeのリファレンスデザインも公開しており、これにはデュアルアウトレット高性能静音ファンを備えた新しいデュアル・チャンネル・フロー・ハイパバリクが含まれます。OEMメーカーがこれを採用すれば、Meteor Lakeを搭載したPCは非常に静音で動作することとなり、ファンの音を最大にした場合であっても5フィート(約1.5メートル)離れた場所から誰かがささやいている音(30dB)程度しか発さなくなるとIntelは主張しています。
なお、今回の発表はあくまでMeteor Lakeの概要に関するものであり、より具体的なプロセッサの種類や販売価格などについては明らかにされていません。
さらに、Intelはサーバーやワークステーション向けのプロセッサファミリーであるXeonの第5世代モデル最初のプロセッサ「Emerald Rapids」が、2023年12月14日に発売されると発表しました。
Intel Unveils 288 Core Sierra Forest Xeon CPU, 5th Gen Emerald Rapids Launching In December
https://wccftech.com/intel-unveils-288-core-sierra-forest-xeon-cpu-5th-gen-emerald-rapids-launching-december/
Intel Announces 288-Core Sierra Forest CPU, 5th-Gen Xeon Arrives December 14 | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/intel-announces-288-core-processor-5th-gen-xeon-arrives-december-14
Supermicro JumpStart Offers Easy Access to 5th Gen Intel Xeon Processors - StorageReview.com
https://www.storagereview.com/news/supermicro-jumpstart-offers-easy-access-to-5th-gen-intel-xeon-processors
他にも、Xeonファミリーから288個のEコアを搭載した「Sierra Forest」が登場することも発表されています。Sierra ForestはIntel 3プロセスで製造されたCPUチップレットを採用しており、Intel 7ノードに基づくI/Oチップレットと組み合わせることで、より高いコアに拡張できる柔軟なアーキテクチャを採用しています。
Sierra Forestは、コアを詰め込んだ最大3つのコンピューティングチップレットに対応できるため、288個のEコアも「驚くべきことではない」とテクノロジーメディアのTom's Hardwareは言及しています。なお、Intelはひとつのチップレットに最大144個のEコアを詰め込むことが可能であるため、最大432個のEコアを搭載したプロセッサが登場する可能性があるというわけです。
さらに、Xeonファミリーとして登場予定の「Granite Rapids」も発表されました。Granite Rapidsは業界をリードする優れたパフォーマンスのPコアを搭載しており、他のCPUと比べて優れたAIパフォーマンスを提供し、AIワークロードに対して第4世代Xeonと比べてパフォーマンスが2〜3倍も向上するとのことです。