車載用半導体不足の中、中国政府の国産化促進政策を受けて大型資金調達に成功した(積塔半導体のシリコンウェハー検査プロセス、同社ウェブサイトより)

車載用半導体などを製造する中国の積塔半導体(GTA)がこのほど、複数の国有ファンドや地方政府系ファンド、半導体関連企業などから総額135億元(約2728億円)に上る投融資を受けたことがわかった。積塔半導体にとって約2年ぶりの大型資金調達だ。

インターネットと接続しAI(人工知能)を利用する自動車のスマート化により車載用半導体の需要が急増しており、世界的な供給不足、特に中国製の代替チップの不足が続くなか、車載用半導体製造の分野に資金が集まりやすくなっている。

投融資、国有ファンドが主導

積塔半導体の既存株主によると、今回の投融資は国有ファンドが主導した。上海のベンチャーキャピタル、浦東創業投資を筆頭に、大手国有企業である中国電子信息産業集団(CEC)傘下の半導体ファブレス大手、華大半導体、国有ファンドの中電智慧基金など20余りの投資家が資金を出した。

積塔半導体は2017年に創業、現在の従業員数は3100人を超える。大株主は華大半導体で、中国でもっとも早く自動車用半導体とIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)の製造に参入。上海市内の2カ所に工場を構え、生産能力は建設中ラインを合わせて月産28万枚(8インチウェハー換算)に達する。

積塔半導体の前回の大型資金調達は2021年11月。戦略的投融資として80億元(約1617億円)を調達した。


上海の浦東自由貿易区内にある積塔半導体の工場(同社ウェブサイトより)

この時も筆頭投資家を華大半導体が務め、その他に中電智慧基金、国改双百基金、中国国有企業構造調整基金などの国有ファンド、上海汽車集団傘下の投資会社である尚頎資本、スマホ大手の小米(シャオミ)系ファンドの小米長江産業基金などが融資した。

EV高速充電向けなどで需要


本記事は「財新」の提供記事です

当時、積塔半導体は自動車関連電子部品の生産能力を高める計画を進めており、例えば650〜3300ボルトの高電圧に耐えるSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の開発を加速していた。こうした部品の採用により、800ボルト以上の高電圧でEV(電気自動車)に急速充電することが可能になる。

中国では半導体メーカーによる資金調達が引き続き活発だ。広東省の半導体製造会社の広州粤芯半導体技術(キャンセミ・テクノロジー)は事業拡大のため、2022年6月と11月に資金調達を行い、それぞれ45億元(約909億円)と数億元の獲得に成功した。

(財新記者:張而弛、屈運栩)
※原文の配信は9月6日

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