「座席ぐらい蹴飛ばしてほしい」山田洋次監督 映画鑑賞マナーに持論もネット猛反発「余計なこと言わないで」「冗談じゃない」

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9月13日、都内で行われた映画『こんにちは、母さん』の公開中舞台あいさつに登壇した山田洋次監督(92)。

本作は『母べえ』(’08年)、『母と暮らせば』(’15年)に続く「母三部作」の集大成で、山田監督にとって記念すべき90本目の作品となった。主演の吉永小百合(78)や大泉洋(50)、永野芽郁(23)ら出演者も舞台あいさつに駆け付け、この日誕生日を迎えた山田監督を祝福した。

だがいっぽうで、山田監督が語った映画鑑賞マナーに関する“ある持論”が波紋を呼んでいる。

冒頭、山田監督はコロナ禍によって映画館へ足を運ぶ人が減ってしまったことに言及。その上で、「一度映画館に行く習慣を失った人たちが、この映画をきっかけにまた『映画を観るのはやっぱり楽しいな』という風に思い直してほしいという願いを抱きながら、この映画を作りました」とあいさつした。

そして波紋を呼んでいるのは、トークショーでのコメント。司会者から「(観客は)映画館に1人で行っているんだけども、みんなで笑ってみんなで一緒に観ているような気がする。これ、素晴らしい映画体験だと思うんですけども」と向けられると、次のように語ったのだった。

「いま映画館に行くと、“大声で笑ったりしちゃいけない”って(スクリーン)に出てきたりしますよね。やたらに“ものを食べるな”とか、“前のシートを蹴飛ばすな”とかね。僕は本当に、あれがあまり好きじゃない。お金払って楽しみに来てるのに、『ああしちゃいけない、こうしちゃいけない』となぜ言われなきゃいけないんだっていう。

僕は大いに笑ってほしいと思う。座席ぐらい蹴飛ばしてほしいと思う。ビール飲んだり、タバコ吸ったりしたっていいじゃないかと思う。そういう風に映画を楽しんでほしい、そんな思いでこの映画を作りました。だから、みなさんがワイワイ笑って映画を観てくださるのが、本当に僕にとっては嬉しいことです」

山田監督が熱く語った持論に、ネット上では《分かる》《監督に賛成!!》と理解を示す声が。

だがいっぽうで、大手シネコンをはじめとした多くの映画館では「上映中のおしゃべり」「喫煙」「前の座席を蹴る」「他店からの飲食物の持ち込み」といった行為はマナー違反として控えるよう観客に呼びかけている。最近ではスマホが普及したことによって、スマホの光や音が迷惑になることも問題視されている。

また、映画鑑賞料金も年々値上げの傾向にあり、今年6月1日にはシネコン大手TOHOシネマズが全国71拠点で一般料金を1,900円から2,000円に改定。シニアやレイトショーなどの一部券種も同様に、100円の値上げがなされた。

そうした背景もあり、“鑑賞料金を支払っているのだからマナーは守るべき”と、山田監督の意見に反対する声が相次いでいる。

《勘弁してください。冗談じゃない》
《時代遅れ? いやいや、昭和だってんなの迷惑でしかないよ》
《お金払って観るからこそ、マナーは守ってほしい!監督余計なこと言わないで。。》
《映画で大いに笑うのはいいですが、やはりマナーを守らないと楽しさが半減してしまいます。 無料の娯楽施設ならまだしも決して安くない料金を払って観ているので、携帯の音や光、食べる音、後ろを蹴られるのはやはり不快です。 今はいちいち注意喚起しないと気付かない人がいるので、初めに言ってもらえるのは有り難いと思います》

「お金を払っている」の価値観は山田監督と観客側では、乖離があったようだ。