築40年のマンション、内装は綺麗だけど耐震性は大丈夫?購入前のチェックポイント
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▶前回:築25年の物件を購入したら、あと何年住める?マンションの寿命についてお答えします
宅地建物取引士の資格を持ち、「住宅購入エージェント」としてYouTubeで発信している水智氏の動画を紹介する。
水智 崚(みずちりょう)
不動産業界が大嫌いな住宅購入エージェント
「後悔しない住宅購入」の方法を追求&発信
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YouTube:Tokyo Residential Academy
Instagram:@tra_miz
Twitter:@tra_miz
築古のマンションって、地震に弱いって本当?新耐震と旧耐震について
前回は、「マンションの寿命」について説明したが、同じく築古の物件を選ぶときに重要となる「耐震性能」について今回は解説する。
新耐震と旧耐震基準について簡単に説明すると、1981年6月1日以降に建築確認を行ったマンションは、新耐震基準が適用されていて、それ以前に建築確認を行っている場合、旧耐震基準が適用されているマンションとなる。
ここで注意が必要なのが、「建築確認をした日」が起算日であること。
つまり、「建築前に検査機関にこんな建物を建てますよ、と申請した日」が基準日となる。
物件探しをするときに、消費者が目にするのは基本的に竣工年月日。これは、建物が完成した日のことを指す。
マンションの場合、申請してから完成するまでに約1年以上、大規模なものだと2年近くかかることもある。
したがって1982〜1983年あたりに竣工された物件の場合は、旧耐震か新耐震どちらの基準が適用されているのか、竣工年月日から判断しづらい。
このあたりの年代の物件を検討する場合は、建築確認が行われた日を調べると良い。
調べるためには、建築確認申請の年月日を確認できる「確認済証」や「検査済証」を見る必要がある。
さらに古い基準では、1971年の法改正前の基準で建てられたものを、旧々耐震基準の物件という。
勘違いする人が多いのが、2000年の法改正だ。
2000年の法改正は、主に木造戸建てに関してのことなので、マンションを検討している人はあまり気にしなくて良い。
旧耐震基準とは、「震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能な構造」で、それ以上の震度に対しての強度基準はない。
新耐震基準とは、「震度6強〜7程度の揺れでも、建物が倒壊・崩壊しないこと」となっている。
とはいっても、阪神大震災や東日本大震災のときに旧耐震基準の建物が壊滅状態だったのかというと、そういうわけではない。
地震に対する建物の強さは、耐震基準だけで決まるわけではないからだ。
耐震基準以外のチェックポイント
続いて、耐震基準以外のチェックポイントについて説明する。
注目すべきポイントは、地盤と建物の形状だ。
地盤については、話すと長くなるが、簡単に説明する。
固い地盤であれば地震に強くて揺れにくい。逆に柔らかい地盤であれば、地震に対して弱くて揺れやすい。
柔らかい地盤に建てられた新耐震基準の物件より、硬い地盤の上に建てられた旧耐震基準の物件のほうが壊れにくいことはある。
建物の形状は、シンプルな四角形が地震に強い。上から見るとL字型、コの字型の平面形状が不整形の建物や、立面形状が不整形の建物は、地震に弱い可能性がある。
立面形状が不整形な建物というのは、ルーフバルコニーが各階にあって段々になっている建物や、横からみると高いところと低いところがあり凹凸になっているような建物のことをいう。
こういう建物は、地震が起きたときに、集中的に負荷がかかってしまう箇所があるので地震に弱い傾向にある。
また、低層のどっしりしたマンションに比べて、縦に細長い建物も地震のときに倒れやすいと言われている。
1番注意が必要なのは、1階部分がピロティ構造になっている物件だ。
ピロティとは、1階部分が柱だけで構成されていて、壁があまりない構造をしているものをいう。特に敷地内に駐車スペースをとる余裕がない場合に1階部分をピロティにして駐車場を確保しているような物件だ。
ピロティ構造の物件は、新耐震基準の物件でも大震災のときに被害が出たという報告もあるので、注意が必要だ。
旧耐震基準のマンションでも地盤が固い場所、きれいな四角形、低層から中層のマンション、ピロティ構造ではない場合は、安全は確保できる可能性がある。
とはいえ、旧耐震基準の物件を選ぶときは、調べておきたいことがある。それが、耐震診断の有無と耐震補強工事の有無だ。
耐震診断と耐震補強工事について
耐震診断は、新耐震基準の物件では、行われていない。建築確認が通っているということは、基準を満たしていることになるからだ。
したがって、耐震診断は、旧耐震基準の物件で実施するものだが、すべての旧耐震基準のマンションで行われているわけではない。
耐震診断を行った場合は、管理組合や管理会社が結果を保管しているので、内容を確認するとよい。
だが、建築や不動産に詳しくない人が、耐震診断の結果をみて何がどうなのかわからないのは、当たり前だ。
こんなときは、不動産仲介業者の担当者の力量が大事になってくる。しかし、耐震診断の結果を見て、的確な説明ができる担当者は限られているのが現状だ。
さきほどの、すべての旧耐震基準のマンションで耐震診断が行われているわけではないという話に戻る。
少し古いデータにはなるが、2013年の段階で東京都内で耐震診断を行っている旧耐震のマンションは、わずか約17%。
少ない理由は、大きく2つある。
1つは、耐震診断費用が高いから。
マンションの規模にもよるが、数百万円するケースもある。ただ、修繕積立金をしっかり積み立てていれば、そこまで大きな金額とはいえない場合が多い。
もう1つの理由は、耐震補強工事が必要だとわかった場合に、その費用が捻出できないからだ。
つまり耐震診断を行い、大掛かりな耐震補強工事が必要だとわかった場合、その工事費用を捻出することができない可能性もある。
その場合は、危険な状態と知りつつ放置することになるし、耐震基準を満たしていないと物件の資産価値の下落に直結することにもなる。そのため、耐震診断自体を行わないことにしているのだ。
ただ、例外もあり、マンションによっては、耐震診断が義務付けられている物件もある。
東京でマンションを探している人は、それなりの割合で当てはまるので、知っておいて損はない。
それは、特定緊急輸送道路に接する旧耐震基準のマンションだ。
「特定緊急輸送道路」とは幹線道路(高速自動車国道や一般国道、都道府県道など)のことで、何車線もある道路がそれに当たることが多い(例えば都内なら、桜田通り、目黒通り、第一京浜など)。
有事の際に建物が崩壊すると、緊急車両が往来できなくなるので、特定緊急輸送道路に面していて、対象となる建築物と認定されたマンションは、耐震診断が義務付けられている。
ただ、残念なのは、耐震診断が行われていても、補強工事までは義務付けられていないので、そのままの放置されているケースもあるということだ。
あとは、1981年以前に建てられたマンションも新耐震基準と同等か、それ以上の強度で建てられているマンションもある。
見た目にはわからないが、耐震診断を行った結果、補強工事を行わなくてもいいと診断されているマンションだ。
旧耐震=危険なマンションと判断するのではなく、これまでの話を総合考慮して物件を選択するとよい。
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これまで6回にわたり、住宅購入エージェント・水智氏の動画の内容を紹介してきました。不動産に関する知識が深まり、賢い消費者に一歩近づいたのではないでしょうか。
次回からは、インターナショナルスクールについての動画を紹介します。
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インターナショナルスクールって、そもそもどんなところ?公立や私立の学校と何が違うの?
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