2人前の「漁師小屋コース」3000円(価格は全て税込) | 食楽web

●根県で人気のお店を調査。せっかくグルメにも登場した、島根県で人気のお店を調査。島根半島の古き良き時代の漁師たちの食文化「鯖しゃぶ」を食べに行ってきた

 思う存分新鮮な魚介を楽しみたい! そんな極上の魚介を求め、やってきたのは島根県の松江。山陰沖は旬ごとに極上素材が豊富に採れる豊かな漁場で、1年を通して美味しい魚介類が楽しめます。県の魚はトビウオで、美味しい出汁や名産品の練り物の「あご野焼き」、他にも松葉ガニ、ノドグロ、宍道湖のしじみ、珍しいところではシイラなど、なかなか都会では味わえない食材に出会えます。

 そんな中、訪れたのは大人の居酒屋、海鮮炉端焼きの漁師小屋『麦穂』です。ここの名物は「漁師の鯖しゃぶ」で、来客の9割がオーダーするという看板メニュー。人気グルメ番組の『バナナマンのせっかくグルメ』(2023年2月12日)で放送、「こんな食べ方あるのか!」と日村さんも驚いた驚愕のメニューです。さらに「漁師の鯖しゃぶ」を含むコース料理が、コスパ最強とのウワサが多数あり、早速調査に出かけました。

ちょっとレトロで民芸調の落ち着いた店内

 漁師小屋『麦穂』は、JR・松江駅より徒歩6分、歴史あるお寺が並ぶ寺町にあります。島根の新鮮な魚介が食べられる大人の居酒屋で、保護者同伴のもと中学生以上から利用できます。居酒屋ひと筋三十年、自称「居酒屋人」のご主人が、大人のための酒席に特化した居酒屋を作りたいと9年前にオープン。上質な島根の魚介を生かし丁寧な仕事を施し、かつシンプルな調理方法でいただく料理が評判です。隣の店舗をつなげて店を拡大しましたが、それでもなかなか予約の取れない人気店となりました。

漁師たち独特の食文化「漁師の鯖しゃぶ」をメニュー化

ニコニコ笑顔が素敵な店主の麦穂さん

 こちらの名物「漁師の鯖しゃぶ」は、島根半島の漁師の伝統的な料理で、冬場のしけの日(漁に出られない時)に、漁師小屋に集まり食べていたもの。醤油、酒のスープに玉ねぎを入れ、皮付きのままの鯖を薄切りで食していたとのこと。島根沖のうまい鯖、そしてうまい醤油と酒から生まれた、この地域ならではの鯖の贅沢な食べ方です。そんな漁師の伝統料理を広く知ってもらいたいと、店主の麦穂さんは試行錯誤を重ね、この食文化を飲食店として初めてメニューとして完成させました。

山陰沖で採れる鯖(食楽web)

 年間を通して鮮度の高い鯖を仕入れるのはとても大変。「日々の天候と葛藤しながらその日のベストな仕入れを心がけています。旬は秋から冬にかけて。山陰沖の鯖はブランド化はされていないので知名度が低いが、程よい脂を抱えコクと旨みがバランスよく、とっても美味しい。」と話す麦穂さん。旬を外れる春夏は、夏に美味しい「胡麻鯖」を一時使用するなど、年間を通してその時ベストな鯖を出せるよう苦心しているのだとか。

豪華絢爛! 7品で3000円のコースがスゴい

単品の「漁師の鯖しゃぶ」一人前1408円(税込)

 今回オーダーしたのは「漁師小屋Aコース」3000円(税込)。名物「漁師の鯖しゃぶ」を含む、全7品のコース料理です。運ばれてきた鯖しゃぶは、薄切りの鯖はほんのり赤みを帯びた白身で、とってもキレイです。

鍋の中には、真っ黒なスープが!

鍋には真っ黒なスープと玉ねぎ

 鍋には真っ黒なスープがスタンバイ。こんな鍋は見たことないと、衝撃が走ります。このスープは、島根県産の甘みのある醤油と酒のみで、他の調味料は一切使用していないとのこと。どんな味なのかとっても楽しみです。

皮付きの鯖をしゃぶしゃぶ

 スープが沸騰したら鯖を入れ、待つこと約15秒。皮に火が通れば食べ頃です。いよいよ実食! つけだれはなく、そのままいただきます。長さ7、8cmの大きな鯖は、肉厚でボリューム感たっぷり。これは美味い! 肉厚で鯖そのものの美味しさと、甘塩っぱいスープが絶妙にマッチして、とろけるような食感に感動です。

〆のうどんスキ

 こんな鯖の食べ方があったのかと感動モノの鯖しゃぶ。醤油と酒だけでこんなに旨いかと驚きです。付け合わせのネギや鍋に入る玉ねぎと一緒に食べると、さらに美味しさアップ。これは鮮度の高い鯖と、島根の醤油と酒の旨さの勝利です。〆は、このスープを醤油のようにかけていただく「玉子かけごはん」か、白だしを加えて完成する「うどんスキ」の2種類から選べます。

「漁師小屋Aコース」の刺身盛り合わせ

「漁師の鯖しゃぶ」は単品でオーダーも可能ですが、コスパ最強との呼び声高いコース料理がおすすめ。コースは3000円(税込)から1000円毎に6000円までの4つ。今回はいちばん安い「漁師小屋Aコース」(3000円)をオーダー。まず運ばれてくるのは、刺身盛り合わせ。アジやヒラマサなどその日の仕入れによって、内容が変わります。

突き出しや小鉢も充実

 本日の突き出しにはサザエの壺焼き、茶碗蒸し、前菜手作り鶏ハムの野菜添えなどが並びます。他にも手作り若鶏の唐揚げが揚げたてで提供。「漁師の鯖しゃぶ」を含む、全7種類の料理がずらりと並ぶ充実の内容に大満足です。

人気No.2の「鯖の塩たたき(税込1078円)」

 他にもぜひ食べてほしいのは、「漁師の鯖しゃぶ」に次ぐ看板メニューの「鯖の塩たたき」。高知名物カツオのたたきをヒントに、鯖で試行錯誤の末、完成したメニューで、炭火の炉で皮目を軽くあぶり、レアで提供します。レモンと塩、ワサビでさっぱりとした旨い肴は、日本酒によく合います。

島根県産の地酒が揃う

 大人の居酒屋と謳うだけあって、酒も充実。ビールやサワーなどはもちろん、おすすめは日本酒です。ここで味わえる日本酒は全て島根県産で「扶桑鶴」や「やまたのおろち」など約10種類の日本酒が、グラスの一杯から楽しめます。

まとめ

 名物の元祖「漁師の鯖しゃぶ」は、いちど食べる価値はあり。一度食べたらやみつきの絶品鍋に加えて、刺身盛りも付くコース料理は、充実の内容で満足度高し。山陰沖の極上な魚介類と、島根の地酒が楽しめる大人の居酒屋は、地元でとれる新鮮魚介を手頃な価格で楽しめる、良心的なお店でした。

●SHOP INFO

店名:漁師小屋「麦穂」

住:島根県松江市寺町188
TEL:0852-67-2477
営:18:00~22:00(L.O. 21:15)
休:不定休

●著者プロフィール

矢巻美穂(やまき・みほ)
国内外の旅行雑誌を中心に活動するカメラマンで、撮影から執筆・編集作業まで行う。単著としてネパール、台湾、ウズベキスタン、韓国、ウラジオストクなどのフォトガイドブックを執筆。近著は『東京で台湾さんぽ』(イカロス出版)。また、YouTubeで「旅ちゃんねる MinMin Tour」をオープン。これまで取材に行って、本当に美味しかった店や行ってよかった人気スポットを紹介。