全館空調システムとは、家全体の温度を均一にできるシステム。快適な生活ができて、ヒートショックの防止にもなると注目が集まっています。ただ、「全館」とはいえ、必ずしも家全体に空調が行きわたるわけでないようです。3年前にハウスメーカーで家を建てた日刊住まいライターは、間取りの関係で、書斎には空調が届かず後悔することに。

全館空調システムでも空調が効かない場所があった!

わが家は子ども2人(4歳と1歳)を含む4人家族。3年前に大手ハウスメーカーで総2階の家を建てました。全館空調システムは1階と2階それぞれに採用。各階で独立して稼働しています。

空調の吹き出し口は、1階のLDK、洗面所、洗濯物の干し場の3か所と、2階の主寝室、子ども部屋2部屋にあります。ですから、これらの部屋には空調が行き届きます。

一方で、吹き出し口のない各階のトイレ、階段、2階のウォークインクローゼット、書斎には空調が届きません。

上の図のように全館空調システムは、一定方向に空調が流れます。書斎は、主寝室を経由する間取りで、空調の流れからはずれたところに位置しているため、空調は届きません。

 

夏場の書斎は暑い!サーキュレーターも使えない

全館空調の行き届かないトイレや階段なども暑いですが、その場にいる時間が短く、集中して物事に取り組むようなこともないため、大きな不満はありません。ただ、書斎ではパソコン作業、資格の勉強、読書などを行うので、夏は暑さでなかなか集中できずにいます。

これまでは、扇風機を使ったり、サーキュレーターで主寝室に流れる冷房を書斎の方向へ無理やり流したり。後者の方法は多少の改善にはなりますが、それでも書斎はまだ暑いです。

 

なお、サーキュレーターを使う方法は、書斎の扉を常時あけておく必要があります。ですから、妻が寝室で寝ている夜中は、書斎から明かりが漏れるので使えません。

筆者自身の仕事や家事育児の関係から、書斎で作業できるのはほとんど夜中。それなのに、サーキュレーターを使うことがほとんどできないのです。

書斎に代わり、主寝室やダイニングで作業することに

書斎の暑さが極端に厳しいと感じ始めたのは、住み始めて4年目になる今年から。始めの3年間は、部屋の暑さよりも、マイホームの真新しさや自分の空間を持てたことへのうれしさが勝っていたため、暑い書斎でも利用できていたのだと思います。

しかし、4年目にもなると、マイホームの真新さやうれしさが徐々に薄れ始めます。部屋の暑さの方が、自分の気持ちのなかで際立ってきたのかもしれません。

 

結局、今年の夏は書斎を使用していません。その代わりに書斎でする作業を、日中は主寝室で、夜中はダイニングで行っています。主寝室もダイニングも空調が効くので、とても快適です。

この快適な空間に慣れてしまうと、暑い書斎には戻れなくなります。

 

空調の行き届く間取りにすべきだったと後悔

間取り決めのときは「全館空調の冷暖房が届かなくても、扇風機やサーキュレーターを使えば大丈夫だろう」と考えていました。しかし今では考えが甘かったと後悔しています。

今だから思うことは、書斎にも空調が届くようにすること。書斎の場所を変えることは難しいので、今より書斎に空調が入りやすくするために、書斎と主寝室を完全に仕切らず、天井部分をあけてつなげる仕様に。ただその場合、天井にライトがあると、天井から明かりが漏れるため、壁に備えつけのライトとデスクライトに、変更しなければいけなくなるでしょう。

この3年間で、空調の大切さを実感。とくに、暑い中での作業は耐えられません。「空調が届かなくてもなんとかなるだろう」。この見通しの甘さで、せっかくつくった書斎がフル活用できない。なんとも、もったいないことです。