『ハイキュー‼の日』

石川祐希スペシャルインタビュー

 8月19日は人気バレー漫画『ハイキュー‼』(集英社)の日。

バレーボール男子日本代表のエースで主将としてチームを引っ張る石川祐希(ミラノ)も、同作品に「ハマった」ひとりだという。そんな石川に、作品の魅力や好きなキャラクター、対戦したくない相手などを聞いた。


『ハイキュー‼』について語った石川

***

――まず、「ハイキュー‼」の印象はいかがですか?

「面白いですよね。ハマった作品のひとつです」

――作品の魅力はどんなところですか?

「かなりリアルに描かれているところだと思います。とくに『この選手はどう思っているのか』といった気持ちの部分ですね。ピンチになった時の心境などもしっかり表現している。プレーは非現実的なものもありますが、戦術もセオリー通りにも描かれているので、面白さが増しているように感じます」

――好きなキャラクターはいますか?

「稲荷崎高校の北信介選手です。いろんな人が『似てるよね』とか、『だから北のことを好きになった』と言ってくれるんですが、そういった理由ではなく、単純に考え方がかっこいい。僕とは状況も含めてまったく似ていないと思いますよ(笑)。

 彼はどちらかというと控えが中心。ただ、やるべきことはしっかりやっている。当たり前のことを当たり前にずっとやっているんです。控えでも『チームのために』とあそこまで努力することは、なかなかできることではないと思います。そういったところを含めて、すごいな、かっこいいなと思います」

――対戦するのは嫌だなと思う選手はいますか?

「音駒高校のセッター、孤爪研磨選手は何を考えているのかわからないのが嫌ですね。勝ちたいという思いが表に出ていないのでやりにくそうです」

――『ハイキュー‼』では感情を表に出すキャラクターが多い中で、孤爪選手の飄々とした雰囲気が印象的です。実際に石川選手が対戦する時も、孤爪選手のように感情をあまり出さない選手はやりにくいものですか?

「はい、やりにくいですね。フランスのセッターの(ベンジャミン・)トニウッティも、大きく喜んでいる姿をほとんど見たことがありません。あと、イランのセッターの(サイード・)マルーフも、喜ぶことは喜ぶんですが、何を考えているのかわからないです。この2人はやりにくいですよ。孤爪選手は、どちらかというとトニウッティ選手っぽいですね」

――逆に感情をむき出しにするブラジルのブルーノ・レゼンデ選手はわかりやすいですか?

「はい、わかりやすいですね(笑)」


石川が「何を考えているのかわからない。対戦するのが嫌」と語った音駒のセッター・孤爪(c)古舘春一/集英社

――他に『ハイキュー‼』で対戦したくない相手、ミドルブロッカーなどはいかがですか?

「天性の感覚を生かして変則的なブロックもする天童覚選手(白鳥沢学園)のようなミドルブロッカーも嫌ですが、僕はブロックをまっすぐ、きれいな形で出されるほうが嫌です。なので、全員ブロックが高く、形もきれいな伊達工高の3枚ブロックのほうが脅威ですね」

――『ハイキュー‼』の中で、とくに子どもたちが参考にしてほしいところは?

「烏野高校の烏養繋心コーチのお父さんのところに、日向翔陽選手が練習しに行ったことがありましたよね。その時に『ボールは体の一部だから、常に触っとけ』という話をしていたと思います。それは『なるほど』と腑に落ちました。

 ボールをずっと触って、日頃からいろんなタッチをすることは、とても効果があると思います。年齢を重ねてからだと効果があまり大きくないのかな、とは思うのですが、小学生や中学生、高校生がすると効果的なんじゃないかと。小さい時からボールの感覚をしっかり持っている子、ボールタッチがうまい子は、プレーもうまくなると思います。いろんな選手を見てきてもそう感じるので、試してみてもいいと思いますよ」

【プロフィール】

◆石川祐希(いしかわ・ゆうき)

1995年12月11日生まれ、愛知県出身。イタリア・セリエAのミラノ所属。星城高校時代に2年連続で三冠(インターハイ・国体・春高バレー)を達成。2014年、中央大学1年時に日本代表に選出され、同年9月に代表デビューを飾った。大学在学中から短期派遣でセリエAでもプレーし、卒業後の2018-2019シーズンからプロ選手として同リーグで活躍。2021年には日本代表のキャプテンとして東京五輪に出場。29年ぶりの決勝トーナメント出場を果たした。

公式X(旧Twitter):@yuki14_official>>