チャットツールなどを展開するSlackと調査会社のクアルトリクスの共同調査で、日本やシンガポール、インドで働く従業員は、生産的な仕事よりも「忙しそうに見せるためだけの仕事」に多く時間を割いていることが報告されています。

The State of Work in 2023.pdf

(PDFファイル)https://d34u8crftukxnk.cloudfront.net/slackpress/prod/sites/6/State-Work-Report.en-US.pdf



The State of Work in 2023 | Slack

https://slack.com/intl/ja-jp/blog/news/state-of-work-2023



Employees in Asia are spending the most time looking busy at work

https://www.cnbc.com/2023/08/14/employees-in-asia-are-spending-the-most-time-looking-busy-at-work.html

Slackはクアルトリクスと提携して、9カ国1万8000人以上の従業員を対象に「組織の生産性」「自動化」「柔軟性」についての調査を行いました。

今回の調査では、各国の従業員が「生産的な仕事」とは対照的な「パフォーマティブな仕事」に費やした時間を調べました。「パフォーマティブな仕事」についてSlackのアジア太平洋地域のテクノロジーエバンジェリストを務めるデレク・レイニー氏は、「意志決定や直面した問題への対処といった生産的な業務ではなく、『チームで成果を発表する』などの形式的な業務を指します」と述べ、形式的な業務を「見た目だけ忙しそうに見える業務」と定義しています。

従業員が「パフォーマティブな仕事」に費やした時間の割合を国別にランク付けした結果が以下。調査の結果、インドや日本、シンガポールの従業員は、世界平均よりも多くの時間を成果発表などのパフォーマティブな仕事に費やしていることが明らかになりました。

順位国名割合1インド43%2日本37%3シンガポール36%4フランス31%5イギリス30%6オーストラリア29%7ドイツ29%8アメリカ28%8韓国28%

また、生産的な業務に費やした時間の割合の国別ランキングが以下。見ての通り日本やシンガポール、インドの従業員は生産的な仕事に費やす時間が他の国と比べて少ないことが示されています。

順位国名割合1韓国72%2オーストラリア71%2ドイツ71%2アメリカ71%5イギリス70%6フランス69%7日本63%7シンガポール63%9インド57%

レイニー氏は「日本やシンガポールなどの企業のリーダーは、従業員が達成した成果よりも目に見える活動に基づいて社員の評価を行っているようです」と述べています。また「この結果は、従業員がリーダーの前でだけよく見えるように振る舞おうとする、時間の無駄につながります」と指摘しています。

さらに、この評価は従業員に対して「もっと長く働かなければならない」「メールには勤務時間外でも即座に反応しなければならない」といったプレッシャーを与える可能性があることが指摘されています。実際、調査を行った従業員のうち、約70%の従業員が「会議やメールが減れば業務の生産性は向上するだろう」と回答しています。



Slackの調査では、オンラインで費やした時間の長さや送信したメールの数など目に見える活動指標は、企業のリーダーが従業員の生産性を測定する方法のトップにランク付けされていることが報告されています。一方で調査を行った企業の従業員の多くは、「目に見える活動指標で評価されるのではなく、業績で評価してほしい」と報告しました。

レイニー氏は「企業は新たな働き方や評価方法を模索する必要があります。また、会議中心の業務ではなく、従業員個人に任せた働き方を採用することで、結果的に職場での効果的なコラボレーションが促進される可能性があります」と語っています。