知らなかった…! 岩手名物「南部せんべい」の地元人が教える最強に旨い食べ方とは?
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●岩手県二戸名物「南部せんべい」。実はおやつとしてだけじゃなく、地元では料理などにアレンジして食べるのだとか。その深い食べ方を探ってみた。
先日、岩手県二戸市(にのへし)で働く友人が、お土産にと二戸名物である「南部せんべい」をくれました。筆者にとって南部せんべいといえば、ピーナッツが練り込んである甘くてずっしりしたおやつなのですが、味が全然違ってびっくり。
実は一口に南部せんべいといってもその種類はさまざま。筆者がこれまで東京で買っていたのは、南部せんべいの中でも「クッキーせんべい」というお菓子寄りの種類らしいのです。今回は見た目はそっくりなものの、生地が軽く、甘さも控えめな現地でよく食べられているものをいただきました。
お土産でもらった南部せんべいの老舗ブランド『巌手屋(いわてや)』の「まめせんべい」と「ごませんべい」 [食楽web]
さらに驚いたのが、その食べ方。二戸では、そのまま食べる以外にも料理にも使うそうなんです。せっかくなので、地元のみなさんの食べ方を教えてもらい、再現してみました!
農家さんの知恵が作ったアイディアおにぎり「こびりっこ」
思わず、作り方を何度も聞き返してしまったこちら。お赤飯やおこわ、白ごはんを南部せんべいで挟むその名も「こびりっこ」です。元々は、農作業の合間に食べやすいようにと生まれたソウルフードで、二戸をはじめとした南部地方では自宅で作って食べたり、催し物の出店で売られているのだとか。
半信半疑で食べてみると、想像以上に相性が良い! 今回はシンプルに白ごはんをサンドしたのですが、南部せんべいのほんのり効いた塩味や、たっぷり練り込まれたゴマや豆の香ばしさ、そしてパリパリした食感がクセになります。
少し時間が経つとご飯の水分を吸収してもちっとした口当たりになり、これがまた良い。南部せんべいを2枚使うので、ボリュームもアップして1つでお腹いっぱいになりました。
おつまみにもおやつにも!「チーズせんべい」
次に教えてもらったのが、チーズを乗せてトーストのように焼く“チーズせんべい”。せんべいそのものに味がついているので、追加の味付けをしなくても十分美味しかったです。
本場ではクラッカーの代わりに南部せんべいを使い、クリームチーズや生ハム、トマトなど好きな具材を乗せてカナッペ風にアレンジすることもあるのだとか。テーブルが華やかになってホームパーティーにもぴったりですね。
ジュワジュワと溢れ出る旨味!「せんべい汁」
東北地方の有名な伝統料理「せんべい汁」にも挑戦! 醤油ベースのスープで好きな野菜を煮立たせて、南部せんべいを手で割って入れるだけの簡単レシピです。
今回は鶏で出汁をとりましたが、汁を吸ったせんべいはモチモチとした食感で、噛むたびに食材の旨味が溢れ出ます。現地では煮崩れしない、せんべい汁専用の南部せんべいが売られているそうです。すき焼きやうどんに入れるのもおすすめなんだとか。
食べ応えは最中アイス以上!「せんべいアイス」
アイスを挟んで最中アイス風にしてみました。せんべいに練り込まれているゴマや豆が、トッピングの役割を果たしてくれています。通常の最中よりも歯ごたえがあるので食べ応えも抜群。溶けたアイスを吸ったせんべいもまた美味でした。他にも、水飴をかけたり、チョコレートペーストやジャムを塗って食べるそうです。
食べ方を知ると南部せんべいが何倍も楽しくなる!
他にも「割しみチョコせんべい」、「正油せんべい」、インスタントのせんべい汁など種類豊富
今や南部せんべいはイトーヨーカドーやコープ、無印良品など全国各地で買えるのだとか。実際に近所(都内)のイトーヨーカドーに行ってみると、本当に売っていました。
ただそのまま食べるしかないと思っていた南部せんべい。地元の人の食べ方を教えていただき、実はありとあらゆる料理に使えることを知って、いつもの何倍も楽しく食べられました。気になる方は、ぜひお試しください。
(撮影・文◎佐々木 舞)
●著者プロフィール
佐々木 舞
「美味しい」を求め、毎月お給料の半分以上が食費に消える元グルメリポーターのwebライター。美味しいモノがあると聞けば躊躇なく国境も越える食マニアで、これまで食べ歩きした国は60カ国以上。日本のご飯が世界で一番好き。そんな私が見つけた絶品グルメをご紹介します。