パテック フィリップの腕時計は、あえてヴィンテージを選ぶ!時代を越えたクラシカルな名品の魅力とは
名品には数々の効力がある。
身に着けることで日々のモチベーションアップにつながったり、自分に自信をくれたり――。
まさに、大人たちのお守り的存在だ。
本連載では人々から愛され、流行に左右されることない一生モノの“ファッション名品”にフォーカス。
今回登場するのは、広告代理店勤務の河上翔さん。彼が紹介してくれるアイテムとは?
▶前回:「あの人に会いに行きたい、と思って…」ルイ・ヴィトンのサンダルがくれた一歩踏み出す勇気とは?
今回お話を聞いたのは、河上翔さん
1987年生まれ、愛媛県出身の35歳。京都の大学を卒業後、広告デザイン会社を経て広告代理店に勤務。よく行くエリアは中目黒。
ヴィンテージデザインにセンスが光る、パテック フィリップ「カラトラバ」
「ファッションアイテムを購入するときは“これから先も長く使えるもの”、高級品は“ブランドを主張しすぎていないもの”を選ぶようになりましたね」
そう話す河上さんは、30代になりこれまでの嗜好に変化があったという。今回、彼が名品として紹介してくれるアイテムは、パテック フィリップの腕時計「カラトラバ 5120G」だ。
生産終了したモデルで現在は入手困難に
無駄が削ぎ落とされたシンプルなデザインが魅力
時計愛好家が一度は憧れるブランドがある。
それは、世界三大時計ブランドと称される、パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンだ。都会に住む大人ならば、誰もが一度は聞いたことがあるだろう。
その中の1つであるパテック フィリップのコレクション「カラトラバ」は、1932年の誕生以来、ドレスウォッチの名品として愛されてきたアイテムだ。ケースはシンプルなラウンド型で、華美な装飾も一切なし。
スペインのカラトラバ騎士団からネーミングされ、その誇りを体現するクラシカルな美しさが特徴である。
パリの石畳をモチーフとしたベゼルが美しい。2017年の夏、新宿の時計店で約120万円で購入
購入のきっかけは6年前まで遡る。
「人生で一度は良い時計を身に着けたいと思い、30歳の記念で購入しました。当時はロレックスを着けている人が多かったので、被りたくなくパテック フィリップをセレクト」
お気に入りのポイントは、裏蓋のシースルーバック!全面がサファイヤクリスタルになっていて内部のムーブメントを見ることができるのだ。
自動巻きのため、振動と共にこのムーブメントが動く仕組みになっている。時計の針が進むと同時にキラリと輝く裏蓋内の様子に思わず目を奪われる。
裏側に隠された美しいきらめきは、オーナーのみが楽しめる特権だ
当時、この唯一無二なクラシカルデザインに惹かれたが、生産終了のため新品では手に入らない。そのため、ヴィンテージ品を選ぶという選択をしたという。
では、ヴィンテージウォッチの魅力とは一体何なのだろうか?
「新しいものは、機能もデザインも色々足されていく傾向がある。もちろんその高いスペックも素敵だと思いますが、僕はこの一切の無駄が削ぎ落とされたシンプルさに惹かれたんです。
ヴィンテージウォッチにしかない魅力は…、“洗練された佇まい”かな」と河上さん。
特に男性のフォーマルシーンでは欠かせないドレスウォッチ。一方、そのシンプルすぎる見た目ゆえに、細部の質感の良さが非常に重要になってくるのだ。
カラトラバはその精巧さと歴史から、“最高峰のドレスウォッチ”とも呼ばれる。この魅力こそが、洒落た大人がヴィンテージウォッチにはまる理由なのである。
エルメスのレザー小物も、究極にシンプルに
さらにこの日、もう1つ紹介してくれたのがエルメスのレザー小物。徐々に買い足し、現在は3種類の“ブラック・トリオ”が手元に揃う。
左からカードケース、マネークリップ型の二つ折りウォレット、コインケース。すべてエルメスのもので統一し、毎日持ち歩いている
転職した20代半ばから集め始め、30歳を迎える頃にはこれらが揃った。きっかけは、広告代理店の先輩だったという。
「今の会社に転職した頃、5つ上の先輩が二つ折りの財布を使っていて。それがとても格好よく見えたんです。
それで、まずはマネークリップ型の二つ折りウォレット(写真中央)を新調。そのあと、統一感を出したく、カードケース(写真左)やコインケース(写真右)も買い足して今に至ります」
ぱっと見ではエルメスのものとはわからないが…。「そこがいいんです」とつぶやく。
「『ブランド品を持っている』と主張するのがあまり得意ではなくて。一見シンプルだけど、実は上質なものを使っているというのが自分のテンションを上げてくれる」
毎日持ち歩いて5年以上の月日が経つが、決してレザーが傷むことない。ここでも名品として愛されるアイテムの、質の良さを感じるのであった。
ハイブランドと今どきブランドのMIXが、お洒落のコツ
取材の日のファッションコーディネートを聞くと、ハイブランドの中に、旬のブランドをMIXさせる技が光っていた。
首元には19SO(ナインティーンエスオー)のチェーンネックレスを。2021年に約10万円で購入
右手はトムウッド「マリオリング マラカイト」と、エルメスのブレスレット「シェーヌダンクル」を合わせた
19SOは2020年にローンチしたばかりの、新進気鋭の注目ブランド。
「今までは敬遠していたゴールドアイテム。でもこのネックレスは決していやらしく見えないのがお気に入り。サウナやジムでも基本つけっぱなしです」
最近では、すっかりゴールドの魅力にはまっていっているのだという。
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選ぶもの、語る言葉にセンスの良さを感じさせる河上さんだが、取材中「洋服に着られない自分でいたい」とも語ってくれた。
一方で、彼が物を選ぶ基準はブランド名ではない。見ているのはあくまで「自分が好きなデザインかどうか」だ。好みを突き詰めた結果、ヴィンテージウォッチに辿り着いたともいえる。
自分の“好き”を貫いて、日常的にヴィンテージアイテムをさらりと纏う。これが粋な大人の新常識なのかもしれない。
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写真/品田健人