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ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏(享年87)による性加害問題を受けて、日本労働弁護団は7月24日、芸能界における法的環境整備を求める緊急声明を出した。

この中で、日本労働弁護団は、ジャニーズ問題をはじめとする芸能界における性被害やハラスメントを撲滅するために「法的な環境整備」が必要だとうったえている。

また、日本労働弁護団はこの日、「芸能界ハラスメントホットライン」を開設した。芸能界を中心に表現活動をしている人が対象で、LINEや電話で無料相談を受け付ける。

●「業界全体で性被害を見逃さないように」

緊急声明で、日本労働弁護団は、芸能界における性被害やハラスメントをなくすためには、まず、芸能事務所とタレントや俳優らのマネジメント契約の改革が必要としている。

日本労働弁護団によると、韓国では2011年に「芸術人福祉法」を制定し、性被害やハラスメントがあった場合には自由に契約を解除して、他の事務所に移ることができる条項を盛り込んだ「標準契約書」が作成されているという。

日本労働弁護団は、この「標準契約書」が参考になるとしている。また、性被害やハラスメントが起きてしまったときの調査や救済手続きの整備も求めている。

さらに、放送局や出版社、広告業界、国、地方公共団体などが、芸能事務所に対して、性被害防止の義務化を契約の条件にするなど、「業界全体で性被害を見逃さない法的根拠を整備する必要がある」としている。

この日、東京・霞が関の厚労省で記者会見を開いた日本労働弁護団・幹事長の佐々木亮弁護士は、今回緊急声明を出した理由について、次のように語った。

「芸能界について特化した緊急声明を出すのは初めて。芸能界では、特定の芸能事務所に限らず、力をもった者がそうではない者に対して性加害をおこなってきた。芸能界は、特に青少年に大きな影響がある分野なので、撲滅のためのメッセージを出すことの意義は大きい。社会全体で変えていかなければいけない問題だ」

●芸能界ハラスメントホットラインを開設

日本労働弁護団はこの日、「芸能界ハラスメントホットライン」を開設した。期間は7月28日まで。芸能界で働く人だけでなく、YouTuberや美術家など、さまざまな表現活動をしている人が対象で、パワハラやセクハラ、ギャラ不払いなどについて無料で相談を受け付ける。LINEと電話で相談できる。

日本労働弁護団・事務局次長の小野山静弁護士は「声があげづらい問題だと思うが、相談は匿名でも可能なので、もし悩んでいる方がいたら、ぜひご相談ください」と話している。詳しい情報は、日本労働弁護団のツイッターやインスタグラムのアカウントに掲載されている。