米シンクタンクのピュー研究所が米国人の仕事について世論調査を行い、最近その結果を発表しました。その内容は自営業者にとって良いことずくめとなりましたが、会社員は本当に悪いことだらけなのでしょうか?

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この調査では、自分の仕事を「楽しい(enjoyable)」「やりがいがある(fulfilling)」「ストレスが多い(stressful)」「手に負えない(overwhelming)」と思っている人は、自営業者と会社員でどれくらいになるかを明らかにしました。以下のグラフがその結果。

↑米国の自営業者はハッピー(画像提供/ピュー研究所)

 

自営業者の65%が「楽しい」「やりがいがある」と回答しており、どちらも会社員を上回っています。「楽しい」「やりがいがある」と回答した会社員はそれぞれ50%と47%で、極端に少ないわけではありません。しかし、それとは反対に今の仕事は「ストレスが多い」「手に負えない」と回答した会社員は、自営業の約2倍になりました。

 

これから米国で「楽しくて、やりがいのある」仕事をする自営業者や起業家は増えるのでしょうか? 必ずしもそうとは言えません。YouGovの調査(2023年1月。米国の成人462〜515人が対象)では、「今の仕事が好きで会社に残りたい」という人が50%以上いることがわかりました。「今の仕事は好きだけど、近いうちに別の会社へステップアップしたい」と思っている人はわずか11%。逆に、「今の仕事は嫌いで、転職したい」人と、「今の仕事は嫌いだけど転職する気はない」人は、2022年1月以降、両方とも11%から13%へと推移しています。つまり、これらは米国にでさえ「安定志向」の会社員が一定数いることを示しているでしょう。

↑米国にも「安定志向」(出典/YouGov ※グラフは編集部で作成)

 

この傾向は今後も続くかもしれません。現在、AIやIoTを用いた第4次産業革命が進行しており、それに伴うリスキリングの必要性が叫ばれ、インフレが終わりません。このように不安定な時代では、たとえストレスばかりで、仕事は手に負えず、あまり楽しくなくても、会社員でいることには、それなりのメリットがあるでしょう。それで仕事が好きになれば、なおさら良いですね。

 

【出典】
Pew Research Center. Self-employed people in the U.S. are more likely than other workers to be highly satisfied with their jobs. June 30 2023

YouGov. How Americans feel about their job. 2023年7月4日閲覧