楽天モバイルとKDDI・沖縄セルラー電話がau回線のローミング新協定を締結!6月からは東京都23区や名古屋市、大阪市を含む都市部も対象に
KDDIおよび沖縄セルラー電話と楽天モバイルが新たなローミング協定を締結!2023年6月から2026年9月まで |
KDDIおよび沖縄セルラー電話と楽天モバイルは11日、2023年4月に新たなローミング協定(以下、新協定)を締結したと発表しています。新協定ではこれまでのローミングに含まれなかった東京都23区や名古屋市、大阪市を含む都市部の一部繁華街のエリアを新たな対象とするとのこと。
楽天モバイルでは新協定によるローミングを活用することによって財務負担を限定しつつ、迅速かつ効率的に接続性の更なる向上を図り、より快適にお使いいただける環境を実現するということです。合わせて楽天モバイルでは2023年5月12日(金)11:30より「楽天モバイル プレスカンファレンス」を開催し、この新協定に基づく新料金プラン「Rakuten最強プラン」を発表しています。
楽天モバイルでは楽天回線による正式サービス「Rakuten UN-LIMIT」を2020年4月に開始し、楽天回線エリアにおけるデータ通信は使い放題、専用アプリ「Rakuten Link」での音声通話・SMSも無料で月額3,278円(金額はすべて税込)で使え、さらに何度かアップグレードされて昨年7月には料金プランをRakuten UN-LIMIT VIIに刷新し、現在は3GB以下なら月額1,078円、20GB以下なら月額2,178円、使い放題で月額3,278円となっています。
またコミュニケーションサービス「Rakuten Link」での音声通話・SMSはカウントフリーとなっているほか、Rakuten UN-LIMIT VIIの提供開始に合わせて昨年7月からはキャリアメールサービス「楽メール」も提供されています。一方、これらの料金プランは楽天回線エリア以外ではパートナー(au)回線のローミングサービスにて月5GBまでは追加料金なしで高速データ通信が使え、月5GBを超えても最大1Mbpsで利用できるようになっています。
そんなRakuten UN-LIMITシリーズですが、常に最大の課題は楽天回線エリアの拡大となっており、MNO参入のために総務省に提出した新規開設計画を前倒ししてエリア拡大を行い、昨年2月には約4年前倒しで日本全国の4G人口カバー率が96%を超え、その後も2022年10月末時点には4G人口カバー率98%と順調に基地局整備とエリア拡大を進め、楽天モバイルの大幅赤字の原因となっていたau回線でのローミングの利用率を下げていました。
こうしたことからこのまま順調に基地局整備とエリア拡大を行い、au回線でのローミングの利用率を下げて黒字化をめざすものと考えられていましたが、今回、新たにこれまでのローミング協定にはない東京都23区や名古屋市、大阪市を含む都市部の一部繁華街のエリアを対象とする新協定が締結されたことが発表されました。従来の協定は楽天モバイルが携帯電話サービスの立ち上げ時に圧倒的に足りないエリアカバーを補助する役割でした。
実際にKDDIでは国内通信事業者の健全なサービス競争の促進に寄与することを目的に楽天モバイルが提供する携帯電話サービスの立ち上げに際してau回線によるローミング提供を行ってきたと説明しています。これに対して楽天モバイルではすでに4G人口カバー率が98%を超えたことからある程度は従来の協定は役割を終えつつあると考えられ、実際にau回線のローミング費用はかなり減少していました。
一方で楽天モバイルでは利用者数の増加による新たな問題が浮上してきており、それが特に都市部の混雑による通信品質の低下と屋内で電波が入らないなどの問題でした。特に屋内についてはこれまでのプラチナバンドと呼ばれる低周波数帯の獲得を採算に渡って総務省に訴えており、すでに紹介しているように4Gによる狭周波数帯による700MHz帯(Band 28)の割当の目処が立ってきました。
そうしたことからもう1つの問題である都市部の通信品質の確保を改善すべく新協定が締結されることになったと考えられ、また従来の協定は2026年3月末までを期限としていたため、新協定ではこのローミング期間も若干ではありますが、延長して2026年9月までとなりました。なお、KDDIでは同日に行われた「2023年3月期決算説明会」において同社代表取締役社長の橋 誠が「両社はウィンウィン(win-win)」であることが語られました。
特にKDDIだけでなく楽天モバイルも設備投資を4Gから5Gへ移行しつつあり、4Gへの投資を抑えたい(だろう)と説明し、KDDIとしても今期は楽天モバイルからのローミング収入が一気に600億円程度の減少となる上、au回線は少しずつ4Gに余裕が出てきていることから楽天モバイルに「一気に変えるのではなく緩やかにしたらどうか」や「足りないところは貸ししますよ」という話をし、新協定とすることにしたとのこと。
このようにKDDIにとっても一気にローミングによる収入が減ると経営にも大きなインパクトがあることも新協定につながる一因となった模様です。またローミング期間についても2026年9月までとしているものの、その後も両社の合意でさらに延長できるようになっているということです。楽天モバイルとしても都市部の特にビルの影などは5Gではなかなか収容できないこともあるため、高橋氏は「他社のことは語りづらいが」と前置きしつつ、5Gへの投資はしつつも「au回線で補助したほうが財務的にも健全化できると考えたのだろう」と語りました。
なお、ローミング費用について高橋氏は「一気にローミング収入が減少するのは経営に大きなインパクトがある」としつつ「今回は契約内容についてお互い細かい話を言うのやめようね」となっているとし、詳細は「ご容赦ください」としながらも「両社でいいバランスを取った」と説明し、従来からの協定から大幅なディスカウントといった話ではないと説明しました。また利用する周波数帯についても従来通りに800MHz帯のみだとのことです。
記事執筆:memn0ck
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