『アガサ・クリスティー ミス・マープル』二人の主役女優、豪華ゲストで大胆に脚色!

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『アガサ・クリスティー ミス・マープル』がBS11にて4月6日(木)18時より無料放送となる。ミステリー界でも特に有名なこの愛すべき主人公、その作品についてご紹介しよう。

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ミス・マープル作品一覧

“ミステリーの女王”アガサ・クリスティーが生んだ有名な二人の探偵、エルキュール・ポワロと対をなすのが、このミス・マープル。ベルギー生まれの私立探偵ポワロはクリスティーが1920年に発表した処女作の主人公だが、老婦人のジェーン・マープルはそれから7年後の雑誌に掲載された短編「火曜クラブ」で初登場している。ミス・マープルの長編は、1930年の「牧師館の殺人」を皮切りに、「書斎の死体」「動く指」「予告殺人」「魔術の殺人」「ポケットにライ麦を」「パディントン発4時50分」「鏡は横にひび割れて」「カリブ海の秘密」「バートラム・ホテルにて」「復讐の女神」「スリーピング・マーダー」の計12作、短編は前述のものも含めて20作。長編32作、短編51作、戯曲2作のポワロに比べると、半分以下のボリュームだ。

ポワロに比べると寡作のミス・マープルだが、クリスティーの祖母をモデルにしており、作者にとってお気に入りのキャラクターであることは有名だ。架空の村セント・メアリー・ミードに暮らすミス・マープルは、村の友人や神父、たまに訪ねてくる作家の甥レイモンドと交流しながら穏やかな毎日を送っているが、ひとたび周囲で事件が起きると、鋭い観察力と経験に裏打ちされた洞察力を生かして難事件を解決していく。

そんなミス・マープルは世界で愛されており、これまで何度も映像化されてきた。本国イギリスでは1960年代前半にマーガレット・ラザフォード主演で4本の映画が作られたのをはじめ、BBCで1984年から『ミス・マープル ジョーン・ヒクソン版』、ITVで2004年から『アガサ・クリスティー ミス・マープル』と、2つの人気シリーズが放送された。そのほかにもラジオや舞台、さらには日本でポワロとともにアニメ化されるなど、様々なメディアで展開されている。

ミス・マープルを演じた歴代女優

ミス・マープルはこれまで様々な女優によって演じられてきた。1961年の『ミス・マープル/夜行特急の殺人』などで同役を演じたマーガレット・ラザフォードは、1963年の『予期せぬ出来事』でアカデミー賞助演女優賞を受賞。『ジェシカおばさんの事件簿』で知られる名女優アンジェラ・ランズベリーも、1980年の映画『クリスタル殺人事件』でミス・マープルに扮している。

1984年から12本ある長編小説をすべてドラマ化したBBCで主演を務めたジョーン・ヒクソンは、「牧師館の殺人」などで2回英国アカデミー賞(BAFTA賞)候補に。なお、ジョーンは1940年にポワロ作品「死との約束」の舞台に立ったが、それを見た原作者のクリスティーに「いつかあなたにミス・マープルを演じてほしい」と言わしめた人物だ。

そして21世紀に入って制作された『アガサ・クリスティー ミス・マープル』では、ジェラルディン・マクイーワン、ジュリア・マッケンジーという二人が3シーズンずつ主演を務めている。舞台女優として鳴らしたジェラルディンはローレンス・オリヴィエ賞やトニー賞、英国アカデミー賞ノミネート歴を誇る。シーズン4から主役を引き継いだジュリアは、俳優として多くの賞レースを賑わせてきたほか、歌手や舞台演出家、プロデューサーといった顔も持つ。ジュリアはさらに、マープルを演じる数年前にはポワロ作品のラジオドラマでアリアドニ・オリヴァというポワロ後期の重要なキャラクターを担当していた。

シャーロック・ホームズのように、本国以外でもマープル作品は作られている。アメリカでは、まずNBCで1956年に放送された1エピソードで、1920年代から1930年代にかけて絶大な人気を誇りデイムの称号を与えられたイギリス人のグレイシー・フィールズがミス・マープルを演じた。そしてCBSが1980年代に2本作ったTV映画では、アメリカ人のヘレン・ヘイズが起用されている。アカデミー賞を2度(『マデロンの悲劇』『大空港』)受賞したヘレンは、アメリカのエンタメ界でも一握りの人のみが達成した偉業、EGOTを最初に成し遂げた女性でもある。

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そのほかには、1970年に西ドイツで制作されたTV映画ではデュッセルドルフ生まれのインゲ・ランゲンが同役を演じた。エストニア出身のイタ・エヴェルはこの老婦人役で、ロシアで1983年に公開された映画と1990年に放送されたミニシリーズ、そして2005年の舞台劇に出演している。

そして2004年から2005年にかけて日本で放送されたクリスティー作品初のアニメシリーズ『アガサ・クリスティーの名探偵ポワロとマープル』では、八千草薫がミス・マープルの声を担当。韓国で2018年にドラマ化された際には、『LOST』のサン・クォン役や『溺れる女たち 〜ミストレス〜』のカレン・キム役で知られるキム・ユンジンが主演を務めた。

『シャーロック』『ゲーム・オブ・スローンズ』スターも…豪華すぎるゲスト

イギリスのミステリードラマではゲストが豪華なことが多いが、『アガサ・クリスティー ミス・マープル』でもその傾向はしっかり引き継がれている。特に目立つのが『SHERLOCK/シャーロック』で知られる俳優たちで、シャーロック役のベネディクト・カンバーバッチをはじめ、マイクロフト役のマーク・ゲイティス、レストレード警部役のルパート・グレイヴス、ハドソン夫人役のユーナ・スタッブス、「ピンク色の研究」の犯人役フィル・デイヴィス、「バスカヴィルの犬(ハウンド)」の依頼人役ラッセル・トヴェイ、レディ・スモールウッド役のリンゼイ・ダンカンもミス・マープルの世界にゲスト出演している。

そのほかには『ゲーム・オブ・スローンズ』のキャストも集まっており、タイウィン・ラニスター役のチャールズ・ダンス、スタニス・バラシオン役のスティーヴン・ディレイン、ジリ役のハンナ・マリー、マージェリー・タイレル役のナタリー・ドーマーが登場。

また、ほかのクリスティー作品にも出演した人たち、『クリスタル殺人事件』のジェラルディン・チャップリンとエドワード・フォックス、『アガサ・クリスティー ねじれた家』のジュリアン・サンズ、『そして誰もいなくなった(2015年)』のトビー・スティーヴンスとバーン・ゴーマン、『オリエント急行殺人事件(2017年)』のデレク・ジャコビの姿も目にすることができる。

『ウォーキング・デッド』のトム・ペイン、『ドクター・フー』4代目ドクターのトム・ベイカー、『007』シリーズから4代目ジェームズ・ボンドのティモシー・ダルトンと元ボンドガールのジェーン・シーモア、『ホビット』シリーズのリチャード・アーミティッジ、『ダウントン・アビー』のダン・スティーヴンスとペネロープ・ウィルトン、『ゴスフォード・パーク』のリチャード・E・グラントとアイリーン・アトキンスとジェームズ・ウィルビー、『アフェア 情事の行方』のルース・ウィルソン、『ミスター・メルセデス』のハリー・トレッダウェイ、『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』のO・T・ファグベンル、『エージェント・カーター』のジェームズ・ダーシー、『テンペスト教授の犯罪分析ノート』のベン・ミラー、『GOTHAM/ゴッサム』のショーン・パートウィー、『わたしを離さないで』のキャリー・マリガン、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のベン・ダニエルズ、『コナン・ドイルの事件簿』のイアン・リチャードソン、『キング・オブ・メディア』のブライアン・コックス、『私立探偵ダーク・ジェントリー』のサミュエル・バーネット、『ドクター・マーティン』のキャロライン・キャッツ、『女王ヴィクトリア 愛に生きる』のトム・ヒューズ、『キリング・イヴ/Killing Eve』のフィオナ・ショウ、『ライン・オブ・デューティ』のマーティン・コムストン、『ピープ・ショー ボクたち妄想族』のロバート・ウェッブなど、イギリス人俳優を中心に映画やドラマで活躍する面々が出ている。

『アガサ・クリスティー ミス・マープル』ではミス・マープル以外のクリスティーの原作も元にしていたり、一部の犯人を変更していたりと、様々な脚色を加えているので、すでに原作を読んでいたりほかのミス・マープル作品を見ている人も楽しめるのではないだろうか。

『アガサ・クリスティー ミス・マープル』放送予定

BS11にてシーズン2より2話連続放送(※字幕版)

シーズン2(全8話)…4月6日(木)18:00より放送
シーズン3(全8話)…5月4日(木)18:00より放送
シーズン4(全8話)…6月1日(木)18:00より放送
シーズン5(全8話)…6月29日(木)18:00より放送
シーズン6(全6話)…7月27日(木)18:00より放送