楽天モバイルに対する水増し請求に絡み代表が逮捕されていた

 3月23日付で東京地裁へ自己破産を申請していた(株)TRAIL(TDB企業コード:247012578、資本金2000万円、神奈川県相模原市中央区相模原3-8-26、登記面=東京都港区芝公園2-11-11、代表濱中治氏)は、3月29日に破産手続き開始決定を受けた。

 破産管財人は田川淳一弁護士(東京都中央区日本橋人形町3-6-7、功記総合法律事務所、電話03-5614-0201)。債権届け出期間は5月12日までで、財産状況報告集会期日は8月22日午後2時。

 当社は、2014年(平成26年)7月に設立。一般貨物運送事業を主体として、倉庫内物流業務の請負も手がけていた。以前は協力会社に外注する形で事業展開を図っていたが、2020年3月期中に一般貨物自動車運送事業の許可を受けて自社配送の割合を高め、業歴は浅いながらも同業界で経験を積んだ代表の人脈を生かし受注を確保。2020 年3月期は年収入高約26億400万円を計上していたが、楽天モバイル(株)の携帯電話基地局設備に関わる配送の受注増加を背景として業績は急伸、 2021年3月期は年収入高約92億100万円を、2022年3月期には年収入高約192億6100万円を計上していた。

 こうしたなか、2022年8月に入って当社の主要取引先である日本ロジステック(株)(TDB企業コード:284023492、東京都千代田区)や当社が楽天モバイル(株)に対して不正な水増し請求をしていたことが発覚し、日本ロジステック(株)は仮差し押えを受ける事態となり、8月30日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請。この不正請求に絡み、当社の動向も注目されることとなったほか、同社に対して多額の不良債権が発生したことで、ほぼすべての事業を停止し従業員も解雇されるなか、1月13日付で事後処理を弁護士に一任していた。

 その後、3月3日には楽天モバイル(株)の携帯電話基地局整備事業を巡って、水増しした業務委託料を楽天モバイル(株)に支払わせ詐取したとして、警視庁は楽天モバイル(株)の元部長および日本ロジステック(株)の元常務、当社代表者の3名を詐欺の疑いで逮捕。なお、楽天モバイル(株)から同社元部長らが受けた不正な支払いは約300億円に上るとみられている。
 
 申請時点の負債は約39億4300万円だが、今後、膨らむ可能性が高い。
 
 神奈川県内では今年最大の倒産で、2022年度でも最大となる。