8,000万円程度の家を購入したいと考えた際、どのくらいの年収が必要なのでしょうか。
今回は8,000万円の家を購入するために必要な年収と安全に返済できる目安を解説するとともに、自分の年収がその目安よりも低い場合に考えられる対応策についても紹介します。
これから8,000万円程度の家を購入しようと考えている方はぜひ参考にしてください。

住宅ローンの返済額から計算! 8,000万円の家を買える人の年収とは?

まず、住宅ローンの返済額から8,000万円の家を買える人の年収を計算してみましょう。
シミュレーションについては、以下のシミュレーションを利用することとします。

ARUHI:借入希望金額から試算 | 住宅ローンシミュレーション

8,000万円の家の住宅ローン返済額はいくら?
フルローンと頭金1割の2パターンで、35年ローン、ARUHIフラット35(新機構団信あり)を利用した場合の毎月の返済額を計算してみましょう。借入期間は35年、2023年2月の実行金利である1.88%を適用し、ボーナス払いはなしと仮定します。

8,000万円を借り入れるフルローンの場合、実行金利は2.14%となりますので、毎月の返済額は27万794円です。

では、頭金を1割つまり800万円用意した場合はどうでしょうか。
頭金を1割用意すると借入金額が7,200万円となり、融資率が9割以下になりますので1.88%の金利が適用されます。その結果、毎月の返済額は23万4,099円まで下がることがわかります。

8,000万円の家が無理なく買える人の年収とは?
さらに8,000万円の家を無理なく買える人の年収を計算してみましょう。
無理なく返済できる目安は、年収における年間のローンの返済総額である返済負担率(返済比率)が25%以下と言われています。つまり年間返済額の4倍以上の年収があれば安心ということです。

住宅ローン以外に借り入れがないと仮定すると、フルローンの場合は毎月の返済額が27万794円ですので、年間返済額は324万9,528円です。この4倍以上の年収であれば無理なく買えることになり、その年収額は約1,300万円です。

もう一つの、頭金1割を用意した場合をみてみましょう。
頭金を1割用意した場合の毎月の返済額は23万4,099円、年間の返済額は280万9,188円となり、無理なく買える年収は約1,120万円程度になります。

8,000万円の家を買うのに最低限必要な年収とは?
年収の10倍程度までであれば住宅ローンが組める可能性があるといわれていますが、仮に年収800万円で7,200万円の住宅ローンを組んだ場合の毎月の返済額は23万4,099円、年間の返済額は280万9,188円です。この場合の返済負担率は35%と、無理なく返済できる目安と考えられている25%を大きく超えることになり、住宅ローン破綻のリスクが高くなります。
また、購入時にかかる諸費用の負担などを考慮すると、やはり最低でも年収1,000万円程度は必要と考えられます。

年収が目安よりも少ない場合に検討したい対応策とは?

実際に8,000万円の家を購入する際の年収の目安がわかったところで、年収が目安よりも少ない場合にできる対応策には、どのようなものがあるのでしょうか。
考えられる対応策について紹介します。

頭金を多めに準備する
頭金を1割入れた場合の必要年収は1,120万円程度ですが、頭金を2割、3割と多めに入れることができれば返済負担率も下がって、住宅ローン破綻のリスクを軽減できます。

とはいえ、自己資金のすべてを頭金にあてることは避けましょう。生活防衛資金として毎月の生活費の6ヶ月分程度は手元に残しておくと安心です。

また、住宅を購入する際には頭金とは別に諸費用がかかります。諸費用の中には物件の価格に比例して高くなるものもありますので、事前にシミュレーションを行い、どのくらいの諸費用がかかるのかを把握しておきましょう。
諸費用の金額は金融機関によって異なります。複数の金融機関でシミュレーションを行い、違いを比較してみましょう。

最終的により多くの頭金を用意するためには、家計の見直しも必要になります。住宅の購入を機に家計の収支を洗い出し、ムダな支出はないか見直してみましょう。

ペアローンを検討する
ペアローンとは、一つの物件に対して、共働きの夫婦など収入のある人それぞれが住宅ローンを申し込む方法をいいます。ペアローンにすることで夫婦どちらか一方が借りるよりも多くの金額を借り入れることが可能になります。

さらに、夫婦どちらも団体信用生命保険に加入でき、住宅ローン控除も適用される点がメリットです。
ただし、住宅ローンの契約が2本になるため、諸費用が2倍かかることや、出産や育児休暇などで収入が下がった場合の対処法など、ペアローンには注意しておかなければならないポイントが複数存在します。また、離婚の際にどちらか一方がその家に住み続けることになった場合、住宅ローンを1本化しなければなりません。その際、住み続ける側の収入によっては希望借入金額に達することができず、審査に通らない可能性もあります。売却したとしても売却した金額で住宅ローンが完済できなかった場合は、自己資金で返済しなければなりません。

ペアローンで特に注意したいのは団体信用生命保険です。ペアローンではどちらも団体信用生命保険に加入できますが、保障されるのは加入した人の出資比率に応じた持ち分のみで、一方に万が一のことが起こった場合、ローン残債がゼロになるわけではありません。そのため、一方の団信が発動した後も返済が続いていくことになり、場合によっては収入に対する返済の負担が大きくなることも考えられます。

まとめ

8,000万円の家を購入するにあたり、年収が1,120万円~1,620万円程度あれば住宅ローン破綻のリスクは低いことがわかりました。とはいえ、年収1,120万円~1,620万円は高収入の部類に入りますので、人によっては目安の年収に足りないケースもあるでしょう。

その場合は頭金を多く入れることや、共働きであればペアローンの利用も検討してみましょう。
どの方法を取るにしても、無理な返済計画は避け、多少収入が減少したとしても返済を続けていけるような借入金額に抑えることが大切です。