2019年11月に「まちびらき」をした南町田グランベリーパーク。駅前に商業施設や映画館、その先には公園、スポーツ施設が広がる利便性の高いエリアで、現在は高層マンションの建設も進んでいます。

2019年に新しくなった南町田グランベリーパーク駅。商業施設のあるのは写真右手。明るく楽しげな雰囲気です(著者撮影)

町田駅周辺に次ぐにぎわい拠点として位置付け

東京都町田市の中心はJR横浜線、小田急線の2線が乗り入れる町田駅ですが、町田市が町田駅周辺に次ぐにぎわいの拠点としてまちづくりを進めているのが南町田グランベリーパーク駅周辺。特徴は、市と、鉄道事業者であり沿線の開発を進める事業者でもある東急株式会社が公民で連携して開発を進めている点。商業施設だけでも、公園だけでもない開発で、暮らしやすさ、安全などにも配慮して進められているのです。

電車、バス、車いずれのルートでも高い利便性

東急田園都市線の路線図。渋谷駅との間には二子玉川、たまプラーザ、青葉台などの街があります(著者撮影)

南町田グランベリーパーク駅は渋谷から東急田園都市線の準急・急行利用で通勤時なら40分あまり。日中平常時なら35分ほどです。東急田園都市線は東京メトロ半蔵門線と相互直通運転をしており、同線を介して東武伊勢崎線・日光線とも接続。表参道、永田町、大手町などといったオフィス街にもダイレクトにアクセスできます。

また、東急田園都市線から大井町線に乗り入れるラインもあり、それを利用すれば自由が丘、大井町にも乗換なしで行くことができます。

また、長津田でJR横浜線に乗り換えれば新横浜まで通勤時で26分ほど。新幹線利用に便利です。また、横浜線でそのまま横浜に出る場合には通勤時で40分ほど。東京にも、横浜にも出やすい立地というわけです。

バス便利用で空港、行楽地へもアクセス

南町田グランベリーパーク駅北口広場の町田駅バスセンター行のバス停。あまり本数はありませんが、利用者によると確実に座っていけることが多いとのこと。荷物がある場合にはあえてバス便という手もあるかもしれません(筆者撮影)

市の中心地、町田駅へは北口ロータリーからバスが出ており、所要時間は25分ほど。ただし、本数はあまり多くないので、それよりは東急田園都市線で2駅先の中央林間駅まで行き、そこで小田急線に乗り換えるほうが良いでしょう。所要時間は時間帯にもよりますがおおむね20分以内です。

2017年にオープンした南町田グランベリーパーク駅北口広場。道路整備と合わせて町田駅などへの路線バス、空港行きのバスなどの運行も開始しました(筆者撮影)

北口バスターミナルからは羽田空港、成田空港へのリムジンバスも出ています(羽田空港便は減便、成田空港便は現在運休中)。それ以外では富士急ハイランドなどへの便もあり、気軽に遊びに行けます。

国道246号、東名高速に至近

車利用時の利便性の高さを反映してか、道路沿いには自動車の販売店が多く並んでいます。さまざまな車種が扱われており、車好きには楽しいかもしれません(筆者撮影)

もうひとつ、車利用時の利便性の高さも挙げておきたいところ。すぐ近くには国道246号が走っており、都心に出るにはこの道をまっすぐ行けば良いという分かりやすい立地です。東名高速道路の横浜町田インターチェンジも1キロほどのところにあり、仕事に、遊びに行きやすい場所です。

1976年開業の南町田駅の大きな変化

現在の南町田グランベリーパーク駅。駅の背後に見えているクレーンは建設が進められているタワーマンションのもの。駅とマンションの近さが分かります(筆者撮影)

現在の南町田グランベリーパーク駅は2019年のまちびらきと同時に新しくなりましたが、以前は南町田駅と言って、開業は1976年。開業前の南町田エリアは山林と田畑がほとんどというのどかな場所で、現在の鶴間公園の森のような風景が広がっていたと考えるとイメージしやすいでしょう。ちなみに鶴間公園の開園は1979年のことでした。

駅周辺は大きく変わったものの、周辺を歩いてみるとところどころに農地も残されていました(筆者撮影)

その後の南町田の変化として大きいのは、2000年にオープンした大型商業施設グランベリーモールです。2006年にはシネマコンプレックスもオープン。南町田は商業地としてもにぎわうようになったのです。

町田市との公民連携でまちづくり

2015年に決定された南町田駅周辺地区拠点整備基本方針の図。それぞれの場所の持つ役割が分かりやすく解説されています(南町田駅周辺地区拠点整備基本正確を策定しました 町田市より)

それまでは小規模なスーパー程度しかなかった南町田は大きく変わったわけですが、この施設は当初から開発計画が決まるまでの暫定利用と位置づけられていました。実際、2008年には町田市や地元の町会、東急などで南町田駅周辺地区整備計画検討会が発足しています。

それから5年後の2013年には町田市と東急電鉄(当時)が田園都市線沿線地域のまちづくり推進の基本協定を締結するなど、南町田を市の南の玄関口、市南部一帯の拠点にしようという計画が動き始めます。その計画がまとまったのが2015年のこと。6月に南町田駅周辺地区拠点整備基本方針が決まったのです。

それに基づき、グランベリーモールは2017年2月に閉館。以降は新たな商業施設の建設と同時に鶴間公園の整備などが着々と進められてきました。

まちびらきで駅名改称、便利なダイヤに

まちびらきが行われたのは2019年11月。前月には駅名が南町田から南町田グランベリーパークと改称され、同日実施のダイヤ改正でそれまでは土休日のみだった急行列車の停車が平日にも拡大。日中毎時2本の大井町線急行列車が、中央林間まで直通運転を開始しています。

また、このダイヤ改正では南町田グランベリーパーク周辺の利便性向上も図られており、それまで南町田グランベリーパーク駅にのみ停車していた準急列車が田園都市線長津田駅~中央林間駅の各駅に停車するようになりました。平日18~20時台の大井町駅発長津田駅行の急行列車が新たに3本増便されてもいます。

南町田グランベリーパーク駅の口コミや住みやすさを「TownU(タウニュー)」でチェック(無料・登録不要)

大きく3つのパートからなる南町田グランベリーパーク

北口広場から駅、商業施設、公園が一体として開発されたことが分かります(エリアの概要 南町田拠点創出まちづくりプロジェクトより)

完成した南町田グランベリーパークは、約22ヘクタールという広大なエリアの中に商業施設グランベリーパークと鶴間公園、そしてその間にあるパークライフ・サイトと呼ばれるゾーンがあります。

多数の商業エリアには子ども、ペットへの配慮も

上りホーム側から見た駅と商業施設。駅のすぐ前から商業施設が広がっています(筆者撮影)

商業施設グランベリーパークは駅直結。改札を出たところからすぐに商業施設があり、6つのパビリオンに全部で240店以上が出店しています。各種物販、アウトレット、スーパー、ドラッグストア、飲食店、フードコート、映画館、クリニックなどのほか、地元の人気店なども出ており、そのバリエーションの豊かさには驚かされます。

駅から商業施設方面を見たところ。右手には案内所もあり、駅近くには郵便局、銀行ATMなども用意されています(筆者撮影)

また、子ども連れ、ペット連れにも配慮があります。子ども連れに対してはベビーラウンジ、一時預かり専門託児所や子ども向け商品の充実したコンビニエンスストアなど、一味違ったサービスも用意されているのです。

鶴間公園から商業施設を見たところ。高低差を利用して印象的な風景が作られています。子ども連れ、ペット連れが目立ちます(筆者撮影)

ペットと入れる飲食店やペットショップなどのほか、ペットトイレ、足洗い場が設置されており、実際、ペットを連れた人たちの姿も多数見かけました。

コミュニティー形成を意識した施設も

鶴間公園から見たパークライフ・サイト。左側がスヌーピーミュージアム。右側がまちライブラリーなどが入った建物で、高低差を利用して造られています(筆者撮影)

商業施設と鶴間公園の間にあるパークライフ・サイトには2つの建物があります。ひとつはかつて六本木にあったスヌーピーミュージアム。貴重な原画が見られるようになっています。町田市の「えいごのまちだ事業」と連携、子どもたちが楽しみながら英語を学べるような試みも行われています。

もうひとつの建物にはまちライブラリー、南町田子どもクラブつみきが入っています。まちライブラリーとは、利用者がメッセージ付きの本を持ち寄り、ライブラリーの企画や運営にも参加するというもの。本を媒介に人と人との交流を生み出すことを意図したコミュニティーの場というわけです。こんな仕組みがあれば、初めてこの土地に住む人でも友人ができそうです。

南町田子どもクラブつみきは町田市初の民間が運営する子どもクラブ。0歳から18歳の子どもなら誰でも無料で遊べる施設で、おもちゃや本なども用意されています。

家族で楽しめる場多数の鶴間公園

道を挟んで森が中心のエリア、スポーツを楽しむエリアに分けられています。東側のエリアはその昔のこのあたりの風景を思い出させるものだそうです(鶴間公園 園内のご案内より)

その先に広がるのが鶴間公園です。公園内にはさわやか広場、にぎわい広場という2つの芝生広場があり、天気の良い日なら芝生に寝転んだり、お弁当を広げたりという楽しみ方ができます。広場としてはもうひとつ、運動広場があり、周囲にはジョギング用のトラックもあります。ここは平日に市民団体が利用する場合は無料で使えます。

鶴間公園ではグラウンド等の地下が調整池となっているなど、全体に防災を意識した造りになっていることが特徴です(筆者撮影)
地域の防災拠点となるよう、公園、商業施設にさまざまな工夫を凝らしてあります(まち全体での防災の取組南町田拠点創出まちづくりプロジェクトより)

また、運動広場は災害発生時にヘリポートとしても活用される予定。南町田グランベリーパークは地域の防災拠点として機能するよう、防火水槽、災害対応トイレ、調整池などを備えているのですが、そのうちのかなりのものが鶴間公園内に配されているのです。

森の中にある大型遊具。撮影したのは平日の昼間でしたが、親子連れが集まっていました(筆者撮影)
境川沿いにある水のあそびば。夏になると水遊びができます(筆者撮影)

子どもたちにうれしいのは3つのプレイグラウンド。森のあそびばには大型遊具が用意されています。星のあそびばと名付けられたプレイグラウンドには砂場、水のあそびばにはせせらぎがあり、異なる雰囲気、遊びができるようになっています。

公園を貫くように走る水道みち。絵になる場所で写真を撮っている人も多く見かけました(筆者撮影)

公園の中央を走る水道みちは、1887年に日本初の近代水道として敷設されたもので、地下には水道管が埋まっています。並木が印象的な空間で、ここを利用してマルシェなどさまざまなイベントも開かれています。

安価にスポーツを楽しめる

駐車場側からグラウンド、テニスコート方向を見たところ。左側には境川が流れており、水辺に近づけるように階段を設けた場所などもありました(筆者撮影)

道路を挟んでグラウンド、テニスコート、クラブハウスのあるスポーツエリアがあります。ここではヨガ、ピラティス、空手、フットボールスクールなど身体を動かすプログラムが多彩に用意されています。市の公園で開催されるものだからでしょう、民間のスポーツクラブに比べると参加料が1,000円以下などと、お手頃なところが魅力です。

クラブハウスにオープンしたカフェダイニングつるま食堂。テラス席もあり、開放的な雰囲気です(筆者撮影)

2022年にはカフェダイニングもオープンしており、モーニングに始まり、ディナーまで営業しています。運動後にちょっと一杯という楽しみ方ができるわけです。

南町田グランベリーパーク駅の口コミや住みやすさを「TownU(タウニュー)」でチェック(無料・登録不要)

駅周辺の魅力アップに加えて住宅建設も

駅を出たところから建設現場のクレーンがこれほどのサイズに見えています。徒歩1分とのことですが、本当に駅前立地です(筆者撮影)

もうひとつ、エリア内で現在進んでいるのがタワーマンションの建設です。駅のすぐ前という便利な場所で、34階建て、375戸が供給されます。真ん中に吹き抜けを設け、南側に開けたV字型の配棟となっており、間取りは2LDKから4LDKまで多彩。70年の定期借地権付きであるため、3LDKで5,090万円~と比較的買いやすい価格でもあります。

建設現場の右、かすかに見えている白い建物が駅。正面に見えているのが商業施設です(筆者撮影)

2024年1月には竣工予定で、すでに6,000件以上のエントリーがあるとか。駅前というだけでなく、充実した大型商業施設、公園までが徒歩数分圏にあるとなれば、人気が出るのもうなずけます。

周辺でも住宅供給が目につくように

東京女学館大学跡地を利用した大規模マンション。国道246号沿いに立地しています(筆者撮影)
商業施設の道を隔てたところで賃貸住宅の建設が進んでいました。今後、大小さまざまな建物が新築されるかもしれません(筆者撮影)

商業施設、公園がまちの魅力をアップさせたことから、2022年には南町田グランベリーパーク駅から徒歩12分ほどの、東京女学館大学跡地を利用した場所に全582戸という大型マンションも誕生しています。グランベリーパークに隣接した地域では、小規模な集合住宅を建てている現場もありました。

計画地域の中にあるものの、現在は計画詳細が未定となっている土地。臨時駐車場として使われていました(筆者撮影)

周囲を歩いてみると、ところどころに農地もあるのんびりした雰囲気の住宅街。まだまだ新しい住宅の建つ余地はあり、計画地内にも計画詳細が未定とされている土地もあります。駅周辺の充実ぶりを考えると、これから新しい物件が誕生する可能性もありそう。今すぐではないにせよ、注目しておいたほうが良い街のひとつと言えそうです。

【最短1分】東京近郊で引っ越し予定の人必見!
あなたにぴったりな「街」をTownU(タウニュー)で無料AI診断 ※対象エリア:首都圏主要駅