ウォルト・ディズニー・カンパニー(ディズニー)は2023年2月8日に発表した2023年第1四半期(10月〜12月)決算説明会で、55億ドル(約7200億円)のコストを削減してストリーミング事業の収益を強化する取り組みの一環として、大規模なレイオフによる抜本的なリストラを行うと発表しました。このレイオフで削減される人員は、ディズニーの全従業員の約3.6%に当たります。

Disney’s Q1 FY23 Earnings Results Webcast - The Walt Disney Company

https://thewaltdisneycompany.com/disneys-q1-fy23-earnings-results-webcast/

Disney to cut 7,000 jobs in major revamp by CEO Iger | Reuters

https://www.reuters.com/business/disney-earnings-beat-estimates-visitors-crowd-theme-parks-2023-02-08/

Disney’s laying off 7,000 as streaming boom comes to an end - The Verge

https://www.theverge.com/2023/2/8/23590901/disney-layoffs-earnings-streaming-bob-iger

2022年11月、ディズニーの最高経営責任者(CEO)がボブ・チャペック氏からボブ・アイガー氏に交代しました。アイガー氏は2020年にCEOを一度退職していましたが、2022年11月から2年間にわたって再びディズニーのCEOを務めることになりました。



アイガーCEOは2022年11月の就任時に「ストリーミング事業の収益を強化することが最優先事項の1つです。マーケティングとコンテンツに予算を積極的に投入することで加入者をかき集めるのではなく、収益性を追求し始めなければなりません」と述べ、ストリーミング事業全体のコスト構造を厳しく見直す必要があると主張しました。

ストリーミング事業のコスト構造を見直す一環として、2022年12月にディズニーは自社が運営する動画ストリーミングサービスのDisney+で広告付きで少し安価なプランを展開しています。

Disney+が広告ありの新プランを展開、広告なしバージョンは3ドルの値上げ - GIGAZINE



2023年第1四半期決算の報告によると、Disney+は合計で4660万人の会員を抱えているとのこと。ストリーミングサービスを含むディズニーのカスタマー直販部門の収益は13%増加し、53億ドル(約7000億円)にのぼったものの、11億ドル(約1440億円)の営業赤字も計上されています。

カスタマー直販部門は2022年第4四半期(7月〜9月)にも15億ドルの営業赤字を出しており、ディズニーはDisney+とHuluでコンテンツのコストが上昇したことによるものと解釈しています。

さらにディズニーは、全従業員の約3.6%に当たる7000人を対象とした大規模なレイオフを行うことも発表しました。今回発表された7000人の人員削減も、コストが増加するストリーミングサービス事業の赤字を補てんするためのものと見られており、アイガーCEOは「(大規模レイオフは)今日直面している課題に対処するために必要なのです」とコメントしました。

アイガーCEOは「私たちの優先事項は、ストリーミング事業の永続的な成長と収益性です。私たちは現在、Disney+が2024会計年度の終わりまでに黒字化すると予測しており、それを達成することが私たちの目標であり続けます」と述べています。

なお、ディズニーはコンテンツへの年間支出を300億ドル(約3兆9500億円)に維持すると述べ、「アナと雪の女王」「トイストーリー」「ズートピア」の続編制作を予定していると発表しています。